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マジカル霊媒師

俺は人を深く愛さない傾向にある
20代のときにいけない関係になってからは
こんなにも辛いのかという想いが
俺をそうさせたのもある

つまり、恋愛観で言えば
本当に好きになってしまうと
物凄く弱くなってしまう傾向を
自らに理解してしまっているから
どうしてもセーブがかかってしまう

申し遅れたが我が名はきゃらを
現在幽霊ど真ん中である。

事の経緯を説明しよう
そんな俺ではあったが
どうしても会話が合い
心が惹かれた女性がいた
二度と人を愛するものかと
頑な俺の心を溶かしてくれたのは
屈託のない彼女の優しさだった

何気なく交際を続けていく
騙されるか!騙されてなるものか!
心は絶対に預けないぞと
そう思いながら生きてきたけども
みるみる心を預けてしまい
気づけば丸裸にされていた。

本当言うと俺は惚れやすい
惚れてしまうと弱くなる自分がいやだ
どんどんいいなりになっていくというか
もっと好かれたいと
少しなよった自分になる

そんなある日、彼女と俺は待ち合わせた
彼女は少し危なげでドジっ子なところがある
惚れてしまえばもう魅力でしかない
待ち合わせて、俺が見えたのだろう
彼女は俺と気づき駆け寄ってきたが
そこにトラックもやってきた

つまり、身を呈するかたちで
彼女を守り俺は死んでしまった
成仏するかどうかの問題がある。

彼女は泣いている
自分の命を守り死んだ俺は
きっと永遠のナイトだ
俺の事など忘れて他に好きな男を
早く見つけるべきだ・・・
とは正直思えない。命失ったからな!
それでは俺は死んでも死にきれない

それに生前二人は燃え上がり
永遠の愛を約束したんだ
もし、どちらかが先に死んでも
幽霊になっても離れず傍にいようと
骨まで愛しているのレベルではない
死んでさえもなお、永久に愛し合う
今、彼女は失意のど真ん中にいる

それがわかるのは
現在彼女と同じ部屋に住んでいるからだ
彼女は俺の葬式が終わり
もう3ヵ月もするが、いまだに俺を想い
泣いてくれている

何度も会いたいという
傍にいて欲しいという
それがたまらなく辛かった。

実際俺は傍にいるし
声をかけているが
声は周波数的な意味において
人類社会とは一致しなかった。

しかし3ヵ月も成仏をせず
悪霊になっていると
少しだけだが現実社会にも
影響を及ぼすことができた

すなわちポルターガイスト現象である。

彼女が帰ってきたら
シャワーから水を出したり
テレビをつけたり電気をけしたり
椅子を倒してみたり
それも頻繁にはできないが
ときどき頑張った末に
なんとか椅子が倒れたりする

彼女に触れるというか
障れるというのかな
その表現が正しいかもしれない
彼女に障れるんだ。

そんなことが2か月くらいつづいたある日
彼女は別の男を連れて来た
一生を誓い合った俺が死ねば
薄情な彼女か?といえば
どうもそうではないが
みるからに怪しいやつだが数珠をもっていた

「どのくらい前から起こりだしたのですか?」
「2か月くらいまえからですね」

「ちょっと調べてみますね」
全然俺とは関係ない方をさして
「あそこに何かいますね」

こいついんちきじゃねーか
おいおい、そんなものに騙されるなよ
ってか、何で死んでも一緒にいようと
言っていたのに霊媒師を呼んでいるんだ?

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