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ミルクティー

ミルクティーが好きである。牛乳の消費が奨励されるより前から、毎日のように飲んでいる。

お紅茶が出て来るような家の育ちではなかったので、子供の頃は牛乳とジュースで育った。精々が高校生の頃、リプトンの紙パック入りフルーツティーを啜ったのが紅茶との出逢いになるだろうか。あれとて、フルーツティーと言うよりは「紅茶フレーバーのするジュース」と呼んだ方が相応しかろうが。

きちんとした紅茶(と言うとリプトンに失礼か)に出逢ったのは二十歳を過ぎてから、中学以来の悪友が突然「紅茶マイスターの資格を取る」と宣い勉強し始めたのが契機だ。奴はその年の私の誕生日に、種々の茶葉やら、紅茶に合う焼き菓子やらを自らセレクトして、袋いっぱい詰めたものを贈ってくれた。ブラックティーを初めて口にし、想像よりずっと飲み易いことに驚いた。茶葉によって明確に味が違うというのも面白かった。

口から先に生まれたと思しき悪友と、自他共に認める聞き上手の私だったので、奴の得た紅茶蘊蓄はすっかり私に口伝されてしまった。ミルクティーに向いた茶葉、向かない茶葉があるというのを教わり、次第に理想のミルクティーを目指し試行錯誤するようになった。気付けばすっかり茶道楽である。LUPICIAのグランマルシェでは毎年、買い込み過ぎて1万円を超えないよう必死になって電卓と睨めっこする始末だ。


折角なので、私なりに研究した美味しいミルクティーの手順をメモしておこうと思う。濃い目のロイヤルミルクティーが好きで、茶一杯にかける手間暇を厭わない人は、是非真似してみて欲しい。

道具は小鍋、カップ、茶漉し、ティーポット、薬缶または電気ポット。材料は茶葉、水、ミルク。

茶葉はアッサムCTCが好ましい。CTCとはCrush, Tear and Curlの略で、つまり砕いて丸めた粒状の茶葉だ。元々コク深くミルクティー向けであるアッサム産茶葉を、表面積を増やすことで更に濃く抽出出来るよう加工してあるものだ。私はLUPICIAのシロニバリCTCを好んで使う。勿論お好みで他のアッサム茶葉でも良い。

ミルクは是非、低温殺菌牛乳を使用して貰いたい。通常安価で出回っている牛乳は大体100度以上の高温で3分程度殺菌してある。高温であれば当然殺菌力が高い為、賞味期限がその分長く確保出来、流通させ易い。一方低温殺菌牛乳は50〜60度の低温で、30分以上時間をかけて殺菌してある。殺菌力が高温に比べて劣るこの手法を使うと、賞味期限は勿論短くなってしまうが、生乳本来の濃厚さをある程度残した仕上がりになるのだ。この濃厚さが美味しいミルクティーには不可欠なので、多少値が張っても買い求めて欲しい。

ところで、ミルクティーの本場イギリスでは、職場の冷蔵庫に個々人がミルクティー用牛乳をストックしていて、しかも他人に勝手に消費されないよう鍵まで掛けているというのは本当だろうか?まあ気持ちは解る。それだけミルクティーのミルクは重要なのだ。

さて漸く作り方だが、先ずは薬缶もしくは電気ポットで纏まった量の熱湯を沸かして欲しい。これは茶器を温める為のお湯なので、ご使用のカップとティーポットを満たせる量沸かしておく。

次に小鍋でも湯を沸かす。此方は茶葉を浸出する為のお湯だ。欲しいミルクティーの総量の半分以下。沸いたら茶葉を投入する。こちらの量は葉によって変わって来るだろうが、カップ一杯分につき茶匙一杯くらい。私は大抵目分量で済ませてしまう。

そのまま5分煮出す。温め用の湯が沸いたならこの隙にポット、茶漉し、カップを温めておこう。

5分経ったら湯と同量くらいのミルクを鍋に投入する。

此処からは鍋から目を離さないで欲しい。ミルクティーが完全に沸騰してしまう前、液面が少し盛り上がって来たかな?というタイミングで火を切らなくてはならないからだ。牛乳は沸騰すると味が変わってしまう。出来る限り沸騰直前で火を止めていただきたい。

温めておいた茶漉しでティーポットにミルクティーを移す。同じく温めておいたカップに注いだら、濃厚ロイヤルミルクティーの完成である。お好みで砂糖や蜂蜜を混ぜ、バターの効いた焼き菓子と一緒に御賞味いただきたい。私の一推しはジュールスデストルーパーのバターワッフルか、森永クッキーのムーンライトである。

以上が私のミルクティーレシピだ。有名店のレシピを参考にしているので然程オリジナルということもないのだが、此処は私の文章力リハビリの場なので内容への文句は受け付けない。そもそも、こんな辺境のnoteで一々投稿に目くじら立てる人間が居るとしたらきっと脳に栄養が足りていない人間だ。牛乳を飲め。低温殺菌牛乳を。そして酪農家さんに感謝されるが良い。

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