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【KY27】100円ショップと円高銘柄

ピーターリンチさん(故人)によると、身近な商品・サービスから投資のアイデアを得るのがいいそうです。

そこで今回は、よく利用する100円ショップ銘柄にテーマを絞って、考えてみます。


アメリカのダラーショップ

米国株から投資のヒント

私は米国株も、割とチェックしています。とはいえ、今はマグニフィセント7など一部銘柄の過熱感が強すぎて、ほとんど手を出していません。

それはさておき、日本株のトレンドを知るうえで、米国株は割と参考になります。米国四季報に載っているものだと、ダラー・ゼネラル(DG)とダラー・ツリー(DLTR)があります。

チャートは四季報オンラインから

ダラー・ゼネラルとダラー・ゼネラル

今、米国はインフレの真っ只中です。最近はFOMCの利上げが効いてきて、インフレは鈍化していますが、直近の消費者物価指数(CPI)の食料・エネルギーを除いたコアCPIは前年比3.8%ですから、相当厳しいです。
もっとも昨年は前年比8-9%とかでしたから、マシにはなってきているのかもしれません。

それはさておき、このように物価が上昇すると、一般消費者の立場としては、なるべく安く物を買いたいということで、ディスカウント・ストアや100円ショップが人気になります。
なので、コロナ後に両銘柄も売上高を順調に伸ばし、株価も上がっていました。

しかしながら、インフレは賃金の上昇圧力となりますし、資源高で仕入値も上がります。
したがってインフレは、粗利益率の悪化につながります。もともと100円ショップの業態は薄利多売なので、仕入価格の上昇は業績悪化に追い打ちをかけます。
それを跳ね除けるだけの、店舗拡大が見込めるわけでもないですし、購買数量が劇的に増えるわけでもないです。
したがって、いつまでも安売りをし続けるわけにはいきません。

もっとも、ただ単に値上げをするだけでは、消費者は離れていきます。そこで粗利益率の改善を目的として、商品ライナップの見直しと合わせて、価格帯の見直しを行います。
大切なことは、商品ごとではなく、顧客が購入する商品全体の粗利益率の改善が重要になります。
ちなみに高い粗利益率の商品の構成比を変えることで、全体の粗利益率を改善することを粗利ミックスと、かっこよく言います。

この点、ダラー・ゼネラルは粗利ミックスが遅れたことで株価は低迷し、他方でダラー・ツリーは粗利ミックスに取り込んだおかけで、株価は大きく下げませんでした。

日本とのアノマリー

アノマリーとは、経験則的に似たような傾向があることをいいます。
日本もインフレです。ディスカウント・ストアや100円ショップも人気です。
インフレで、仕入値も上がっている点も共通しています。

このように考えると、ディスカウント・ストアや100円ショップも粗利ミックスに取り組むことが、今後の業績に大きく左右すると言えます。

ワッツ(2735)

企業概要

国内4位の100円ショップです。首位はダイソー、2位セリア、3位キャン・ドゥーです。

複製厳禁

売上高はコロナの時だけ一時的に落ちた以外は、右肩上がりです。利益は現金商売の強みで、継続して黒字です。100円ショップならではの、商品回転率も短いです。

四季報オンラインから

特徴的なのは、店舗型以外に委託販売として既存のスーパーなどの一部棚を利用した販売方法です。

Watts HP

人手不足ですし、地方の過疎も進んでいます。イオンのようなロードサイド大型店もいいですが、地元のスーパーやドラッグストアと共存する形での、win winの販路拡大も、地道ですが拡大が期待できます。

カタリスト

100円ショップは仕入れの大半を、海外(主に中国)に依存しています。今は円安なので、仕入値が上がり利益が低くなっています。

したがって、商品の販売価格に転嫁する必要があります。ここで先述の粗利ミックスがポイントになります。
当社はいち早く粗利ミックスに取り組んでおり、業績も回復基調です。今後、円高になると大幅な利益率の改善が見込めます。

また当社は海外展開に積極的であり、今後は海外で良品計画のようなブランディングを目指したいとのことです。円高になれば海外投資も積極的に行えますし、現在取り組んでいるブランディングの再構築も進めば、業態も大きく変わっていくものと思います。

バリュエーション

まだまだ安値圏です。
昨年7月に優待を廃止したことで、急落しました。
私自身は、優待は株の塩漬けを助長し、流動性を下げるので、優待には否定的です。ただマーケットはそうではないので、今の株価は評価されていません。

四季報オンラインから

業績が回復すれば、当期純利益20億、PER10-15倍で、時価総額200-300億円ぐらいになるのでは、と思います。


ワッツは買いか?
答え:私は優待を廃止した後に買いました。中長期保有の予定です。

投資は自己責任でお願いします。
今回はここまで。次回またよろしくお願いいたします。

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