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日蓮大聖人の言葉『窪尼御前御返事』くぼあまごぜんごへんじ 13

一切の善根の中に、孝養父母は第一にて候ふなれば、まして法華経にてをはす。金のうつわものに、きよき水を入れたるがごとく、すこしももる(漏)べからず候ふ。めでたしめでたし。

弘安2年(1279)5月4日執筆

『昭和定本日蓮聖人遺文』1646頁



(訳)


すべての善き行いの中でも、父母に孝養を尽くすことが第一に大切なことであります。ましてや、法華経においてはなおさらのことです。金の容器に浄らかな水を入れて少しも漏れることないように、その功徳がいただけるでしょう。めでたいことです。めでたいことです。



(解説)

本書は、日蓮聖人の女性信者であった窪尼御前(持妙尼)へ宛てられたもので、御供養物に対する返書であります。五月という農繁期でありながらも、窪尼は日蓮聖人に供養の品を送られました。そのことに謝意を表するとともに、亡き夫が成仏されたこと、一人娘は末永く孝養に努めるであろうことなどが説かれています。そして本書の結びには、冒頭に挙げた一節が記されているのです。すべての善き行いの中でも、もっとも大切なことは父母に孝養を尽くすことであって、法華経を信仰しているのであればなおさらのことであると示しています。金の容器に清浄な水を入れれば少しも漏れることがないという喩えを挙げ、法華経信仰者が父母に孝養を捧げることで、必ず功徳をいただけると指南をされています。さらに最後には、「めでたしめでたし」と称讃されているのです。

(思うところ)


私たちがこの世に生まれ、最初に対面するのは親でありましょう。また、最初に所属する社会的コミュニティは、親子を中心とする家族であります。社会生活において、善き行いは多くありますが、そのなかでも父母に孝養を捧げること、つまりは「親孝行」がもっとも重要であって、法華経信仰に生きる者はなおさらのことであると、日蓮聖人は説示されています。私たちも、法華経信仰と親孝行に努めたいものです。そのことによって、必ずや自分自身にも功徳をいただくことができましょう。

五月は母の日。六月は父の日。お父さん、お母さん、ありがとうございます。

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