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中学生のためのテストの段取り講座その2 段取りとは何か?

その2 段取りとは何か?

 1時間目は、まずこの講座で取り組む、テストとは何かってことを考えてみました。うまく伝わっているといいなと思います。
 前置きが長くなっても、あれですから、テストにのぞむ態勢が整ったところで、さっそく今回の講座で教えるたった一つのことについて考えてみましょう。

 僕がこの講座で教えるのは、オリエンテーションでも言いましたが、

「テストのための自分なりのスケジュール表をつくる」

 ということだけです。みなさんが覚えて帰るのはこの一点だけ。勉強の中身は僕は何も教えません。そもそも勉強の中身に全く興味がないのです。
 僕が興味があるのは、あなたたちにコツを教えること、なんです。僕はコツを見つけるのが好きで得意で、そして、それを伝えるのが好きで得意です。だからどんどんやっちゃいますし、今回は無料の講座ですが、そんなこと全く気になりません。だって、僕がやりたいことなんですから、こんなにたくさんの中学生の方々が僕のところに集まってきてくれているだけでうれししすぎるんです。心配しないでいいんです。無料だろうがなんだろうが、好きなことをやって得意なことですから、うまくみなさんに伝わって、それでみんなが嬉しくなれば、それはもうなんというか幸福な感じじゃないですか。僕はそれを、流れている、って言うのですが、この一連の行為が、流れているんですね、流れている=幸福なんです。僕は、突っかかりもない状態。得意なことで好きなことを、人に与えて、人も喜んでいる状態。これが僕にとって、流れている最高の瞬間なんですね。生きていることを実感できます。そうなると、お金にならないとか関係ないどころか、お金になります。それは僕が経験してきてわかったことです。こんな気持ちいいことやっているんだから、うまくいくに決まっている、というわけです。みなさんもこんな感触を忘れないでくださいね。無料な講座って、一回だけだったり、中身がスカスカだったりってイメージじゃないですか? それで無料で釣って、次回からはお金をとります、みたいな。そんな講座ばかりです、この世の中は。スマホの無料のゲームも広告ばっかりで、全然楽しくないじゃないか。なんか流れてないですよね。でも、僕の無料はちょいとわけが違います。無料だからって手を抜きません。それどころか、自分の全てを余すところなく、提供するつもりです。なぜって僕は伝えたいからです。だから、無料でも集まってきてくれてるだけで、僕は嬉しいんです。僕はみなさんに集まってきてくれているおかげで、お金を逆に払いたいくらいです。この逆転現象が起きるとき、大抵の物事はうまくいきます。

 自分がやりたくてたまらなくて得意なことを、たくさんの人が求めて集まってきてくれている

 この流れの中に、みなさんももしいつかどこかで入りこむことがあったら、ぜひ、どんどん与えてあげてください。もっと嬉しくなります。楽しくなります。
 そして、最後に、おまけのように素敵にお金にもなります。
 大事なことは求められることをしないこと。あくまでも、この講座は、僕がやりたいんです。誰かからやってくれと言われてはじめたわけではありません。とにかく僕がやってみたいから適当に教室を開いた。すると、たまたま人がたくさん集まってきたってだけです。人からこうしたら求められるかもしれない、という考えはここにはありません。人の求めに応じていると、そのうちやりたくないことが出てきます。やりたくないと思ったら、その時点で、躊躇することなく、即刻行動を止めてみてください。こうすれば、流れはまた別のところで発生します。お金になるからと飽きているのに、人が求めているからと続けると、流れなくなります。淀んできます。そうすると、気持ちまで落ち込んで、お金にもならなくて、ガクンとなってしまいますので、気をつけて。

 すみませんね、伝えたいことがありすぎて、すぐ脱線してしまいます。でももう流れを感じているみなさんであれば、意味はわかりますよね。人の求めを避けるためにも、どんどん自分で脱線してくださいね、みなさんも。時々、立ち止まって、振り返ればいいだけです。僕も振り返りました今。そして、スケジュール表のことを伝えるんだった今日はと思い出しました。

 はい、というわけで、スケジュール表についての話を始めましょう。
 まず、今回の講座は「中学生のためのテストの段取り講座」という名前なのですが、この「段取り」という言葉を知っている人はいますか?
 あれ、いませんね。「あなたは段取りが悪い」と人から言われたことありませんか? あ、これもありませんか。
 そうなんです。学校にいる間は段取りという言葉はほとんど使われません。
 ところが、社会に出ると、突然、段取りが必要になるんですね。
 段取りとは、スケジュール表を作るってことなんです。
 元々は歌舞伎って知ってますか? 知ってますよね。歌舞伎役者たちが楽屋で使ってたらしいです。歌舞伎の舞台での一幕のことを段というわけです。みなさんも国語の授業で段落とか使うでしょ。あんな感じです。一区切りの話を「段」というわけですね。舞台で焦ったりしないように、歌舞伎のお話のあらすじ、つまり、スケジュールってことです、スケジュールを前もって頭に入れておく、みたいな感じです。スケジュール表を頭の中で描いておくと、気持ちに余裕を持って、いい演技ができたんでしょうね。そういう人のことを段取りが良いっていうわけです。
 ではなぜ学校では段取りという言葉は使われないのかというと、学校では段取りを全て、先生たちがやるからです。
 みなさんは誰一人として、時間割を作った人はいないと思います。時間割を作るのはその学年の先生たちです。先生たちは国で定められた勉強の内容を、長い夏休みや、最近ではコロナで休校になったりしつつも、それでもちゃんと教えなくちゃいけないですから、必死に時間割を作っているんです。授業をどれくらい進めるか、すべて知っているのは先生だけです。みなさんには来週の時間割くらいまでは届いているはずです。しかし、一年を通じての先生の段取りはなぜか伝えられません。これは僕の予想ですが、ある程度は段取りは決まってはいるものの、いろんなことが起きる可能性があるので、その都度変わるからでしょう。
 だからいつ頃どんなことを学ぶのか、教科書は渡されてはいるけれども、みなさんはほとんどわかっていないんですね。
 それが学校というものなんですね。

 一方、社会に出るとどうなるのか。
 僕の場合を例に出しましょう。僕は自分で会社を立ち上げる前、大工さんの弟子になり、築地市場で高級果物を売り、ヒルトンホテルというホテルのラウンジのボーイでした。
 大工の親方から僕はよく「お前は段取りが悪い」って言われてたんです。築地市場でもガタイのいい上司の人から「お前は段取りが悪い」って言われてました。大工と市場、昔からずっとある仕事ですよね。そこでは段取りがとにかく重視されてました。僕は学校では段取りについて何も学んでいませんでしたから、そりゃ段取り組むのが下手なのは当たり前です。でも、大工と市場でずいぶん学んだんですね。そのため、ホテルのボーイをしているときは、段取りがいいって言われるようになりました。段取りが良くなったので、自分で会社をやってもいいかなと思うようになって、27歳の時に自分で会社を作りました。そこからは学校の先生みたいに、あらゆる全ての段取りを自分でやるようになりましたので、今では段取りのプロと言っても過言ではないと思います。
 つまり、社会に出ると、段取りしか求められないと言ってもいいかもしれないくらいこの「段取り」が重要になるんですね。
 国語とか数学とかどうでもいいから、学校の先生は本当は「段取り」を教えるべきなのです。しかし、学校の先生はせっせと自分のために自分のペースで生徒が学ぶ勉強の段取りを作り続けてます。今もそうだと思います。おかげで、段取りが悪いな、と怒られることなく、みんな卒業してしまい、会社に入ってしまうのです。大工とか市場みたいな昔から技術が伝承している職場なら段取りの訓練もありますが、今の多くの会社では段取り教室をやっていません。段取りが悪い=会社で使えない人、となってしまい、すぐに解雇されてしまいます。
 僕は大工の世界で、まずは段取りを徹底的に教わりました。しかも、大工の弟子になったのは、大学生一年生の時でした。僕は早稲田大学に行っていたのですが、学校の勉強はあまりにもリアルじゃなさすぎて、机上の勉強ばかりで、このままだと社会にでた時にすぐ解雇されてしまうなと思ったのです。そこで、電話帳、当時は電話帳があったんですが、そこに職業別で電話番号が掲載されているんです。今で言えば、グーグルで「大工 東京都」とかで検索するようなものです。片っ端から電話をかけると、一人の大工さん、笠井さんという子供がいない夫婦で工務店をやっている大工の親方が、桃太郎みたいにももに入って子供がやってきたと勘違いしてくれて、僕を弟子にしてくれたんです。他のところでは全て断られました。
 
 笠井さんは僕に大工の技術とかどうでもいいから、まずはちゃんと段取りを覚えろって言ったんです。
 そう言われても僕にはよくわかりません。それまでバイトの経験は何度かありましたが、僕はほとんど言われるままに動くだけで段取りのことは何にも考えてませんでした。
 段取りってなんだろうと思ってたら、笠井さんが「今日一日何をやるのかを朝仕事始める前に全部決めるだけだよ」と教えてくれたんです。
 
「今日1日何をやるのかを朝仕事始める前にすべて決める」

 これがまず段取りの基本です。
 むちゃくちゃ簡単だと思いませんか? でも、やったことなかったことでもありませんか?
 僕はそうでした。僕は仕事を始める前に、今日やることを全て書き出したことがこの時までなかったんです。だから、言われるままになってしまっていたし、あとはこれが終わったら、どうやるんだろうか、どんな道具使うんだったっけな、前教えてもらったことを忘れてたらどうしようかな、とか不安になっていたんです。でも、今日、やることを全て書き出したら、それにどれくらいの時間がかかるかもわかるし、必要な道具もわかるし、もしも忘れていることがあれば、事前に大工の親方に聞いておくことができるんです。そうすると、親方から怒られることがなくなります。
 そして、僕は仕事を始める30分前には毎日笠井さんの家に行くようになりました。笠井さんはまだご飯を食べた後のお茶タイムです。僕は仕事に行く前に一緒に30分お茶を飲みながら、今日の仕事でやることを全部そこで決めて、それを笠井さんに伝えて、笠井さんの仕事と調整したり、わからないことを聞いたり、必要な道具を笠井さんの道具置き場から借りたりするようになりました。
 こんな単純なことですが、それだけで僕の生活は本当に変わっていきました。
 
 なぜ朝に全て決めると、ここまでうまくいくのでしょうか。
 段取りするのと、しないとでは何が違うんでしょうか。
 今日はこの辺にしときましょう。次回は、この段取りの秘密を探りたいと思います。
 では休憩しましょう。

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