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4章 戦略の考え方

Drucker for Survivalの4章も本丸の問から始まっています。

「向こう側の世界」から始まる

この問いは規範経営学の特徴そのものです。
【応用経営学=米国のMBA】の戦略論、例えば、Porterの戦略論は「こちら側の世界」から始まる考え方です。一見外部環境などとは言ってますが。
そしてこれは【古い】【終焉】戦略論。

Competitive Advantageという英文タイトルです。
しかし、今日では完全否定されていますよね。

The End of Competitive Advantageが英文題
何を終わらせたいのかが明解ですね。
両方ともハーバードビジネススクールからの出版

時計を持たない米国論理

 古いMBAの論理や、事業計画、Data分析などは時計を持っていない。
時間概念がないのです。
 市場の【変化】という変化には時間概念が入ってきます。

ポーターの理論だけでは、もう生き残れない。
旧来の常識が崩壊した時代の、新しい戦略ツールがここにある!
・「持続的な競争優位」は幻想に過ぎない。
昨日までの自社の強みがまったく通用しなくなり、予想もしない競争相手の出現に苦しめられる。こうした変化の激しい経営環境の下では、企業戦略の目標とされてきた「持続的な競争優位を構築して、そこから長期間にわたって利益を得る」という考え方は、もはや通用しません。市場や環境の変化に伴って次々と現れるチャンスを逃さず、そこに自社の戦略をスピーディーに適応させ続けてこそ、生き残ることができる──というのが本書の主張です。

『競争優位の終焉 』

先日も、「事業計画書」「市場調査」「Data分析」などと言ってる大学院生がいたので、課題を出しましたが回答はなかったです。課題は
1.2019年1月~12月の鉄道会社、居酒屋の「市場調査」「Data分析」に基づいた「事業計画書」を作成し2020年以降その計画に基づいた経営でいい理由を述べよ。
2.2005年の携帯電話機器製造会社の「事業計画書(中期経営計画)」を「市場調査」「Data分析」に基づいて作成し2006年以降その計画に基づいた経営でいい理由を述べよ。
3.「事業計画書」「市場調査」「Data分析」とブルシットジョブ概念は関連するのかしないのかを述べよ。

そういえば・・・ガラケーってどこに行ったのでしょうか。

根に働きかけるには

戦略を考えるにあたって社会生態系概念から筆者は我々に問いかけます。
「根=人と社会に働きかけるには」

西堀栄三郎師は

未来は過去の延長線上にはない

西堀栄三郎『創造力』講談社

企業の目的は、人類の生存と福祉に必要な事物を生産することにある。

西堀栄三郎『創造力』講談社

作った人の魂が安物であれば安物の魂しか入らないし、
愛着をもって作ればそれが製品に込められることになる。

西堀栄三郎『創造力』講談社

根っ子を耕す。

人はパンのみにて生きるものではないと悟ればよいのである。
そうしないとパンさえ手に入らなくなる。

福田恒存「消費ブームを論じる」『紳士読本』創刊号1961年6月 65頁以下

昔の人は偉かった。

規範経営学における計画と根を耕す

 MBA流の計画と規範経営学における計画は似て非なるものなので混同しないことが肝要です。
 Drucker for Survivalのなかで筆者の問いかけをぜひご一読ください。

何が異なるのか? 時間と規範

 ドラッカー先生が発展させた規範経営学は良いことを追求する学問です。
これをドラッカー先生ご自身は、社会生態学とおっしゃっています。

規範経営学には当然社会や他人という概念が入ってきます。
 一方、米国のMBAで教えられている応用経営学は、うまくやるという意思決定にその焦点がありました。自己の意思決定ですから、社会は関係ありません。
規範経営学は目的を追求するので、時間概念が入ってきます。
応用経営学は意思決定を追求するので、今決めるに時間概念は入りません。
 

現代の経営学は、「よいこと」よりも、「上手に」という側面に焦点を絞ることによって進歩してきてきた。「よいこと」は、経営の目的の選択にかかわり、「上手に」は手段の選択にかかわる探求である。

加護野忠男『経営はだれのものか』



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