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【KY32】物流DX銘柄の選び方

1週間ぶりの更新です(汗)
四季報の最新版が出たので、スクリーニング中です。すみません。

それはさておき2024年度が始まり、物流2024年問題を解決する物流DXもクローズアップされるのでは、とちょっと期待しています。
そこで今回は、物流DX銘柄の選び方というテーマで書いてみたいと思います。


物流2024年問題と物流DX

ドライバーの不足と物流業界

物流2024年問題のドライバーが不足している背景としては、少子高齢化で働き手が減っているという社会的要因もありますが、業界的には日本がバブル崩壊後に過剰供給となり、需要が伸び悩んだため物流機能が停滞したことが挙げられます。
低コスト・低賃金で非効率な業界のため、ますます働き手が不足するという悪循環に陥ったということです。

そしてアベノミクスの働き方改革の一環として、ドライバーの残業規制が設けられたことで、業界的な問題が顕在化したということです。

これによりますます物流機能が低下し、人々の手に必要な物資が届かなくなるということも起こり得るということです。

ロジスティクスと物流DX

物流とは消費者まで製品が届くまでの物の流れを指すのですが、ロジスティクスはこれを戦略的に捉え、一元管理を目指すものです。

ロジスティクスは元々は軍事用語で、兵站(へいたん)のことで、簡単に言うと軍隊が後方から前線に必要な物資、人員、食料などをタイミングよく送る活動全般のことです。

そして物流をロジスティクスという概念で捉え直すと、必要なモノを必要な量だけ必要な時に送る仕組み、と考えられるということです。

また物流DXはロジスティクスにおいて、ITやデジタル技術で物流の抱える課題を解決しようとすることです。
ソフトウェアを活用して管理業務や配送業務を効率化することや、ロボットによる自動化を進めることなど色々あります。

物流と兵站の違い

と、ここまでは物流関連の本なら初めの数ページで書いてありますし、そこら辺の経営コンサルタントがドヤ顔で話しますね。
ただ私はこの考え方が、物流の課題を矮小化し、思考停止に陥らせていると思うのです。

どういうことでしょうか?
軍隊というのは究極的なトップダウンの組織であって、敵に対し最小の損害で最大の損害を与えること、もしくはそう思わせることが目的です。
しかしながら物流は、荷主と荷受け人は別々の企業であることが通常ですし、運送人とも利害は一致しないことが多いです。

運送人は売上高を上げることが目的ですが、荷主も荷受け人も支払う金額を抑えたいです。荷主は一度にたくさん送ったほうが安く済むのでたくさん送りたいですが、荷受け人は在庫を好まず必要なだけ欲しがります。

また一つの商品を複数の運送会社が配送していることも多いです。
例えば消費者はAmazonを使えば、楽天も使いますし、ヤマト運輸もあれば赤帽もあります。

したがってプレーヤーの思惑は様々で、物流と兵站はこの点で大きく異なります。
物流は兵站のように一つの組織ではなく、業界全体を俯瞰することが重要です。

物流DXの本質

つまり何が言いたいのかというと、物流DXはソフトウェアを導入して業務を効率化することや、ロボットを導入して自動化を進めることに留まらず、業界全体のソリューションであるということです。

ここがポイントで、伸びる物流DX銘柄は社内の業務効率化だけでなく、どれだけ業界にコミットできるか、ということが重要になります。

実際に日本のトラック運送事業者の事業規模は、保有車両数20両以下が76%を占めており、95%以上が中小企業となっているからです(全日本トラック協会)
規模の小さい企業に支えられた、統一性の少ない脆い業界だということです。

このような業界特性から、物流DXを広く捉える必要があります。

物流DXの狙い目は陸運

最近はモーダルシフトが進んでおり、自動車から船舶や鉄道による運送に移行しています。
そして船舶や鉄道は寡占市場なので、あえて物流DX銘柄を見つける必要性は低いです。

これに対し陸運は市場の成長余地が少ないので、むしろ業界全体のDXに貢献できる銘柄を見つける方が、投資冥利があるといえます。

3PLから4PLへ

3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)

3PLは物流DXを語るうえで、外せないキーワードです。
内容は、物流のアウトソーシング(外注)だけでなく、荷主に対して効率的な物流方法を提案することを言います。

そもそも物流というのは、あまり付加価値を生まない業務であって、モノを効率よく保管・包装・運送しても、お客さんの満足度にはさほど影響しません。
悪ければ不満要因になりますが、良くても満足要因にならないので、コストカットの対象になりやすいです。

そして製造業者や販売業者が、わざわざ運送用の車両や保管用の倉庫を持つことや、人員をそのような業務に当てることは、メリットは少ないです。
それよりもアウトソーシングした方が、自分たちの本質的な業務に専念できるので、ストレスが少ないです。

このような理由から、企業の物流業務全般についてコミットすることが、3PLに求められています。

ところで物流DX銘柄を探すうえで、システム会社などITの専業企業を探すのは間違いです。
なぜでしょうか?

3PL自体がアウトソーシングなので、その業務の一部をアウトソーシングするのでは、物流をアウトソーシングした意味がないからです。

したがって、物流DXの銘柄は運輸業になります。

4PL(フォース・パーティー・ロジスティクス)

4PLとは簡単に言うと、3PLの優れたノウハウやシステムなどを持つ物流企業が、他の3PL企業にコンサルティングなどソリューションを提供することです。

4PLは物流DXという視点で考えると、上述のように社内の業務効率化だけでなく、業界にコミットする機能といえます。

そして私はこれから伸びる物流DX銘柄は、4PLを積極的に推進できる運輸業と考えています。

伸びる物流DX銘柄

ドミナント戦略

運輸業の売上高は、トラック1台の貸切で料金を決める場合を除くと、大体は輸送量で決まります。
コストは、一つのトラックでできるだけ荷を積むというように、効率化することで少なくしていきます。

ここで1台で運べる量を増やす方法は、2通りあります。

一つは、複数台で運んでいる荷を集めて1台で運ぶということです。
二つは、荷そのものを増やすということです。
例えば既存の顧客から集荷する荷を増やすことや、新規顧客を既存の商圏内で獲得することで、1台で運ぶ量を増やすということです。

後者がドミナント戦略です。
ドミナント戦略とは、特定の地域内で高いシェアの獲得を狙い、営業展開することです。

ドミナント戦略を採用している運輸業は、成長性が高いと思います。

具体的な銘柄

以上の条件でスクリーニングしたところ、いくつかあります。
それ以外にもあると思いますが、参考までに。

SBSホールディングス(2384)

ビーイングホールディングス(9145)

関通(9326)

なお私はビーイングホールディングスを、大分前に買っています。
出来高が少ないのが、欠点です。
今の株価は割安だとは思いますが、自分が買った時と比べて上がっているので、なんとも言えません。

投資は自己責任でお願いいたします。
以上、今回はここまで。次回またよろしくお願いいたします。

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