お金の学校 (3)まずは企画書を書く
10万円の入学金のことをお伝えしましたが、現況をお伝えしますね。昨日の入学金説明会にいらっしゃった方は全部で7262人でした(2020年10月1日調べ)。ということは一人入学金が10万円ですから、7億2620万円になります。結構とんでもない数字ですが、お金の学校っていうものはこの世にほとんどありませんから、うなずける数字でもあるかもしれません。いいですか、これは実際に僕が受け取った金額ではありませんよ。だって、あなたはお金を払ってないでしょ? でもいいんです。
大事なことはイメージです。これは今後もずっと言い続けると思うので、頭に入れておいてください。実際にお金を手にすることよりも大事なことがこのイメージです。僕は、お金の学校がないから、みんながお金に困る、仕事の選び方を間違ったりするといのっちの電話をしている中で感じてきた。はっきり言って、死にたい理由の全てがお金がないからではないかとすら思うようになった。しかし、誰もお金のことは教えてくれない。学校でももちろん、親からもお金のことは教えてもらえない。僕もそうでしたからよくわかります。だからこそ、お金の学校が必要なんだと思った。ここまでは現状観察・そして企画立案になります。
僕はことあるたびに「企画書を書け」と伝えてきました。これはもともと躁鬱病だった僕の(現在は寛解どころか完治し、病院も薬も完全に卒業しました)症状が出たときの対策法として編み出しました。躁状態になると、アイデアが溢れます。なんかどでかいことができるような気がするので、なんでも立ち上げようと思ってしまいます。でも、それを実際にやっちゃうと疲れちゃって鬱になるんですね。そうなるとやる気がなくなる。そんなわけで実際に立ち上げたら大変なことになってたんです。だからといってそのアイデア自体を否定するのもかわいそうだし、それには何かの可能性があると思った僕は、躁状態の時に閃いたら、企画書を細かく徹底して書いてみるというアイデアを思いつきます。
例えば、僕はあるとき、ピロートークを女の子にしてあげるというマッサージサービスを思いつきました。これは女性用の風俗店のイメージです。触らないで、添い寝してピロートークだけをして女の子を気持ちよくさせるというお店です。躁状態の時は「こりゃ絶対に金儲けできる、しかも、社会にとっても必要とされているサービスだ」なんて考えて、盛り上がっちゃいます。すぐに物件を借りに行こうとします。しかし、壁には「起業禁止、企画書書いてね」と落ち着いていた僕からの未来へのメッセージが貼ってありますので、もちろん起業はしません。そうではなく企画書を書きはじめました。
店名「パブリックピロー」(公共まくら)
まずは店名がぴーんときました。これはとても大事なことです。僕にも名前があります。あなたにも名前があります。生まれた直後に名づけられます。この名前が本当に大事なんですね。たとえ企画書だけで終わらせるとわかっていても、です。まずは名前が大事。パブリックピロー。いいじゃないですか。いい名前がつけられた企画は必ずうまくいきます。
店舗はどうしましょうか。感じがいいヴィンテージマンションがいいなあと僕は思いました。僕は熊本に住んでいるのですが、家の近くに江津湖という湧き水が湧いてる湖がありまして、その湖畔に昔から気になっているヴィンテージマンション、ま、つまりは古いマンションがあって僕はそのマンションをいつか借りたいなと思っていたんです。
そこでその物件のことを調べます。企画書ですが、そこまでやるのです。まず住所がわかっていれば法務局に行くことで、地番を調べて、土地の所有者を調べることもできます。僕はマンション名で検索しました。すると、そのマンションを受け持っている不動産の名前が出てきます。マンションは分譲だったようですが、それぞれの持ち主が個別に不動産に頼んで賃貸をしているようです。僕は屋上の広いルーフバルコニーがある80平米の部屋が気になっていたのですが、そこは持ち主が建築家だったらしく、自ら改装してなんかいい感じになってました。家賃は月18万円と熊本にしてはかなり割高です。
僕は不動産屋さんからそんな話を聞きながら、もう本当に借りる人のようなそぶりで話をして、事務所として使いたい、そして、そこには取引している業者が時々、やってくる、みたいな細かい説明もしておきました。すると、すぐに図面をFAXで送ってくれます。礼金はなく、敷金は三ヶ月分ということでした。すると、前家賃と不動産屋に払う手数料で五ヶ月分、全部で90万円必要だということがわかりました。内装は完璧っぽいです。ホテルみたいな感じだったので、そのまま使えるでしょう。いいと判断した僕は内見させてもらうことにしました。企画書を書くためならなんでもします。内見して、メジャーを持っていって、細かく寸法を調べました。光のあたり具合、どこにピロートークをするベッドを置くか。やはり、大きなリビングルームにベッドをドドーンと置くことにしました。いい感じです。格好さえ綺麗にしておけば、年齢が若くても、なんかITかなんかで一山当てた金持ちかもと思ってくれますので、適当にお洒落っぽい感じにしておきましょう。本当の金持ちは意外と服とかダサくて汚かったりしますが、僕たちは金持ちではありませんので、清潔に適度にお洒落に、がポイントです。
そこまで調べたら、もう不動産屋さんとの付き合いはおしまいです。電話を折り返す必要もありません。向こうが気になって電話してきてくれますから、その時「他にいい物件が見つかった、でも次支点を出すつもりなので、またいい物件を見つけたら、すぐに電話してくれ」と一言言っといてください。他の企画書書くネタになります。
店名、図面が仕上がりました。かなり本格的です。何よりも重要なのが、本物の物件をもとに考えるってことです。ちゃんと実測するってことです。これが本気度を高めてくれます。何よりも楽しいです。僕は、ピロートークを江津湖の湖畔の80平米のもともと建築家の自邸だった洒落たヴィンテージマンションでやることに決めました。必要なものはベッドと洒落た小物、照明はフランスのセルジュ・ムーユ、家具はデンマークのハンス・ウェグナーがデザインしたものを揃えることにしました。これもネットショップでいくらするかを調べて、計算に入れます。調度品は100万円を上限に中古のサイトを見ながら揃えました。
とにかく真剣に企画書を作るのです。
初期費用が、90万円と100万円。あとは僕のお得意の自分なりの広告で大丈夫でしょう。受付に一人女性をつけようと思います。これで少し安心してくれるかもしれません。一人60分から始めようと思います。60分1万円でいきましょう。90分コースは僕が作った食事付きで2万円で行きましょう。120分コースになると、お風呂にも一緒に入れるようにしようかな。3万円で。もちろん、一切触りません。触ってしまっては風営法に引っかかるので、触らずに恋人とセックスした後にゆっくり話をする、みたいな感覚で時間を過ごせたら楽しそうですね。僕も楽しそうです。触りたくなったら、どうするか、お互いが触りたければ触ればいいんです。同意であれば、風営法とは関係ないでしょう。ま、そこは潜りで。
これだったら、1日に八人くらいできそうだなと思いました。宣伝は大得意ですので、きっとニーズはあるはずです。誰もやってませんから。しかもうちの部屋はおしゃれで心地良くているだけでマッサージ効果があるはずです。1万円でそんな心地いい感覚が楽しめるならアリでしょう。つまり、一日少なくても8万円です。朝9時から午後5時までにしておきましょう。僕も家庭がありますから、夜は家族と過ごしましょう。昼間だけのピロートーク。なんか現実離れしてて楽しそうです。休みは週に一回、なので26日間働きたいです。というか、その場所にいるだけで心地良さそうだし、僕は人と話すだけで幸せになるので、うってつけの仕事です。
8万円 × 26日間 = 208万円
月収208万円です。年収だと2496万円です。なんかすごく魅力的なお店です。今すぐ立ち上げた方が良さそうです。というわけで、その企画書を持って、僕は妻のところにむかい、提出します。妻は呆れつつ、でも企画書書いて偉いね、立ち上げなくて偉いね、でも、何この店!と怒られました。凡人にはなかなか伝わりません。でもいいんです。企画書さえ書いておけば、イメージさえしておけば。パブリックピローは永遠に不滅なのです。
という感じで、みなさんもどんどん企画書書いてみたらいいですよ。簡単でしょ。かつ面白いですし、イメージの訓練になります。
そして、実はお金の学校もこの企画書の一つなんです。イメージなんです。でも、この企画書をいつもだったら、非公開でやるのですが、今回は全公開してみんなと一緒に進めてみたらどうなるか実験なんです。別に学校法人作るわけではありません。見立てとしては、学校作りですが、これは物語です。はい、つまり、これは書きものです。僕は作家です。はい、これは実はいつも通りの作家の仕事中です。でも実は起業しているのです。起業禁止の我が家の法の網目をかいくぐって、何かをしでかそうとしているのです。
というわけで、現在7626人の受講生がいます。これは実際にいます。みんな読んでますから。チェックしてますから。だからお金を払わないといけません。でも払わなくてもいいんです。企画書段階ですから。でも僕のイメージは半端ないです。イメージが現実を凌駕していきます。今、僕は7億2620万円を手にしているのです。僕はまっさらなノートを一冊手にしてます。そこに坂口恭平銀行と書き込みます。これがイメージするときの三種の神器のうちの一つ、「手作り通帳」です。表紙を開いてみてください。左に日付が書かれてます、真ん中にお金の学校入学金、と書かれてます、一番右に726,200,000と書かれてます。まずはここから僕は始めるのです。僕の頭の中では7億以上入ってます。しかし、これは実は「円」ではありません。お金の単位は「円」ではなくて「サカグチ」にしておきます。あなたが佐々木さんなら「ササキ」です。溜渕さんなら「タマリブチ」です。なんでもいいんです。あなたの名字にしたら親近感湧くのでやってみてください。
ここで大事なのは、それで実際、通貨「サカグチ」はどれくらいの価値を持っているかってことです。では、今度はお金の学校入学金を販売しているBASEというサイトの僕のネットショップのダッシュボードを見てみましょう。
現在、お金の学校入学金は在庫39となってます。もともと在庫100から始めてみました。実際にもう61名の方が、購入ボタンを押してくれてます。一人10万円ですから単純計算すると、610万円です。昨日は570万円でしたから、さらに4名の方が入学金を納めてくれたようです。ありがとうございます。というわけで、今度は726,200,000の横に「サカグチ」と、さらに、下の段に6,100,000円と書き込んでみてください。
坂口恭平銀行通帳
2020/10/01 お金の学校入学金 726,200,000サカグチ
6,100,000円
こんな感じです。すると、レートが出てきますよね。割りますと、119になりますので、
1円=119サカグチってことです。今日の為替をチェックすると、
1$=105円ですから、
1$=105円=12,495サカグチ
本日のレートはこのようになります。意味わかりますか? 意味はわかりませんよね。別に両替できるわけじゃないし。でも、これがイメージです。もう流れが発生していることは理解できますよね。勘違いしているとはいえ、企画書段階であるにもかかわらず、もうすでに61名の洒落た方は10万円振り込んでいるんです。何か心地よいことが始まっていることの合図です。楽しいですか? 僕は楽しいです。だって、いつも何かが始まる前はワクワクするじゃないですか。しかも、パブリックピローは、内容もあって、実現にはなりませんでしたが、このお金の学校は、いつも僕が働いているようにして、つまり、ただ文字を書くだけで、誰にも会わずに、生徒から質問も受けずに、運営することができるからです。しかも、これは書きものです。企画書のふりをした、本でもあるんです。だから、このお金の学校はのちにまとめられて本になります。僕としては版元「坂口恭平」を蔦屋重三郎みたいに立ち上げて、「お金の学校」という新著を自前で発行しようと思ってます。それなら家族からも文句を言われないはずです。しかもおそらく印刷費は100万円くらいだと思うのですが、もうすでに610万円入ってきてます。
さらに現実味を整えたいですよね。そうなると、次に必要なのが「右腕」という存在です。
明日は右腕についてお話ししましょう。それでは今日はこのくらいで。みなさん楽しい1日をお過ごしください。あ、あとみなさんも手作り通帳作ってみてください〜。
現在のお金の学校資金 610万円
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