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【Six Moon Designs】Deschutes Plus Tarpの甘辛レビュー①

Six Moon DesignsのDeschutes Plus Tarp(デュシュッツ プラスタープ)で雨も強風も経験した。忖度なしで甘辛レビューする。

絶賛レビューを見て購入

Youtubeで絶賛されていた動画を見たのが購入のきっかけだった。もともと使っているNEMOのTani2がオーバースペックなのと、重量が1.6kgと重かったので買い替えた。

初めてのフロアレスシェルターだったこともあり、レビュー動画や記事をあさった。そんなに数もないが、日本語圏のインターネッツは全部見た自負がある。

とにかく良いテント(タープ)なのは間違いない。ただ、使っていくうちに気づいた短所も多い。インターネッツは絶賛レビューが多いので、本気で購入を検討している人に参考にしてほしい。

テントとタープの両方の性質を併せ持つ♣

https://moonlight-gear.com/products/54042445

代表的な特徴はタープ下部に地面とつながっているメッシュだろう。布で外界と区切られている安心感(=テント)と、メッシュで外と繫がっている開放感(=タープ)の両方を同時に感じられる。ずっとダブルウォールテントを使ってきたので、初めて実地で使ったときは後者の感覚に感動した。

風のない静かな夜で、タープ下部から下界の明かりを見ながら寝た。

引用元:上記URL

使用期間は約1年弱。冬の低山や夏のアルプス、雨や強風も経験した。
詳しくレビューしていくが、基本的にどの特徴も良し悪しがあるので、項目別に解説したい。

とにかく軽いが、必需品も多い

単体で450g(ペグ除く)。それまで使っていたNEMOのダブルウォールに比べると3分の1以下だ。激しい軽量化メリットがある。購入を検討する際まずこれに惹かれた。

とはいえ、軽量化の恩恵は実際もっと少ない。フロアレスシェルターなので色々と付属品を用意しなければならないためだ。

グラウンドシート(概算で60~120g)、防水シュラフカバー(同200g)、ポール(専用ポールで60g前後、トレポなら200g前後)は必要だ。重めに見積もって500g超を余分に持って行かないといけないので、テントと込み込みで約1kgぐらいになる(行動中に身につけるポールをパックウェイトに含めない考え方もあるが)。

もちろん工夫の仕方はある。シュラフカバーがあればグラウンドシートはいらない人もいれば、化繊シュラフがあれば結露も気にならないだろうしでカバーもいらない。ポールは現地で枝を見つけてもいい。

このあたりは不快さの許容範囲や持ち物によってさまざまだろう。私は軽さと快適性が両立できそうなものを選んで上記3点を持っていっている。枝探すのとか面倒くさいし。

占有面積は広いが、居住面積は狭い

北アルプス・五色ヶ原にて

170cm超の人間が夜を越すには十分な広さがある。ザックや靴を置いたり、テント内でバーナーで料理するのも広々使える。が、巷で見聞きした話と違うところもあった。「2人が過ごせる広さ」はやや違う。

居住性は見た目ほどには広くない。ワンポールテントのため、中央にある支点の真下では座って過ごせるものの、肩幅分ほど横にそれると1人であっても頭や肩が幕内側に触れる。

寝る時は1人だと快適だが、構造上それでも頭や足が幕に触れやすい。2人で寝る場合はどちらかが常に幕と接している状況なのではないかと思う。

もっとも、防水ビビーで頭だけ幕下に突っ込んで寝るような場合は2人でも全く問題ないだろう。が、その使い方ならもっと軽く、もっと使い勝手の良い選択肢がある。純粋なタープとか。

繁忙期は注意

外寸が大きいことのデメリットは夏のアルプスで痛感した。モンベルのストラテリッジ1人用2つ分くらい場所を取る。
とんでもない坂道や半分藪の中にテントを構える人のなか、平らな広い場所を占有している申し訳なさがある。もし行動が遅くなって夕方に到着しようものなら、適地を探す難易度は余計に上がるだろう。

この経験をして、ビビー泊にも対応できるように装備を調整しようと模索している。それなら人間1人分が横たわるスペースさえあれば問題ない。テン場争奪戦を気にせず日中歩ける精神的余裕は大きな利点だ。

虫対策としては中途半端

目玉ともいえるタープ下部のメッシュ。虫対策としては中途半端といえる。飛んでる虫を完全に防げるわけではない。ダブルウォールテントの感覚で虫を防げると思うとがっかりするかもしれない。「フロアレスにしては虫対策がマシ」という程度だ。ただ、この点に関しては事前調べで把握していた。

使っていて気付いたのは、虫が入ってくるということよりも、課題はむしろ「入ってきた虫が出て行きにくい」ところにある。

タープ下部につながるメッシュ生地はテント内側に入り込んでいるので、虫的には出口が見つけにくいだろう。実のところオープンタープの方が虫が気にならない気がしている(あるいは汗だくの人間に虫がたかってきてキツいかもしれないが)。

ネットがない同型タープも。SMD本国サイトから引用

デュシュッツタープというメッシュがないタイプの製品の重さは370gなので、メッシュの差分は90gだ。シートゥサミットが出している蚊帳もちょうど90gで、全身を覆える分こちらの方が虫対策としては確かだろう。

さらに軽いものを探すなら、顔だけ守る手もある。30g程度。

もっとも、1年ほどデュシュッツプラスタープを使って虫に困ったことは実はほとんどない。暑い夏の低山ではテント泊しないし、夏のアルプスでも高所に虫はあまりいない。バグネットを保険として持っていって、虫が多いときに使う方がよさそう。

何が言いたいのかというと、使ってみてデュシュッツプラスタープのメッシュにさほど必要性は感じなかった。

とにかく良いテント(タープ)

長くなってきたので後編も書きます。耐候性についてなど。

振り返ると不満点が多くなってしまったが、とにかく良いテント(タープ)だ。虫対策が中途半端、と書いてきたが、実はもはや虫とかどうでも良くなってきた。テント内に入ってきた虫をムキになって追い出したりするのもバカバカしいので、ほとんど放置している。道具に合わせて、ユーザー側の心理が変わってきたわけだ。

初めてのフロアレスタープ。虫も雨も風も怖かったけど、下部のメッシュが安心感をもたらしてくれた。のだが、もうその役目も終わった気がしている。両方の性質というのは意外と中途半端なものだったのかもしれない。

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