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継続するコツ  第2回 継続できない理由


 ちょっと継続することが苦手な人には耳が痛いことばかり書くかもしれません。なんせ、みんな才能がないから継続できていない、と思っているわけですから。はっきり言うと、それで安心しているわけですね。謎の安心感ですけど。私は才能がない、だから、何事も続かない、と感じている。昔やってたけど、今はやめちゃった理由は才能がないからであって、継続することができないただのめんどくさがりなわけではない、みたいな感じになっているんですが、僕はのっけから、才能は関係なく、継続できないからやめただけだと言ってますので、才能がいいわけにならないんですね。あんまり気持ちがいいものではありませんよね。僕としては励ましているつもりなんですが、全く励ましになっていない可能性もあるかもしれません。ごめんなさいね。でも、僕、心底嫌いなんです。この才能がないって言葉が。この諦めるのに簡単すぎる言葉が嫌いで全部ぶっ壊したいんです。継続するコツさえ、わかれば、才能が〜とか言う人が一人もいなくなるはずだと妄想まで抱いてしまってます。
 才能がない、と言って、諦めている人全員に贈りたい言葉ですが、才能がない、と言う人は本当に、未熟者ですから!
 未熟者に言われた言葉くらいで諦めないでくださいね。本当に、これは僕が心の底から声を大にして言いたいんです。ほんと、心ない未熟者の適当な放言を耳に入れて、諦めてしまっている人のなんと多いことか。自殺にまでつながっているんです。これは僕の中で戦争だと思ってます。未熟者が適当に打ったロケット言葉で人が死んでいるんです。僕の中では一大事です。だからなんとかしないといけないと勝手に思っています。だから時々、語気が強くなるかもしれませんが、でも気になる方は読んでくださいね。

 人から才能がないと言われたくらいで継続を諦めるな

 お金にならないくらいで継続を諦めるな

 他のつまんないことを継続してどうする、頼むからこっちに戻ってこい。楽しいことこそ継続せよ

 とりあえず今、心の中にあることを、言葉にしておきましょう。そして、スッキリして、また優しい感じで、書き始めたいと思います。

 僕の話からはじめましょう。
 僕は絵を毎日1枚描いてます。とにかく毎日1枚描くんです。なぜなら面白いからです。描いたら、新しい絵がまたこの世に生まれるじゃないか。僕には二人子供がいますが、やっぱりこれまで存在しなかった生命が誕生するのって驚きですし、すごいことです。絵もまた同じなんですね。これまで存在しなかったものが生まれるんです。これ自体、相当すごいことだと僕は思うのですが、描いていると、少しずつ慣れてくるんですね。そのことの驚きに慣れてくる。あと描き方も慣れてくる。そうすると、誕生する自体の驚きが減っていくんです。
 これは避けることができません。どうしても人は慣れていきます。慣れることを避けようとしてもおかしくなります。慣れることに悩んでいても、それはどうして人はご飯を食べてうんこをするのかと悩むことに似てます。解決どころかそれが自然だから悩めば悩むほど体はおかしくなります。夫婦でもすぐに慣れてしまって、セックスレスなんて社会問題にすらなってますよね。あれもおかしいんです。自然に慣れることを社会問題にしちゃって。本当に今の世の中はありとあらゆる問題がおかしいんですね。そもそもの設問が間違っている。しかし、話はそこに広げてしまっても仕方がありませんので、今回は継続ってことに集中していきましょう。
 はい、絵です。絵を1枚描くんです。1枚生まれることの驚きを忘れてしまった僕はどうなると思いますか?
 絵を描くことをやめるんじゃなくて、絵の質の向上を求めてしまうんです。たいそうなものを描きあげなくちゃいけないと思ってしまう。絵を描くという行為の喜びを感じてやっていたはずですが、物事は必ず慣れます。慣れちゃうと、ただひたすら行為に楽しみを感じていたことを忘れます。継続するのが得意な僕もそうです。すぐに忘れちゃうんです。忘れちゃうとどうなるかというと、自分の絵のここがあんまり良くないなと思い始めます。慣れると自己否定が始まるんですね。自己否定というか、僕が描いた絵の否定です。夫婦で言えば、旦那なら妻の悪いところ、妻なら旦那のしょーもないところに目が行くってわけです。ここまでは自然な流れです。社会問題にしても仕方がないポイントです。自然の摂理です。自分が行為に夢中になっているところから、変化したことを示してます。ただやっているだけで楽しい、という状況ではなくなってしまっているんですね。しかも、この状態は意外にも早く訪れます。
 自己否定ではないんですね。他者の否定です。絵がしょうもなく見えてきます。人と比べるからですね。行為に夢中になると楽しいです。だからもっとやりたいと思います。でもある程度やっていくと、慣れます。慣れると、周りが見えてきて、自分の絵がたいしたことがないということに気づきます。比較がはじまり、否定がはじまります。そうすると傑作を描かなくていけないと思ってしまいます。たとえ初心者だろうが、慣れていくと必ずそう思います。自分が傑作が描ける人間だと思ってしまっているのです。恥ずかしいですが、必ずその状況に陥ります。だからこそ、すごい人と、それこそ才能がある人と感じた人の作品と比べはじめてしまうのです。まだこの時は落ち込んではいません。どうにか一回は手を動かして、描こうとします。否定モードはかなり強くなってます。かつ、以前の夢中になっていた頃はのびのび手を動かしていたのに、今では硬くなってしまってます。失敗をしてはいけないと思い込んでます。自由ではありません。何を描けばいいか、なんて無駄なことを考え始めてしまってます。もちろん、そんな状態で手を動かしてますから、絵は不自由なものが出来上がります。満足いくものにはならないでしょう。行為自体に満足がいっていたのに、今度は描き上げた絵を見て、落ち込み始めるのです。これは僕だけでなく、多くの人が経験しているのではないでしょうか。
 こうなってしまうと、良いものを作らないといけない、みたいな精神状態になってしまいます。
 はっきりいって、ここに喜びがなくなっているんですね。楽しんでいません。勘違いしちゃってます。いっぱしの画家なんだから、すごいものを描かなくちゃいけない、みたいなとても恥ずかしい状態になっているわけです。自分のことを省みることなく、お調子に乗っているんです。そんなわけで、結果はうまくいかず、落ち込んでしまいます。落ち込むようなほどやってきたわけじゃないのに、落ち込んでしまいます。挙げ句の果ては、描く気力がなくなってしまいます。傑作が描けない俺はダメ人間だ、みたいに飛躍していくんですね。そして、どんどん自分が描いた絵の悪いところが目についてきます。最終的に、このままいくと、自信を失い、作品を作ることができなくなってしまいます。
 これは以前の僕の姿です。みなさんもどこか共通するところがあるんじゃないですか?
 実際、死にたくなった人からの電話でもこれと同じような状況で作品を作ることをやめた、という方がたくさんいました。
 慣れてしまうと喜びを忘れると、それがきっかけとなり作品の否定(自己否定ではなく他者否定)が始まります、そして、自分よりすごいと思う人との比較をやめられなくなります。こうなると、傑作=正しいものという思考になり、その形を追いかけるようになり、とても窮屈な制作をしてしまいます。結果、良いものは仕上がらずに、その作品をみて、今度は自己否定が強くなってしまうのです。こうなってしまうと、手が止まります。そして、継続ができなくなっていくというわけです。
 
 つまり、継続できない理由は、ただめんどくさがりというわけではないんですね。
 継続できない理由は上に書いたようなメカニズムが働いているんです。継続できないことには理由があるということです。しかし、それが自然の摂理と合体しているので、わかりにくいんですね。
 ここでの自然の摂理は、慣れる、ということだけです。作品の否定は自然の摂理ではありません。そこに注目してみましょう。
 どうやっても慣れます。慣れることを禁止することは不可能です。そして、慣れると、今度はうまくやろうと試みはじめます。良いものを作る、というよりも、体裁が良いものを作る、という風に方向性が変わっていくんですね。技術を向上させるってことです。技術の向上は同じ動作を繰り返すことで実現します。だから、人はつい好きなことを見つけると、どんどん同じ動作を繰り返し、技術を向上させて素人とは思われないようになろうとします。慣れてしまって喜びを失っているのに、そのことにはなかなか気づけません。むしろ、最初期、人はできるだけ同じ動作をして、慣れようとすらしてしまいます。

 じゃあどうするんだよ、ってことですよね。
 僕がやっているコツをお伝えしますね。
 二つあります。
 一つが「二度と同じことを繰り返さないこと」
 もう一つが「嫌になった途端に、全て止めること」
 です。
 どちらも継続することとは全く関係なさそうですよね。逆にそれじゃ継続できなさそうに思える。
 でもそうじゃないんですよ。一応、僕は継続仙人まではいってないと思うんですけど、継続名人くらいはいってると自分で言うのもなんですが思っているのですが、僕が継続できているのは、この二つのやり方のおかげなんですよね。
 だから騙されたと思って、もう少し話を聞いてほしいんです。まあ、聞いてもらえなくてもいいんですよね実は。どうせ僕は言い続けるので、継続し続けるんですね、だから、ほっといても、どこかでいつか耳にすると思うんです。もう完全に開き直ってしまってますけど、投げやりにやっているわけでもありません。このやり方が実効性があるから、継続できるから、やっているんです。今回の連載は適当に進めていきます。書きたいところから、書きたいことを、適当に。でも継続はしていこうと思うし、多分、継続できるんですよね、毎日。やるだけやってみましょう。明日この二つのコツについて書くかすらわからないんです。でもそれでいいんです。継続するコツを実践しつつ、やるだけやってみるってだけなので、これは本にならなくてもなっても良いんです。どうせ、また別の本を書き始めるんですから。面白くないですか? こうなったら、もう怖いものが何もないんですよね。死ぬ前に笑えば良いってだけで生きているので。
 というわけで、飽きたので、サクッとここで終わります。でも1日で40枚も書いたんです。そこが重要なポイントです。
 やりたいことはどこまでもやれる。書かなくてはいけない、となると、すぐにやめたくなる。
 とにかくみなさんもやりたいことはなんだって、いつも気にしてあげてくださいね。自分にも他人にも。
 人に優しくなれますよきっと。

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