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北海道旅行記 小樽編

はじめに

 はじめまして、キョウ未明と申します。
 9月に小樽を中心に北海道旅行に行ったので『TOKYO6とかSynthVとかCeVIOとかVOICEPEAKとか Advent Calendar 2023』に合わせて文章を書いてみようと思い、いい加減そろそろ買い替えたい8年目のノートPCのキーボードをギシギシ叩いている次第です。


旅行をするに至るまで

「小春六花」「夏色花梨」「花隈千冬」にハマり出して1か月と少し経った頃、とある情報が目に飛び込んできた。

 どうやら小樽潮風高校Project「第四回小樽まちめぐりスタンプラリー」が9月2日から開催されるらしい。小樽を巡りながらスタンプを集め、先着で限定グッズが手に入る。特別なグッズも売られるという。

 行きたい。とても行きたい。オタ活は楽しいし、聖地巡礼というか好きな作品と馴染みのある場所を巡れば、キャラクターたちの実在性が格段に上がるのでどうしても行きたい。北海道の美味いもん食いたいし、なにより私は北海道に行ったことが生まれてこの方一度も無く、初めての北の大地に足を踏み入れたいという思いがあった。しかし、私の前には大きな課題が待ち構えていた。



 お金あるある:ない



 いや、でも北海道行きてぇなァ……。
 そう思った私は北海道に行くあらゆる空路、陸路、航路を調べ始めた。空路は早いが値が張る。陸路はポイントで安く新幹線に乗れるが、函館からの特急が厄介。航路は安いがとても時間がかかる。この距離の夜行バスに乗ろうものならケツが6パックに割れてしまう。さて、どうしたものか……。

 三日三晩、しっかり睡眠と食事をとって考えた結果、PCを買うために貯め始めていた貯金を全部使うことにした。だからまだPCを買い替えられていない訳だ。同情するなら金をくれ。
 行きの飛行機を予約し、準備万端。キャリーケースをガラガラ鳴らし家を出た。日付は9月25日。本日は移動に費やし、26日と27日で小樽を観光する。

 乗る予定の飛行機は昼過ぎに羽田空港を発ち、夕方頃に新千歳空港に着く便だったので、予め昼ご飯を食べておく必要があった。折角羽田空港にいくのだから、こちらで食べてしまおう。そう思って空港内の飲食店が並ぶところをふらふら歩いていると、店頭に美味しそうなオムハヤシの食品サンプルを見つけると、吸い寄せられるようにその店に入った。

図1 銀座ライオン 羽田空港店『銀座ライオン オムハヤシライス』

 腹ごしらえを済ませたところで、まだ少し飛行機の搭乗までは時間があり空港内をぶらつきながら搭乗口へ向かった。


北の大地、いざ行かん!

 私は今から、北海道に行く。六花たちに会える。そう思うだけで心が躍る。搭乗券を握りしめ、ゲートをくぐった。

図2 新千歳空港行きの搭乗券

 乗り込んだ人生初の格安航空、スカイマークの飛行機は羽田空港を飛び立った。関東から北海道に格安航空を利用して行く場合は成田空港の方が就航数が多いのだが、自宅から成田空港がかなり遠いので羽田空港を利用した。どれくらい遠いというと、特急を使っても自宅から成田空港に行くのと、成田空港から新千歳空港に行くのにかかる時間がさほど変わらないくらいである。航空券検索で東京(成田)って出すの辞めた方が良い。千葉の僻地じゃんアレ。
 余談だが、スカイマークはなぜかキットカットをくれた。なんで?

図3 機内サービスでもらったリンゴジュースとキットカット

 私は今まで飛行に乗った回数はそれほど多いわけではない。同世代の友人には卒業旅行や学会で国内外に飛んでいる者も少なくないが、自分はそういうものに縁がなかった。修学旅行と2度の家族旅行以外に学生団体で中国地方に行った時くらいしかなく、久々の飛行機というものテンションが上がっていた。
 ふと機内のモニターを見ると、もう福島県上空を飛行しているではないか。昔、青春18きっぷで日帰りで郡山に行った時は往復12時間かかったのに、飛行機ならチョコレートとジュースをキメている間にこんなところまで来てしまうらしい。いかに飛行機が早いかを思い知らされた。

北海道、着弾!!

 夕方頃、私を乗せた飛行機は新千歳空港に到着した。着陸が上手すぎて驚いた。タッチダウンが今までのフライトで最も静かで、敏腕の機長だったのではないかと思う。飛行機を降りるとそのままJRの新千歳空港駅に向かう。屋外に出るとこの季節にしては少し肌寒く、北国に来たことを実感する。関東はまだ暑かった。JR新千歳空港駅に着くと、かの有名な壁画に出くわした。

図4 バカ

 デカァァァァァいッ説明不要!!
 これをひとたび見れば北海道内で移動に飛行機が利用される理由がわかる。デカすぎる。でっかいどう。
 さて、改札を通り快速エアポートに乗り込む。行先は勿論小樽駅……ではなく札幌駅だ。今回の旅行は小樽がメインなのだが、拠点は札幌に構えることになっていた。というものも、実は合成音声好きの友人が札幌に住んでおり、その友人宅に乗り込むお世話になることで宿泊費を浮かすという算段だった。正直なことを言えば、ホテルトリフィート小樽運河のコラボルームに泊まりたかったのだが、内地の貧乏大学生には流石に手が届かなかった。いつかリベンジしようとは思っている。
 そんなこんなで札幌駅に到着。道民は札幌駅のことを札駅(さつえき)と略すらしい。そんな札幌駅で友人と合流。

図5 JR札幌駅 駅名標

 私は遠方に出かけた時によくすることがある。それは、その地の駅にある近距離きっぷ運賃表を見ることだ。新千歳空港、札幌、小樽は勿論知っているし、難読地名として有名な俱知安やこの界隈でどういうわけか有名な手稲という駅名も見ることができる。しかし、多くの駅名は聞いたことのないものばかりだ。これを見ると、遠くに来たことを実感できるのだ。
 こういうのでいいんだよ、こういうので。

図6 JR札幌駅 近距離きっぷ運賃表

 明日の小樽観光に控え、今日はどこかに行くでもなく友人宅で籠城することにした。友人に晩飯をどうするかと聞かれ、何も考えていなかったことに気がつく。そんなことを話していると、とある店が目に飛び込んでくる。コンビニのような店構えだが、勿論地元にあるようなコンビニであれば注目することはなかったであろう。しかしここは北海道。北海道で有名な店といえばセイコーマートである。セイコーマートは関東にも茨城県と埼玉県に店舗が存在しているらしいが、私は見たことがない。多分関東には実在しないんじゃないかなぁ。

図7 セイコーマート

 セイコーマートで晩飯とおやつを調達し、友人宅に向かった。電子レンジを借り、激安パスタを温めて食べたところ普通に美味い。価格に釣り合っていない美味さだ。この価格でこの味は見事。税抜128円だったが、前までもっと安く税抜価格が100円程度だったらしい。お願いだから関東にもっと進出してくれ。頼むよ。というかセコマに住ませてくれ。
 パスタの後におやつを食べた。食べる前に写真を撮っておき、ハッシュタグをつけて投稿した。

 トド岩行きが決まってしまった。どうして。

小樽スタンプラリー 一日目

 翌日、セイコーマートの焼きうどんを食べ、友人と共に家を出た。さて、いよいよ小樽に向かおうじゃないか。札幌駅で普段見慣れないJR北海道の車両に乗り込む。行先は小樽。今の私をここまで心躍らせる二文字は他に無いだろう。
 札幌を出て暫くした頃、列車は星置駅を出てついに小樽市に入る。次の銭函駅のあたりから列車は日本海側に沿った線路に乗り出す。普段、太平洋側に住んでいる身からすれば日本海というだけで特別感がある。旅先で見る海は地元の海とは違う何かを感じさせてくれる。単に地元の海が汚いだけかもしれないが。
 朝里駅を通り小樽築港駅あたりからは我々観光客がイメージするような港町・小樽の雰囲気がしてくる。大昔に小樽駅という名前だったこともある南小樽駅を通ると、「次は小樽、終着です」と車内アナウンスがかかる。列車はホームに進入し、ゆっくりと停車した。ドアは私たちを歓迎するように快く開いた。一歩踏み出し、列車を降りる。私は今、かの小樽に居るのだ。
 さて、小樽駅に着いたところでやらねばならないことがある。

図8 JR小樽駅 voicepeak版六花の等身大パネル

 六花が"居"る……


  改札を出たところにしれっと等身大パネルが設置されてあった。特設コーナーみたいにしても良いんじゃないかと思ったが、よくよく考えて見れば改札を出た脇にいるくらいがちょうどいいのだ思った。六花と待ち合わせをしていて、六花が先に来ていたとしたらこの辺りで待ってくれているのだろうか。仰々しくなく、ある程度溶け込むような場所であるからこそ、実在性を感じられるのだろう。
 また、駅に設置されているというのがこのパネルから実在性を感じる一つの重要な要素になっているのだと思った。小樽市以外の場所では電器屋や楽器屋に合成音声キャラクターのパネルが設置されている場合がある。だが、電器屋や楽器屋の作曲ソフトコーナーで人と待ち合わせをすることはまずない。しかし駅ならどうだろう。特に改札を出た辺りなどは待ち合わせ場所として絶好の場所だと思うのだ。

 さて、小樽駅を出て小樽市観光物産プラザ、通称運河プラザに向かう。スタンプラリー帳と最初のスタンプを手に入れなければならない。友人と一緒にスタンプ帳を購入しスタンプを押し、スタンプの絵柄の缶バッジを購入した。今回のスタンプラリーでは住吉神社にスタンプの設置はなかったものの、缶バッジは運河プラザで購入することができた。限定グッズも購入しようと思ったが、9月26日はスタンプラリー期間が終わりかけており、法被以外のグッズが残っていなかった。買おうか迷ったが、後々の事も考えて一度見送ることにした。とりあえずスタンプラリーに漕ぎ出して、また後で買うか判断しよう。
 早速、次のスタンプを押しに……としそうなところだが、運河プラザにはAI六花ちゃんがいるので寄ることにした。

図9 運河プラザ AI六花ちゃんと花梨と千冬の等身大パネル

 ヨーグルトネタやフリモメンネタを話しかけようとしたが、そもそも近くに人がかなりいて、話しかけにくい雰囲気だったので諦めて次のスタンプを押しにいくことにした。

 運河プラザから中央通りを通って都通りに向かう。都通りはアーケードの商店街になっており、様々なお店が並んでいた。スタンプを押しに行く前に六花の等身大パネルが目に入ってきたので写真を撮った。

図10 アニメニクス前 六花の等身大パネル

 アニメニクスでアルバイトをしている六花のパネルだった。ここに来たからにはしなければならない通過儀礼がある。

図11 オタク君さぁ……

 このままグッズを買おうかとも思ったが、どれを買うか迷って時間を潰しそうだったので後回しにした。そろそろ都通り商店街のスタンプを押そうと思い、都通り商店街事務所の入り口に向かった。同じ通りにあるのですぐに行ける距離だった。スタンプの設置場所には幟と六花のパネルも併設されていた。

図12 都通り商店街事務所入り口 スタンプと六花の等身大パネル

 このスタンプの柄の缶バッジはアニメニクスに売ってあったので、今思えばさっさとアニメニクスに行って買ったほうが良かったのだが、この時すっかり忘れていた。念のため言っておくと、後で無事に缶バッジを購入できたので問題はなかった。

 都通り商店街には他にもオーセントホテル小樽の前に等身大パネルが設置されてあった。

図13 オーセントホテル小樽 六花の等身大パネル

 六花はここでもアルバイトをしているらしい。頑張っていたのでヨーグルトを差し入れた。今回の旅行では食べるタイミングを逃してしまったが、オーセントではスタンプラリーのコラボメニューがあり、次回でも提供があれば食べてみたいと思う。

 次に、都通り商店街からほど近くにあるグリッズプレミアムホテル小樽を訪れた。ここには千冬の等身大パネルとスタンプが設置されていた。

図14 グリッズプレミアムホテル小樽 千冬の等身大パネルとスタンプ

 グリッズの雰囲気があまりにお洒落過ぎて、日陰者の大学生が入るのは少々躊躇われたが、ホテル側は何にも思っていないようで快く迎え入れてくれた。缶バッジも手に入れることができ、満足して次に向かうことにした。

 次の目的地に向かう道中、近くに行ったので手宮線跡地に寄った。花梨がいたので写真を撮った。

図15 手宮線跡地と花梨

 花梨に一度別れを告げてから、次のスタンプを押すためにホテル・トリフィート小樽運河に向かった。お金があればここのコラボルームに泊まりたかった。せめて一室に二名まで泊れるようにしてくれませんかね……。

図16 ホテル・トリフィート 小樽運河 六花と花梨のパネルとスタンプ

 トリフィートには等身大パネルも六花と花梨の2つある。また、スタンプも同様に六花と花梨のものがある。ちなみに、このスタンプのうち花梨のものは貴重な入浴シーンになっていまsグヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ

図17 ホテル・トリフィート 小樽運河 花梨のスタンプの絵柄

 ぷはぁ。
 花梨の出汁を一滴残らず頂いたところで、次は小樽ビール小樽倉庫No.1に向かおうとトリフィートを出ようとしたところ、ホワイトボードに謎の生物が描かれていた。運がっぱと名乗る謎の生物が「小樽を楽しんでね♪」と言葉をかけてくれた。後で調べたところ、このキャラクターはおたる運がっぱという立派な小樽観光協会推奨ご当地キャラクターらしい。北海道のゆるキャラはヤバい奴らばっかという偏見があったので、こんなかわいらしいキャラクターがいると知ってほっこりした。

図18 ホテル・トリフィート 小樽運河内のホワイトボードに描かれた運がっぱ

 トリフィートから小樽運河を挟んで向こうに小樽ビールはある。ここにもスタンプがあり、六花がアルバイトをしている。マジで六花バイトしすぎでは? 勉強とか部活とかちゃんとやってんの?
 さて、私はスタンプを押して缶バッジを買っただけで退散してしまった。だが、どうやらこの施設はビールの醸造を見学できるらしい。なかなか無い機会だと思うのでいずれ見学してみたいと思う。余談だが、実は高校時代に授業としてビールの工場見学に行く機会があった。しかし、それをサボってどうしても行きたい航空宇宙系のイベントに行ってしまった。

図19 小樽ビール小樽倉庫No.1

 小樽ビールを出て、次は浅草橋観光案内所に向かう。関東に住む私からすると、「浅草橋」と聞いて思い浮かべるのは秋葉原の隣にある浅草橋なのだが、私が調べた限りではこちらの浅草橋とは無関係だそうだ。また、どちらも浅草寺というお寺があるのだが、東京の方は「せんそうじ」、小樽の方は「あさくさでら」と読むらしい。
 さて、この浅草橋観光案内所は小樽の観光の目玉である小樽運河にある。ここでは千冬に会ったので写真を撮った。

図20 小樽運河と千冬

 小樽運河は観光客でごった返していた。外国人観光客も多く、修学旅行か学校行事か、大人数の学生らしき若者とそれを引率する大人の団体もいた。後で調べたら小樽の高校の集団が来ていたらしい。その場にいたカメラマンに「○○高校の方ですか?」と聞かれたので違うと答えた。一度大学すら卒業している身だが、まだまだ高校生としてやっていけそうだ。というか、あれ「そうです」って言ってたら写真を撮られて、その高校で写真が販売されていたのだろうか。写真販売前にチェックされて弾かれるのだろうか。今度、カメラマンのアルバイトをしていた友人に聞いてみようと思う。

 小樽の街を歩いていて気が付いたことがある。まずは下の写真を見てほしい。

図21 小樽市内のコンビニエンスストア

 

 なんか看板の色濃くない?

 もっと明るい緑や明るい青じゃなかったっけ? ローソンってもっと水色っぽくないか? そう思ったのは間違いではなかったらしく、小樽市には景観条例があるらしい。記憶の限りでは今までに鎌倉、京都、奈良、伊勢の街で景観条例に配慮したコンビニエンスストアの看板を見たことがあったが、小樽にもあることは知らなかった。

 コンビニはさておき、小樽ビールのスタンプで7つ目である。今回のスタンプラリーでは、スタンプを7つ集めると先着で限定のクリアファイルがもらえる。ということで、一度運河プラザに戻り、クリアファイルを手に入れた。残り少ないと聞いていたので在庫を心配したが、まだ残っていて良かった。
 さぁ、そろそろアニメニクスで売られているグッズを買おう。いろいろグッズがあるからどれを買おうか……と思いながら店に入る。

図22 アニメニクス店内の展示と販売グッズ

 なんとタペストリーと都通り商店街のスタンプの缶バッジしか残っていない。9月下旬には、もうグッズはほとんど残っていなかった。そういえば、運河プラザも法被しか残ってなかったな……。選ぶ手間がなくなったと思ってタペストリーと缶バッジを買った。

図23 アニメニクス店内の展示(図22の展示の下)

 時計を見ると13時前を指している。腹も空いてきたし、そろそろ昼飯にありつこうじゃないか。北海道といえばという食べ物は数多あるが、その中でも海の幸を外すことはできないだろう。そして小樽は言わずと知れた港町。ということで三角市場に来た。

図24 小樽駅前 三角市場

 ここに来た理由は一つ、スタンプラリーの場所である滝波食堂の名物である海鮮丼である。店前に行くと入店待ちの人たちで溢れていた。待ち名簿に記入をすると、店員の方から「四、五十分後くらいに来てください」と言われた。適当に時間を潰してから三角市場に戻る。結局、一時間くらいで中に入ることができた。正直、一時間半くらい待たされるのを覚悟していたがそれ程待つことなく海鮮丼にありつけそうだ。
 目当ては海鮮丼の中でもわがまま丼、好きな具材を選んで乗せてくれる海鮮丼だ。折角ここまで来たんだ、ここでケチるわけにはいかない。無い袖を振って、サーモンといくらとマグロとホタテを乗せてもらい、蟹汁のオプションをつけた。

図25 滝波食堂 わがまま丼 ネタ4品 蟹汁付き

 もう美味い。見るだけで美味い。匂いも美味い。これだけで米3杯くらい行けそうだが、それよりこのわがまま丼そのものを食べた方が絶対に美味いはずだ。早速頂くことにしよう。いただきます!

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図26 わがまま丼を食べた時の私のイメージ

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 人間は許容範囲を超えた旨味を味わうと、理解が追い付かなくなる。いや、マジで。「食ってみな、飛ぶぞ」の「飛ぶ」とは、おそらくこういうことなのだろう。海鮮丼とは、宇宙なのだ。

 腹ごしらえも済んだところで、そろそろ次の目的地に向かおうじゃないか。今までは小樽運河周辺のスポットを回っていたので、全て徒歩で移動してきたのだが、ここからはバス移動がメインになる。ということで、小樽駅でバス一日乗車券を購入しようと思ったのだが、券売機には「発売中止」と書かれていた。どうして。
 困った我々は急いで販売場所を調べる。どうやら運河プラザやオーセントホテルなどで売っているらしい。まだ運河プラザは分かるが、オーセントで売っているのか? 半信半疑で、とりあえず近い方のオーセントに向かった。
 フロントで受付に「小樽のバスの一日乗車券をください」と伝える。受付の方はあまりピンと来ていない様子で「ちょっと待っていてください」と裏に行った。予想通り、オーセントでわざわざバスの一日乗車券を買い求める人はあまりいなさそうだ。2~3分くらいで、チケットらしい細長い紙を持って受付の方は帰ってきた。
 こうしてなんとかバスの一日乗車券を手に入れた我々は小樽駅に戻り、そこから小樽水族館方面のバスに乗る。約20分ほどで「祝津3丁目」で着き、そこから5分ほど歩くと、愈々目的地の看板が見える。

図27 にしん御殿 小樽貴賓館(旧青山別邸)の看板

 小樽がニシン漁で栄えた歴史を刻む遺産の一つである小樽貴賓館である。公式二次創作の設定において、夏色花梨の実家ということになっている。ここにはスタンプがあるだけではなく、花梨のパネルが設置されていたり、館内の喫茶店にコラボメニューが用意されたりと、今回の小樽探訪において外せないスポットである。早速、建物にお邪魔したいところだが、それより先に行きたいスポットがある。

図28 開運の釜 外観

 夏色花梨の「夏色」を「夏木」を間違えることをはじめ、夏色花梨に不敬をはたらいた物が刑として煮られる開運の釜である。入口の両側にある車輪のようなものは良く分からないが多分パンジャンドラムだろう。冗談はさておき、釜そのものも見てみることにする。

図29 開運の釜

 デカくね? 花梨のでっかりんくらいデカい。釜の中を覗くと、いくらか小銭が入っていた。賽銭箱代わりと思った人が小銭を入れたのか、それともこの釜で煮られた人間が__

 夏色家に粛清される前に屋敷にお邪魔してしまおう。貴賓館に入り靴を脱いで靴箱にしまう。よく見れば近くの靴箱に何か貼ってある。それはどうやら張り紙のようで何か書いてある。見ると、「ダイヤモンド・プリンセスのお客様」と書いてあった。
 ダイヤモンド・プリンセス……。どこかでこの名前を聞いたことがある。そうだ、新型コロナウイルス感染症が日本に入ってきたきっかけが豪華客船であるダイヤモンド・プリンセス号だ。第一波か第二派くらいが収まったあたりで、とある友人とその騒動の舞台になった横浜港に行った思い出があるが、この話題はセンシティブなので、これ以上は語らないことにする。
 さて、調べてみるとこの日の朝に運河プラザの公式アカウントの投稿が引っかかった。

 たまたまこの日に小樽港にダイヤモンド・プリンセス号が入港していたらしい。奇遇だ。普段の様子を知らないが、なんだか屋敷内に外国人観光客らしき人が多いような気がする。

 さて、奥に袴姿の花梨がお出迎えしてくれた。ここは彼女の実家だ、「花梨さんを僕にください」という覚悟はできているが、それを実行して周りの観光客に引かれる覚悟は無いので、大人しく写真を撮りスタンプを押した。

図29 小樽貴賓館(旧青山別邸)内 袴姿の夏色花梨の等身大パネル

 缶バッジも購入し、折角来たのでコラボメニューも頂こう……というところで、外国人女性に声を掛けられた。どうやら、写真を撮ってほしいとのことだった。スマホでシャッターを押すくらいは私にもできるのが、困ったことがあった。日本では「3、2、1、はいチーズ」という掛け声ではあるが、この女性の文化圏ではどう言うのだろう。よく分かんなかったので「スリー、ツー、ワン、……」とかチーズ抜きで言っていたが、なんとかなったらしい。
 さて、改めてコラボメニューを見ると全部で4種ある、どれにしよう……。今回を逃せば、次はいつスタンプラリーの期間に小樽に来れる保証もない。それは、コラボメニューについてくるコースターを手に入れる機会も失うかもしれない……。幸いなことに、私は理解のある彼くん(友人)がそばにいる。出した結論はこうだ。

図30 小樽貴賓館(旧青山別邸) スタンプラリー コラボメニュー

 やはり持つべきは理解のある彼くんである。二人で分け合い、コースターを4種手に入れた。あと3種類集めればコンプリートである。六花のドリンクと花梨のワッフルを頂いた。六花と花梨でわっふるわっふる!
 甘味に舌鼓を打ちながらふと右を見れば、風情ある日本式庭園が広がっており、新婚夫婦らしき二方をカメラマンが撮影しているのが見えた。いつかあそこで私と花梨が撮影をするんだ。

 コラボメニューを完食し、喫茶店を出ると外国人観光客らしき方々は姿を消していた。靴箱にも先ほどまであった張り紙も剥がされていた。もうあの方々は別の場所に向かったのだろう。私たちも次の目的地に向かおう。その目的地であるおたる水族館はここからは徒歩でいける場所にある。入口で待ち合わせていた相手は先に着いていたようだ。

図31 おたる水族館入口 私服六花の等身大パネル

 「よっ」ってこちらに手を少し上げる六花。やっぱ、待ち合わせってシチュエーションは実在性高く感じる。しかもこのおたる水族館は大盤振る舞いで、この六花のパネルに加えて、3人の書き下ろしパネルと音声ガイドが用意されている。もうここに住みたい。住むか。

 スタンプを押し、チケットを買う。館内で最初に会うパネルは六花が解説員をしているものだった。しかもこのパネルの脇には六花の公式二次創作プロフィールが記され、ちゃんとヨーグルトが好きと書かれている。

図32 おたる水族館館内 解説員六花の等身大パネル

 正直なことを言えば、スタンプやパネルなど小樽潮風高校関係の展示を目的で水族館を訪れており、あまり展示を目当てにしていなかった。しかし、予想以上に通常の展示が面白い。特にイルカショーのプールの水中の様子を見られる場所はずっと見ていられる。既に夕方で閉館まであまり時間のない時刻に入館したことを公開する。まだこの水族館に行ったことのない人に向けて言えば、そこそこ水族館が好きな人であれば普通に一日潰せそうな内容である。今度来るときはしっかり時間を確保して見学したいと思う。
 そう思っていると、次のパネルが待ってくれていた。

図33 おたる水族館館内 イルカショー花梨の等身大パネル


 俺、このイルカになりたい。


 花梨に調教されてご褒美を貰って生きていきたい。
 このパネルにあるように、期間限定で実際のイルカショーで花梨の音声が流れたりもしたらしいが、この日は既にイルカショーが終了していたのでそれを聞くことはできなかった。花梨のプロフィールをよく見ると、「今回、おたる水族館でアルバイトを始めることに」とあり、花梨はしっかりアルバイトという設定があるようだ。先ほどの六花のパネルと後に出てくる千冬のパネルの絵は制服の上に仕事着を着ているのに、この花梨のパネルはそうではない。イルカショーの仕事の都合上の物なのだろうが、花梨の家はおたる水族館に近いから、一度家で着替えてからアルバイトに来たと妄想したい。 
 ところで、水族館のアルバイトってショップの店員とかじゃなくてイルカショー任されることってあるのだろうか。まぁ任されるほどの信頼とこなせる技量があるのだろう。相当自信が無いと「音声ガイドなら私に任せなさい!」とは言えないだろう。放送部員だとしても相当な手腕だと思う。もしかしたら、小樽潮風高校放送部も強豪なのかもしれない。

 次は千冬のパネルを拝みに行こうと思うが、その前に寄らなければならない場所がある。

図34 トド岩

T  H  I  S

I  S

T  O  D  O  I  W  A


 昨晩、流刑を宣言されたかのトド岩である。これを見越して、わざわざ昨晩トド岩を命じられるようにトド岩チャレンジをしたというわけだ。勿論、ただの岩なのだが、今まで散々トド岩の名前を聞いてきたせいで謎の感動を覚えている。今回の旅行で最も「聖地」に来たという感覚がある。まぁ、あんだけTwitterやらなんやらで毎日のように名前を聞いてきたわけだから、仕方のないことなのかもしれない。

図35 トド岩とセイコーマートで買ったヨーグルト

 冗談抜きで今回の旅行で一番テンション上がった瞬間かもしれない。なんでだよ。ひとしきり写真を撮り、テンションが落ち着いてきたところでふと右の方を見た私は、またテンションが元に戻ってしまった。

図36 トド岩のそばの柱状節理

柱 状 節 理 ! !

「何言ってんだお前」と思う方もいるだろう、しかし安心してほしい。同行していた友人も全く同じ反応を示していた。
 簡単に説明すると、岩が規則正しく割れた構造のことで、溶岩が徐々に冷えて固まるときに体積が小さくなるのだが、その時に安定した形にひびが入って固まる場合があり、これを節理という。この中でも、柱っぽい構造で割れて固まるのを柱状節理というのだ。私は特に地質学に明るいというわけではないのだが、こういう光景はそこそこ好きで、過去には地質学に詳しい友人に柱状節理や他の地質学的に面白い場所を見ようと静岡の伊豆・伊東や島根の日御碕に連れていってもらったことがある。まぁ、簡単に言うと地質学的にアツい光景を見ると興奮する体質なのだ。自分は熱くなっていたが友人は冷ややかな視線をこちらにくれていたので、私が冷えて節理になりそうだった。少なくとも心にヒビは入った。


注:地質学の有識者の方へ

 私は地質をはじめ地球惑星科学はおろか、高校の地学や地学基礎すら履修していない全くの素人です。写真の構造は柱状節理と上で述べましたが、実際は遠くから目視で見ただけなので、本当に柱状節理という確証はありません。また、素人なので節理の細かい違いが分かっていません。小樽の地質と石材の図1を見る限り、高島、祝津、赤岩辺りはDaciteと書かれており、少なくとも火山岩であることが読み取れると考えています。したがって、写真の節理は角ばっていますが、深成岩で起こりやすい方状節理は起こりにくいと考え、上では柱状節理としました。しかし、古い調査ですが昭和32年の調査では高島から赤岩にいたる海岸線にかけて祝津変朽安山岩が分布し、不規則な節理が発達するとあります。ですから、柱状節理と言っていいかも自信がありません。有識者の方はnoteのコメントでもX(旧Twitter)のDMでもいいのでご教授くださると幸いです。


 岩ウォッチングはほどほどに、そろそろ千冬に会いに行こう。館内に戻り、展示を見ながら進んでいく。

図37 おたる水族館館内 ペンギン飼育員千冬の等身大パネル

 俺、このペンギンになりたい。

 ペンギンになって、千冬に餌もらって、千冬に求愛行動したい。

 閉館時刻が迫っていたので、泣く泣くおたる水族館を出る。

 実は、このスタンプラリー期間、夜にしか見られない光景がある。ということで、再びバスに乗り、小樽駅に一度戻る。ここは小樽サンモール一番街。都通り商店街にほど近いこちらの商店街には、夜にしか見ることのできない場所がある。17時から開く小樽観光教会のナイトインフォメーションだ。ここはスタンプラリーに関係なく普段から17時から開くのだが、期間限定で私服姿の千冬のパネルが設置されていたのだ。すなわち、私服の千冬には夜にしか出会うことができない。

図38 小樽観光協会 ナイトインフォメーション 私服千冬の等身大パネル

 この時間から千冬からデート、してぇぇぇぇぇぇぇ……。17時から千冬とデートする同人誌を誰か下さい。どう考えても一晩過ごすの前提でしょこの17時スタートなんて、ねぇ?
 千冬ってドスケベ。

 さぁ、今日はかなりスタンプを全14個のうち10個も集めた。一日で集めたにはなかなか頑張ったのではないだろうか。明日もあるし、今日はもう十分かもしれな。しかし、ここは夜の小樽。まだ行かねばならない場所がある。私たちは再び小樽駅からバスに乗り込んだ。行先は天狗山。小樽市にそびえる天狗山は夜景の名所として知られている。

図39 小樽天狗山ロープウェイ 看板

 北海道の夜景と言えば函館や札幌が有名だ。事実、函館は函館山からの夜景は日本三大夜景の一角として、日本有数の夜景の名所であるし、札幌の藻岩山からの夜景もどうやら日本新三大夜景都市というのに選ばれているらしい。ただ、北海道には北海道三大夜景があり、このニか所に加えて小樽の天狗山からの夜景が加わるらしい。インターネットで調べるとなんか最近は天狗山じゃなくて札幌のJRタワーからの眺めが入るという記事もあったけど知らん。
 チケットを購入しロープウェイに乗り込む。9月下旬、観光シーズンというわけではないと思うのだが、観光客でかなり混んでいた。ドアが閉まり、ロープウェイは斜め上に引っ張られる。ゴンドラ内に解説のアナウンスが掛かり、少しすると夜景が見える。確かにとても綺麗だ。展望台からの眺めに期待が高まる。5分程度で展望台に到着すると、ドアが開き乗客が降りる。早速展望台に行く前に、花梨に会いに行こう。

図40 小樽天狗山 山頂施設内 夏色花梨のスタンプと等身大パネル

 スタンプを押し、缶バッジも手に入れた。余談だが、ここのスタンプの絵柄がかっこいい花梨でめちゃくちゃ好き。誰か、SDじゃないバージョンの花梨のこの絵を描いてほしい。グッズ出ないかなぁ……。

図41 小樽天狗山 花梨のスタンプの絵柄

 そろそろ夜景を眺めよう。展望台へのドアを開けると、風が吹いている。小樽の気温は摂氏16度。これはおそらく高所の気温ではないし、風のせいで体感温度はもっと低いだろう。普段、神奈川の温暖な場所に住んでいる身にはそこそこの防寒をしていても肌寒さを感じる。展望台の奥に行くと、小樽の街と石狩湾が広がっていた。

図42 小樽天狗山からの小樽夜景

 漆黒の空と石狩湾は境目を失くし、衍盈たる人の輝きは燦燦と闇を照らす。特に港は光が強く、海の闇とのコントラストが印象的だった。海は全くの暗闇で……。

 ちょっと待って、何か海に光が浮いてない? しかも割とデカめの光源ない?

図43 小樽天狗山から見えた海に浮かぶ謎の光源



……………………




ダイヤモンド・プリンセス号やんけ!



 どうやら小樽港を出港したところだったらしい。この後、豪華客船は石狩湾の闇を進んでいき、遂には見えなくなった。ひと通り写真を撮り、船を見送った頃には身体も冷え、暖を取るためにも施設内に戻る。
 施設内にはTENGU CAFEという喫茶店があり、ここでもコラボメニューを楽しむことができる。メニューは全部で3種類。それぞれ3人をイメージしたドリンクだ。もう何を頼むかは決まっている。

図43 小樽天狗山 山頂施設内 TENGU CAFE コラボメニュー

 全部飲むに決まってるじゃないか。とりあえずこれでコースターをもう3種類手に入れ、7種類コンプリートをすることができた。まさか、一日で全種類を揃えることができるとは思っていなかったのでとても嬉しかった。

 全て飲み干して落ち着いたら、再びロープウェイに乗り込み今度は天狗山を下山、そこからバスで小樽駅に戻って列車に乗った。札幌駅からセコマに寄って友人宅に戻り、これで小樽スタンプラリー一日目を終えた。

 この日の夜、とある情報が入った。運河プラザでは法被以外のグッズは全て完売でもう手に入らなかったが、どうやらトリフィートに幾らかグッズが残っているらしいとのことだった。これは明日行くしかない、そう思いながら明日に向けて寝ることにした。

図44 一日目 戦利品一覧



小樽スタンプラリー 二日目

 眠い目を擦りながら布団からの脱出を図る。3度目の挑戦にて成功。電子レンジでセコマのパスタを温めて口にかき込む。やっぱ美味ぇわ。身支度を整え、札幌駅に向かって家を出た。昨日と同じように、札幌駅から列車に乗り小樽駅に……は行かず、今日は一駅手前の南小樽駅で下車。南小樽駅で降りなければいけない理由があった。

図45 JR南小樽駅 六花の等身大パネル

 ここ、南小樽駅にも六花のパネルが設置されている。おそらく、このパネルの立ち絵の六花が南小樽駅が背景として書かれたからだろう。花梨は手宮線跡地、千冬は小樽運河を背景にしている。もともとの絵では、どれも背景が大きく湾曲していたり、物の大きさが変わっているのでなかなか写真で再現をすることが難しいが、それでも実在性を感じずにはいられない。本当に駅にパネルを置こうと最初に言った人は天才だ。

 南小樽駅を出てメルヘン交差点に向かう。メルヘン交差点は正式には境町交差点と呼ばれ、花梨の好物であるドゥーブル・フロマージュを販売する洋菓子店「ルタオ」の本店やオルゴール堂、蒸気時計や常夜灯などが構え、この境町の特徴である異国情緒を醸し出している。このメルヘン交差点から約900mにわたる道は境町通りと呼ばれ、海鮮料理・寿司屋やガラス屋、スイーツ屋や土産屋などが所狭しと並び、境町商店街を形成している。
 右にルタオ本店、左にオルゴール堂の2号館を見ながら少し進むと、左に境町通りの堺町通り観光案内所が見え(写真を撮り忘れました)、そこでスタンプを押す。そのまま通りを直進し、境橋を渡って数十メートル進むと、小樽郵便局と3つの旧銀行に囲まれた大きな交差点にたどり着く。そこを左に曲がり、少し進むと手宮線跡地のすぐ手前に、小樽文学館が見えてくる。

 本来であれば、小樽文学館には昨日行けたはずだ。事実、昨日は小樽文学館の目の前を通った。しかし昨日は火曜日ながらも祝日の振替ということで休館していた。今回の旅程を組む際、小樽観光の初日が休館日に当たるのは最初から分かっており、それゆえ昨日は端からスルーしたというわけである。さ、最初から分かってたんだからね!

図46 市立小樽文学館 千冬の等身大パネル

 建物に入り、階段を上がると千冬がお出迎え。スタンプを押し、残るスタンプはあと1つとなった。
 確か、この時の小樽文学館には小樽アニメパーティー関連の展示があり、いくつかの絵が飾ってあった。中には子どもが描いたであろう小樽組の絵があり、如何に3人が街に馴染んでいるかを感じることができた。今思えばもっとゆっくりここの展示を見るべきだったのかもしれない。

 小樽文学館を後に、先ほどの交差点まで戻り左に曲がる。直進すると、昨日ぶりのトリフィートが姿を表す。早速フロントにグッズが残っているかを聞くと、一覧を見せてくれた。どうやら、マグカップ2種と千冬のアクリルポスターがまだ残っているようだ。どれを買うか迷ったが、アクリルポスターにした。マグカップも欲しかったが、今回は止めた。

 トリフィートを出て、次の目的地に向かおう。もし、これを読んでいる人がいるなら、その中に我々が次にどこを目指しているのか分かっている人もいるかもしれない。トリフィートから概ね西南西の方に20分ほど歩くと、それは傲然屹立していた。

図47 地獄坂

 10%の勾配の標識に、おどろおどろしい「地獄坂」の文字。ここは小樽潮風高校に繋がる地獄坂である。

 我々は、今から"登校"を始めるッ!!


 この坂の凶悪なところは勾配ではなく、その長さだ。この地獄坂、なんと約1kmに渡って続くのだ。登っても登っても終わらないように思えるこの坂は、登れば登るほど精神的にやられてくる。今は整備されているが、昔は荒れた道だったらしいし、その上冬には雪が積もるって滑るようになるのだから、それは正に地獄と呼称されるに相応しい坂だろう。

図48 小樽商科大学

 その坂を登ると、左に見えるのは小樽潮風高校……ではなく、そのモデルとなった小樽商科大学である。ここには3人のパネルと千冬のスタンプが設置されている。

図49 小樽商科大学 六花と花梨と千冬のパネル

 これで全14種のスタンプをコンプリートしたことになる。また、この時小樽市内に設置されているパネルもコンプリートしたはずである(今回は福廊のふくろう千冬は設置されていなかった)。もし、今後のスタンプラリー等で再設置されることがあれば是非拝んで、千冬のその生足をぺr

 コホ。
 小樽商科大学を出たころには13時半になっていた。そろそろ腹が減った。ということで、境町商店街まで戻ってくる。歩いて地獄坂を下ることになったのだが、実は上り坂より下り坂の方が脚に負担が掛かるらしい。精神的には全然上り坂の方が下り坂より大変に感じるのだが。
 普段は全く運動をしない人間がこんな調子で昨日今日でそれぞれ小樽の坂ばかりの街を10km以上歩いたので、後に凄まじい筋肉痛に襲われることになったのは想像に難くないだろう。

図50 小樽海鮮あか・あお・きいろ コラボメニュー 

 境町で小樽海鮮あか・あお・きいろに入る。目当てはコラボメニューであるいろいろ丼とバジルマヨザンギセットだ。やっぱ小樽に着たら一日につき一食は海鮮丼を食べないと気が済まない。いろいろと名の通り、満遍なく海の幸が乗っかっている。また、北海道名物のザンギはまだ食べていなかったので、この際に堪能させてもらった。口に入れればバジルの香りが広がり、噛めば肉汁が溢れ出るが、決してしつこいということはなく、油っ気があまり得意ではない自分でも、とても美味しくいただくことができた。

 私は既にコースターを全7種手に入れていたが、実は同行している友人はそうではなかった。ということで、このコラボメニューで手に入れた2枚のコースターは友人が受け取った。全く、まず自分より他人のコースターを優先する友人には頭が上がらない。友人はあか・あお・きいろを出た後、すぐ傍にあるタカダのザンギに行き、コラボメニューであった先ほど食べたものと同じザンギを追加で買い、コースターを揃えていた。

 さて、小樽で予定していた行程をすべて終えた。ここで、先送りにしていた判断をするべく。我々は再び運河プラザに戻って来た。
 金銭に余裕がある訳ではないが、当初の想定よりグッズを買わずに済んでいる。各スタンプの絵柄の缶バッジはさておき、アニメニクスではタペストリーしか買っていないし、トリフィートでもアクリルポスターしか買っていない。なので、もう一つくらいグッズを買ってもいいのではないだろうか。

法被、買うか……


 ということで、法被を購入してから帰路についた。今まで法被などを買ったことは無かったが、いつかイベントで着てみたいと思っていた。実際、ここから一か月と少し後にしおばな祭六花一味の集いで着ることになる。

 時刻は16時前、札幌に戻るにはいささか早い気もしたが、今回はほぼスタンプラリーの為に小樽に来ていたせいで、スタンプラリーに関する他のスポットについての情報をほとんど仕入れていなかった。小樽市総合博物館など興味のある場所がないわけではなかったものの、閉館の時刻を考えると今から行くのには厳しい。次に小樽へ来た時に行こうと決め、列車に乗り込んだ。

 余談だが、友人宅に帰ってから、自分が小樽に来ていると伝えていたネットでの知り合いからメッセージが来ており「電車大丈夫ですか?」とあった。何のことやらわからず、調べてみたところ、どうやら一部の列車が運転見合わせや運休になっていて混乱があったらしい。乗る列車が一本遅ければ巻き込まれていた可能性があったらしいが、とりあえず無事だとメッセージを返した。

図51 二日目 戦利品一覧



おわりに

 これにて「北海道旅行 小樽編」は終了であるが、このまま自分の家に帰ったわけではない。この翌日の28日には札幌を観光し、29日には新千歳空港で飛行機に乗るまで遊んでいた。今回はTOKYO6がメインのアドベントカレンダーなのでここまでにしたというのは建前で、実際のところ時間が足らなかった。自分の記録のためにもいつか文章にするかもしれないが、とりあえずは小樽に行くと決めるところから小樽観光の終了までを一区切りとしたい。

 では最後に、札幌のヨドバシカメラに居た六花を以って、筆を擱くことにする。

図52 ヨドバシカメラ 札幌店 六花の等身大パネル

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