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田舎のゴリラ都会に行く

俺は田舎で暮らしているゴリラ
田舎で暮らしているというか
ジャングルで暮らしているから
俺からすればこちらが都会だ

だがしかし
都会に暮らしているゴリラもいた
このジャングルを抜け出して
光雄のやつはすっかり
コンクリートジャングルで暮らしている

そんな光雄から手紙が届いたんだ

「きゃらを、遊びにこないか?
 都会にはジャングルでは食べられない
 美味しいものがいっぱいある」

まじか、バナナ以外にも
もっと美味しいものがあるってことか?
しかし、都会はこことは違い
文明をもった「にんげん」というものがいる

光雄は凄いな
同期の誇りでもある。
よくそんなところで暮らせるものだ
しかし、ジャングルにはない
美味しいものと聞くと行ってみたい

だが、都会といえども
ここから1000キロはある
人間の文明を使わないと
光雄のところまではいけない

そこで人間が着る服というものを着て
帽子を被り、マスクをして
一番近くのバス停までいき
乗り物で行く事にしたんだ。

初めて乗るバスというものに興奮した。
ゴリラということが
バスの運転手にバレないか?
心配だったけど
気付かれることはなかった

お金さえ払えば問題ないみたいだった
旅立つ前に、母ちゃんが教えてくれた

「きゃらを、人間はお金さえ払えば
 なんでもしてくれるから
 これを持っていきなさい」

母ちゃんはそういうと
沢山のお金をくれたんだ
それがどれ程の価値かは解らないけどね。

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気づかれないと思っていたが
バスの運転手が話しかけてきた

「これ玩具のお金じゃないか?
 てか、お前ゴリラじゃねーか!
 おいっふざけるなっ!!」

そういうと通報されて
赤くピカピカ光ってる車が来て
捕獲されてしまった。

人間世界はわからない。
光雄ごめん、もしかしたら
行けないかもしれない

暫くは檻の中で生活をしたが
やがてジャングルに帰された
人間社会に溶け込むのは失敗した
やっぱり光雄は凄いな。

母ちゃんがいうんだ
「あんた、都会にいくには
 もっと変装がうまくないとね」

そうだよね。母ちゃんごめんね
俺の変装がうまくないばかりに・・・

そうだったか?
なんか違和感を覚えたけど
俺が変装が下手だったからだろう

ゴリラの良いところは
基本バナナさえ食べていれば
全てはご機嫌で小さい事を気にしない
最悪、思う所があれば胸を叩きならせば
世界は平和だった。

だからあまりゴリラは争わない
基本的に平和主義の集いだ
唯一の争いは雌ゴリラのハートを
射止める時の争いか・・・
それすら、胸を叩いて威嚇しあうことで
大概のことは平和的に解決する。

さてどうするか。
光雄に会いにいくにしてもその方法だ
色々思案して自転車で行くことにした
人の力を借りると失敗したとき
いちいち捕獲されてしまうからね。

自転車も人間が考えた文明だが
これなら自力で行ける
やく1年近く練習することで
無事、漕げるようになった。

1日100キロほど走り
約10日ほどの行程だ
母ちゃんが大量のバナナを持たせてくれた

旅は3日目まで順調だった
4日目から少しバナナの味が変わった
なんていうのかな・・・腐っている。

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