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yhme
上海ハミングレモネード①
悪夢でも君の笑顔を見ていたい
失われた世界にて人類の記憶を再生する装置とかした私が言葉を吐き出す。
移動中の車両の中で、掌サイズの情報端末を熱心に見つめている。
彼らは人間だった。
1を知って10を知る能力に長けた彼らは、このように移動中の数分であろうとも情報を得るための学習を絶やさない。
ある者は会話と同時に、リアルタイムなメッセージのやりとりを行っている。
また、別の彼は動画学習を行ったりシュミレーションを繰り返している。
衛星との通信で、現在地の痕跡を絶えず残しながら進む。
記憶の中の彼らに向かって私は語りかける。
「それでは、はじめましょう」
歌が聞こえる。
誰かのイヤホンから漏れだしてくるそれは、一人の少年の拙いハミングのようだ。
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