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「片親疎外」に関するレポート(1)

 日本の家庭裁判所が、別居親の「片親疎外」(=一般に、子どもが一方の親(非監護者)を恐れたり拒絶したりするのは、好ましい親(監護者)の悪意ある影響に由来すると推定することを指す)という主張に影響を受けていると思われるので報告する。
 面会交流調停申立事件で、夫から妻への身体的暴力、精神的暴力のあった事案。同居時子ども(男児)への暴力も数回あった。妻が子どもを連れて別居後、面会交流要請があり、月に一度のペースで会わせていたが、その後頻繫に面会を求められ、宿泊付き面会の際に、夫から子への暴力(言うことを聞かないので殴る)があった(男児・小学校高学年時)。夫は子どもへ暴力について口止めしていたが、妻があざをみつけて発覚した。
 調停では、夫は暴力を認めたものの、解決したと主張し、反省の様子はなかった。さらなる暴力を懸念し、面会交流を拒絶する妻に対し、「片親疎外」を主張して非難していた。
 家裁は、「まずweb面会からはじめたらどうか」と言い、これに同調した夫は、家裁がそう言っているのに、web面会を拒絶する妻は「片親疎外」だと毎回膨大な量の文献提出とともに激しい主張をしてきた。
 調査官調査で、子どもは当分、父には会いたくないと言っているのに、安易にweb面会なら安全と提案する家裁は、子どもの意見心情をまったく聞いていないと感じ、また夫の「片親疎外」の主張に引っ張られている印象を受けた。
 結局子どもの写真を渡す程度に落ち着いたが、web面会ですら子どもの心理的安全性は確保できないことを家裁に説得するのには大変労力と時間を費やした。
(紺碧の空)

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