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マーの一族

小学生の時、俺はサッカー少年だった
結構ハードなクラブチームで
そこへ新人の子が入ってきた

言葉は悪いのだけど
見るからに鈍くさそうな
油ぎってる感じの同級生

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やっていけるのかな?
と思ったら案の定、すぐに水を飲みたい
マラソン中にジュースを買いたいと
自販機にお金を入れようとする

コーチは当然激怒するし
仲間も彼を見かねている。
だけどほっとくことも出来ず・・・

「水はなかなか飲めないんだよ~
 のどが渇くよね~」

とそれとなく喚起したり

パス回しの練習の時も
誰も組む相手がいないので組んであげた

そうしたら、そのことを
彼はご両親に話たのだろう
彼の家に招待されたんだ。

何が食べたい?といわれたので
なんとなくオムライスが食べたいことを
彼に伝えておいたんだ。

彼のお父さんとお母さん
そして彼と彼の妹
上品な一戸建てでお母さんは
今どきとはいえないけど
優しそうなお母さんだった。

食卓には大きい特性のオムライスが置かれ
ケチャップはついていなかった
ケチャップはおじさんが握りしめていた

「それでは皆、食べなさい」
お母さんがそういうとお父さんが
ケチャップを握りしめ、あろうことか
抽出口を直接、口に含み吸い始めた

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口いっぱいに含んだケチャップ
口からあふれだしている
そしてオムライスを食べながら
俺にこう話しかけてきたのだ。

「我が家はマーの一族なのだよ」
「はぁ・・・?」

俺からすると異常事態だった
ケチャップって直接口で吸引するものではない
直接はきつくないのかな?
このお父さんは味覚馬鹿なのだろうか?

すると次はそのケチャップを
お母さんがとり、お父さんと同じことをする
お母さんも口を開く

「きゃらを君ももしかしたら
 マーの一族なのかしら?」

ケチャップを直接口に運ぶのも
気になるがそもそもそれ以前に

マーの一族って何!!?

そして、息子、要するに俺の同級生
そして、妹の順番でケチャップが
渡されていく。

「お母さん、美味しいですね。」
そういったのはお父さんだ
「お父さん、それはお父さんが
 働き者だからです」


すると子供たち2人が目を輝かせて
「お父さんありがとう」

お母さんが俺を見て言う
「我が家はまーの一族なのです」

だから、それが解らないし
その後のケチャップは使いたくない
もうケチャップなくてもいい

「あまり、ケチャップ好きじゃないので」
「そうなのね?」
「はい」

オムライスを主張しておいて
ケチャップをつけない俺には
あまり疑問を感じないようだった

「きゃらを君の家は何の一族だい?」
お父さんが聞いてきたけど・・
意識したことはなかった・・・

どこの家庭にもそんな一族があるのか?
Dの一族みたいなことだろうか?
しかしこの頃はまだワンピースは
始まっていないし

「怒らないから言ってみなさい」

お父さん上から来たなぁ
怒られるか怒られないかの問題なの!?
てか解らないし

適当に、きゃらをだし
「きゃーの一族です」

「なんですってっ!!」
皆一様に驚いている

「マーの天敵じゃないかっ!!!」
天敵だったーーーー!!

「帰れっ!帰れこの犯罪者めっ!!」
怒らないといったお父さんが
物凄く怒っているし罵しってくる
さらに、友達の同級生も
「まさか、君がそうだったとは
 汚らわしい!!」


もともと帰りたくてしょうがなかったから
いそいそと帰った
それから彼と話す事もなかった
彼も多分練習がきつかったのだろう
直ぐサッカークラブを辞めた

家に帰って親に聞いた
「マーの一族って何?」
「何言ってるの?」

全く理解されなかった
だけどその親の感覚にほっとした
そしてもうそんな少年時代の事は忘れていた

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