コントが始まるの感想殴り書き

なんかもうまとまらなかったので箇条書きで羅列していくスタイルに。

・食事、食べることにまつわる描写が毎回とにかく素晴らしかったんですよね。
実家で春斗が食卓のお漬物を手でつまんで食べてる描写があったけど、お父さんも全く同じことをしていたりとか。最終回に手巻き寿司食べるところも良くて、手巻き寿司というチョイスもさることながら、最後に春斗がカイワレにマヨネーズ掛けたものだけ巻いて食べるところとか。如何にもありそうなシーンというか、絶妙なリアリティを感じた。
3人の下宿での貧乏生活、貧乏ご飯の描写も良かったし、でも瞬太はスナックに通えるくらいのお金があるのはプロゲーマー時代の貯金があるからで、でも3人で一緒に住んでるのは他の2人が大好きで一緒にいることを選んだからで…といった細かいところの整合性がとにかくちゃんとしているな〜という素晴らしさ。

・6人の関係性、ドラマ内での進行具合で言うと、

もともと付き合っていた潤平と奈津美は途中で醒めかけるも交際を継続

絶対に付き合わないとお互いに言っていた瞬太とつむぎは交際を開始

といった中で、じゃあ春斗と中浜さんはというと、最終回、春斗を待ち伏せた中浜さんが伝えたのはただただ自分が弱った時にマクベスに救われたという一点の曇りもない透明な感謝の気持ちでだったんですよね。
そして自分たちの活動に救われた人が1人でもいるということに、春斗も救われるような思いを感じるわけで。

中浜さんがファミレスでお花の質問をされて答えられた時に「自分が頑張ってきたことに意味があった」と気付いたように、春斗は中浜さんが救われたと言ってくれた時に自分たちが十年やってきたことは間違ってなかったのだと感じたのだと思う。
単純に恋愛に結びつけるのではなく、春斗と中浜さんの関係性を人と人との結びつきとしての描き方をしていたのが個人的にとても痛快というか、本当に素晴らしいなと思いました。

・その他、細かい部分でいうと、最初はやる気がなく淡々とした性格だと思ってた楠木さんが実はめちゃくちゃ3人の為に頑張っていたシーンも良かった。
あと、最終回、それまでどこか尊大さもあった春斗が1人になった途端にどこか頼りなく小さく見えたところとかも演技力すごいなってなったり。

・びっくりすることにここからが本題なんですけど、毎回の構成、連続ドラマだからこそ描けた物語だったというところがめちゃくちゃ好きで。
毎回、コントの冒頭シーンが描かれ、コントの落ちで物語が終わるというのが繰り返されるのだけど、やがて1話からのコントの順番が解散ライブのネタ順であることが示される(そしてここは楠木さんがマクベスのことをちゃんと見ていてずっと気に掛けていたことも同時に示されるというめちゃくちゃ凄いシーン)。
そして、解散ライブの日程は、現実世界で最終回の放送日にあたる6月19日であることも分かってくると。

つまり、ここで視聴者には「ははーん、これは最終回の最後で解散ライブの最後のネタのオチが流れる、つまり解散する日までの物語を描くんだな」という想像が働くんですよね。
でもって最終回を見たら、意外や意外、序盤で最後のネタのオチまで放送されて、ドラマ内では解散した“その後”の世界が描かれるんですよ。これがひとつ軽いショックというか、小さな仕掛けになってるんですよね。
(個人的にはここで「最後かもしれないだろ」で始まったFF10の物語が、回想が終わり物語が“今”に追いつくところを思い出したり)(いやまあ全然関係ないんだけど)

また、最終回の劇中にはコントを1話から振り返るシーンも入っていたりして、このあたりの伏線も丁寧に入っているのだけど、そのあたりが全てラストの素晴らしさに繋がってくるんですよね。

ここまでずっと、コントの終わりを物語の終わりにしてきた物語が、初めて“コントの始まり”のシーンで物語を終える、それも最終回の終わりを初回のコントの冒頭で終えるという構造の美しさ、そして「コントが始まる」というタイトルが、ここになんともいえない余韻を出してくるんですよね。
春斗があの恰好をしてるを見た時に爆笑しちゃったし、でもジーンともしちゃって思わず泣き笑いになってしまう。

マクベスとしての10年は終わったけれど、3人の新たな物語が始まる。それをコントと呼んだら良いのか、人生と呼べば良いのかは分からないけれど、とにかく物語が始まる。「コントが始まる」

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