日蓮大聖人の言葉『法華題目抄』ほっけだいもくしょう 17


さればさせる解なくとも、南無妙法蓮華経と唱ふるならば悪道をまぬかるべし。譬ば蓮華は日に随いて回る、蓮に心なし。芭蕉は雷によりて増長す、この草に耳なし。我等は蓮華と芭蕉との如く、法華経の題目は日輪と雷とのごとし。       

文永3年(1266)正月6日執筆
                                           『昭和定本日蓮聖人遺文』393頁


(訳)
さほどの理解力がなくとも、「南無妙法蓮華経」という御題目を唱えるならば、悪しき道をまぬがれることができるのであります。たとえば、蓮華は太陽の光にしたがって回り花を開かせますが、蓮の花には心は無いのです。また、芭蕉は雷鳴を受けて成長していきますが、耳があるわけでは無いのです。私たちもまた、蓮華や芭蕉と同じように、「法華経の題目」という太陽や雷によって、仏に成ることができるのであります。

(解説)

本書は、日蓮聖人が四十五歳の時の著作でありますが、対告衆(宛てられた人物)が誰であるのかは不明です。ただし、「女人成仏」(女性が成仏をすること)に関する記述が多いので、女性に宛てられたものと考えられています。また著作名には、「法華題目」とあって、法華経の題目、つまりは「南無妙法蓮華経」が如何なる教えであるのかについて説かれているのです。
 

今回に取り上げました一節では、御題目「南無妙法蓮華経」をお唱えする功徳について説かれます。理解する力が乏しくても、まずはお唱えをすることで、悪道からまぬがれることができると指南をされています。そして、蓮華と芭蕉が譬えとして挙げられており、法華経の題目が、太陽や雷と同じはたらきをしてくれるために、私たちは仏と成ることができるといいます。
 

日蓮聖人から、このように指南をされた女性信者は、どんなに安心をしたことでしょうか。大切な法門(教え)を正しく理解することが大切ですが、まずは大きな声で御題目をお唱えすることが重要なのです。さぁ、お唱えしましょう。 ~南無妙法蓮華経~

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