2018年2月6日の日記

以前、この世に生まれなかった作品を作っていた頃に、某自動車メーカーのデザインスタジオの方々とお仕事をさせてもらう機会があったのですが、その時に感じたのが基幹産業である自動車メーカーのデザイナーさんたちの恐ろしいほどのコンペを勝ち抜くことに対する凄まじい貪欲さで、自分のデザインではない作品に対する講評にも真摯に耳を傾け、それを次の自分のデザインに「必ず」入れ込んでくることを目の当たりにした時に、講評という行為の責任の重大さに恐ろしさを感じるようになりました。

と同時に自動車という基幹産業において、デザインという購買する上での重要なファクターをディレクションする統括部長であったり重役の方々のプレッシャーの凄さを想像しました。

普段、僕らのようなアニメ作品におけるデザインに対するプレッシャーは、彼らが日々感じているものに比べたら、本当に微々たるものだと思います。なのにそんな彼らから「日本のアニメ、特にガンダムに影響を受けていない日本のカーデザイナーはいない」と言われると、関係者では有りませんが誇らしくもあり、また気恥ずかしくなったりもしました。

あれから随分と月日が流れ、いくつかの作品のデザインのディレクションに立ち会いましたが、その度に彼らの講評の時に感じた緊張感を思い描くようにしていますし、それをアニメのデザイナーに伝えるのも、そういう機会に恵まれた僕のやるべき事なのだと思います。

……という雑感を思い描く朝でした。

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