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感情を育む。

自分のNOを瞬時にくっきりととらえられることが本当に大事だと、私は思う。
自分で、自分の気持ちを分かること。
この当たり前のことが、年を積み重ねるごとに、意外とできてなかったりする。飲み込んできた何かが、おりのように重なって、心の動きを鈍くさせるのかもしれない。

子どもがNOを示してきたとき、どう反応するか。私はここにこだわっている。理由はシンプルで、自分が好きだとか、気持ちいいとか、これがやりたいとか、自分の内側から湧き上がる感情を鮮明に感じられる人になってほしいからだ。

昔、「マイナスの感情を抑えている人は、プラスの感情も抑えがちだ」という話をきいて妙に納得した。その説においては、小さい頃の親の関りの影響が大きいらしい。

子どもが喜ぶのをコントロールしようとする親は少ないだろう。でも、子どもが泣いたり、拒否したり、怒ったりすることに親が抵抗してしまうことはよくあることだ。

その時に、子どもは、感情を抑えることを覚える。

嬉しいときだけは思いっきり感じて、親に怒られるような感情だけは感じないようにするなんて器用なことはなかなかできない。結果、内側から湧き上がってきたものをいったん抑えるパターンができあがる。

だから、マイナスの感情を抑えることなく、泣きたいときに思いっきり泣いたり、嫌だという気持ちをしっかり出して、受け止めてもらえた分、感情が豊かに育つというわけだ。

かなりざっくりとした説ではあるが、私としては自分の経験から納得できる節があり、子育てに活用する仮説のひとつとしている。

いやいや期と呼ばれる時期は、思いっきりいやいやできるように、そうなっても周りの目を気にして自分が慌てなくて済むような場所を選んで外出した。気が済むまでいやいやしてもらった。

習い事や保育園などに行きたくないと言ったとき、絶対に無理強いしない。

痛いと泣いたとき、悲しいと泣いたとき、その感情がすっかり出てしまうまで寄り添う。

そんな風にして過ごしてきている。

この仮説が我が家にはうまくフィットしただけかもしれないけれど、いまのところ、息子はとてもはっきり、私たちに対してYES / NOを言う。あまりにはっきりしているので、腹立たしく思うこともあるけれど、そんなときは、親の顔色をうかがって本音が言えなかった自分の幼少期を思い出すようにしている。「そうだ、これが私が思う、子どもらしい健全な心の在り方なんだ」と。

家の外で壁にぶつかって、もまれて、彼のホームグラウンドである我が家では、たっぷりと自分のありのままの感情を味わってもらう。そうやって、外からたくさんの刺激を受けて、ときには傷付いて、家で回復して、また外に出ていく。

そういうサイクルを繰り返すことが、彼の心の強さにつながるのではないかという仮説を持って、もうしばらく一緒に感情を育みたいと思っている。






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