お金の学校(1) オリエンテーション
みなさん給料安すぎやしませんか? 昔と比べると物価上がっているのに、給料はどんどん下がっているような気がします。僕がいのっちの電話を受けてても、十万円台の人が圧倒的に多い。しかし、その状態を普通だと思ってしまっているようにも感じます。みなさんの働き方大丈夫なんかなと思って心配になって、それをどうにかしたいなと僕は考えるようになったというわけです。それでこれからお金の学校を始めてみることにします。
僕の場合からまず話すことにしましょう。僕はお金について誰から学んだのか?
もちろんみなさんと同じようにお金の先生はいませんでした。だから自分で学んだんです。躁鬱病も僕は自分で治しましたが、誰も治せる人がいないから自分で考えるしかないんです。お金に関してもそうでした。お金について学べる機会がありませんでしたからこれもまた自分で考えるしかなかったんです。死にたい人からの電話を毎日僕は受けてますので、みなさんの考え方が毎日ビシビシ伝わってくるのですが、ほとんどの人、いや全ての人と言ってもいいんだと思うんですが、お金について幼い頃から学んでいるという人はいませんでした。
つまり、どうやってお金を稼げばいいのかわからない。そもそもお金というものが一体なんなのかということについてもわからない。何もかもわからないという人ばかりでした。だからこそ、お金がなくなると不安になる。これからどうやって稼いでいけばいいのか不安になる。そして、死にたい人でお金を持っている人はほとんどいませんでした。死にたい人はお金を持っていません。僕はそれを見ながら、これは人は死にたい、んじゃなくて、お金がないだけなのではないかと考えるようになりました。
というわけで、お金の学校に入学したみなさんにお金について僕がこれまでの経験で得たことについて話していこうと思います。これは僕が本から得た知識ではありません。誰かから聞いた話でもありません。全て僕が経験して得た知恵です。誰からアドバイスを受けたこともほとんどありません。でも、どうにかして生き延びていかなくてはならなかったですから、僕はそういうサバイバルが大好きなんですが、そして、誰からからお金をもらって生きるという道を早々に諦めてました。なぜなら人の言うことを聞くことが無茶苦茶嫌いだったからです。もう本当に嫌いで、それくらいなら路上生活した方がマシだと思っていたくらいです。ですので、僕は就職活動も一度もしたことがありません。やってたのはバイトですね。
まあちょっとはじめてみましょう。
まず僕は2001年に大学を卒業します。つまり卒業して20年が経つわけですね。それまで僕はほとんど働いていません。バイトもほとんどしてません。なので、お金についてはほとんど何も知りませんでした。僕がお金の話や仕事の話をすると「坂口さんは才能があるから」と言われますが、元々僕はなんの才能もありませんでした。人からは「どうやって食っていくの?」としか言われませんでした。「お前が才能があるから絶対大丈夫だ」なんて言ってくれる人は一人もいませんでした。これが事実です。それが20年前くらいの大学を卒業したばかりの僕の身に起きていたことでした。でも、僕はあんまり気にしませんでした。僕は無知な人間ではありましたが、それでも生き抜く力というのか、ネズミやカラスみたいにどうやってでも生き延びるみたいな力があるのは自分でも知ってましたし、お金について何も知らなくても、知らないなら知ればいいし、自分で考えて独自の方法論を見つけたらいいと思ってもいました。それでもお金がなくて家賃が払えず不安になる日もありましたけどね。でも、そんな日はたまにで、多くの時間を、なんとかお金について学んで物知りになりたいと思いながら過ごしてました。
20代の時の僕はそんな感じでした。つまり、お金を稼ぐということについては才能の問題ではありません。むしろ人は才能の問題に逃げてしまう癖があります。あの人は才能があるからうまくいっている、自分は才能がないからうまくいってない。これは才能がない人ではなく、何にも知ろうとしない、成長しようとしない人の口癖と言った方がいいかもしれません。それくらい厳しく行きましょう。行動しないことを促すような言葉には厳しく接していきます。だって、一つ知れば一つ賢くなるんです。それを延々と何十年も続けたらどうなりますか。どんな人間でも人から才能があると言われちゃいますよ。それが才能です。つまり、才能とは継続すること以外の意味はありません。継続すること。これは能力関係ないんです。唯一能力が関係なく、万人にできることでもあります。まずはそのように頭を柔らかくしておいてください。才能がないから自分は貧乏なんだ、なんてことはもう金輪際言わないように。気をつけてくださいね。
これから話すことは誰でもできます。
ただ知らないだけです。知ろうとすればいいだけですから知りましょう。知るべきです。
細かく僕のお金の流れについて話してみることにしましょう。
まずは今の話です。20年前何も知らなかった僕は今どんな状況なのかというところからはじめてみましょう。僕は今、いのっちの電話という死にたい人がいつでもかけていいという電話サービスをやってます。電話をする人はもちろん無料です。誰からも寄付もらってはいません。ただ僕が自腹で電話代を払いやり続けているわけです。はじめてから10年が経過しました。もちろんその間誰からもお金はもらっていません。
さて、僕は自分で合同会社ことりえという会社をやっているのですが、僕はその会社の代表役員なのですが、その会社からいのっちの電話をしている僕に対していくら払っているでしょうか?
答えは100万円です。毎月100万円、会社から僕の個人口座に振り込んでます。会社には僕が他にやっている仕事で稼いだお金が全部入ってくるわけですが、そこからいのっちの電話をしている僕に対して給料を払っているわけです。なので、みなさん「いのっちの電話を無料でやられて大丈夫ですか?」とか深く心配してくださる方も時々いらっしゃるわけですが、何も心配しなくていいです。僕は月に100万円もらっているわけですから、満たされてます。あなたはどうですか? 100万円もらっても満たされませんか? 僕は十分です。というか、実質、僕はお小遣いは5万円くらいで、ほとんど5万円で足りてます。もともと物欲がありませんし、僕は物欲のことを創作意欲が変形したものと理解しているのですが、つまり、物欲の前に、僕は作りたいという欲望の方が強く、セーターも編むし、織物も織るし、ガラスも吹くし、陶芸も自分で焼くし、絵も自分で描くし、本だって買わずに自分で書きます。つまり、僕は欲しいと思ったら、その瞬間に作り出しているわけです。だから、お金が一切かかりません。いや逆ですね。欲しいと思ったら、もうすでに作っていて、作ったものは売るわけですから、そのままお金が増えちゃいます。
例えば、最近ですと、僕はパステルで絵を描いているわけですが、あれは一枚15万円で売ってまして、僕の会社は5月締めなので、今年の6月から始まっているのですが、現在150枚ほど売れてます。となると単純計算で2250万円となりますね。結構な金額です。それを6月7月8月と三ヶ月で生み出しました。これも元はこんな絵が欲しいとなったことから始まってます。絵が欲しい、そこで僕はすぐに絵を自分で描く、という方向に進むわけです。作ったものをどうやって売るかということに関してはまた後ほどお伝えすると思います。まずは僕がお金が一切かからないということに注意しておいてください。
つまりもちろん僕は自分に100万円を払っていますが、別に何か買うわけでもありません。家は普通の3LDKのマンションですし、家賃は70平米で68000円です。僕は物件見つけるのが無茶苦茶うまいので、この値段で熊本市のど真ん中でしかも毎月しっかりクリーニングしているマンションはなかなか見つかりません。僕の仕事場は6畳一間でほとんど全てをこの部屋から生み出してます。贅沢は関心ありません。というか僕の最高の贅沢は、自分で畑を耕して、野菜を育てて、自分で料理して、そのまま食べるということです。これ以上の美味いものはありません。贅沢というものはズボラな目で見ると、お金を出して、何かを買う、かのように見えますが、実際は違います。わざわざやることが贅沢です。僕の知り合いのお金持ちは馬鹿みたいにお金を使って島を買って、そこまで遠くシーカヤックを漕いで海を渡り、島にたどり着き、ほとんど何も施していない森の中に入り、ビーバーみたいな家を建てて時々夏休みを過ごしてます。わざわざやるんです。わざわざ。それが贅沢です。シャンパンを飲みたいからとシャンパーニュ地方の土地を買って、最高の葡萄を無農薬で育てて、一本だけのシャンパンを作るんです。それが贅沢です。つまり、贅沢の究極にいくと、なんでも自分で作る、となります笑。つまり、今、僕はガラスやセーター、ギターも全部自分で作っているんですが、これは僕なりの贅沢をしているというわけですね。贅沢がお金を浪費することだと思っている人は危険なので、早めに思考を転換しましょう。
というように、書けば書くほど、お金に関しては、書くことが広がって、講義もなかなかすすみません。でもどれも大事なことですので、全部伝えていきます。お金は一直線の道で、その道さえ覚えたら、全て問題なしというものではありません。どちらかというと僕たちが日々生きているこの現実や地形や生活に似てます。僕たちはどんなところにでも歩いていけるじゃないですか。誰も好きに歩かずに実は同じ道を通って、同じ会社に行って、同じことばかり考えてますけどね。でも実際はどこにでも行けます。どこまでもこの地平は続いてます。お金も同じような感じなんです。どんなやり方でもあります。どんな稼ぎ方もあります。稼ぐだけじゃなくて、お金にはいろんな顔があります。そんなふうに考えてみてください。お金をみなさん毛嫌いしているところがあります。明晰な方でも、お金は疎くて、みたいな感じで敬遠してしまう人もいます。それではいつまでたってもお金との関係が良くなりません。ここはお金の学校です。まずはお金のことを大好きになってください。お金は決して悪いものではありません。むしろ、人を助けるいいものである可能性があります。今のみなさんの環境、人生が大変なのは、お金が悪いからではありません。お金について何も知らずに、お金のことを嫌っているから、お金と離れているだけなんです。音楽の教室に通うように、このお金の学校にも通ってみてください。楽器のように愛してあげてください。お金だけ差別しないでください。僕たちが日々使う道具という視点に立てば、いつも横にいる相棒なのですから。
さてさて、話がまた脱線してしまいましたね。次へ行きましょう。