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カレー屋きゃらちゃん

俺は今店長に呼び出されていた。
「お前だろう?マヨネーズ入れたのは」
『はい』
「やはりか、何故そんな事をした?」
『美味しいからです。なんすか?』

そう俺は今カレー屋チェーン店「あそこ一番」で
アルバイトをしている。
学生だから遊ぶお金も欲しかったが
俺は俺で好きなカレーがあった。

そうマヨネーズカレーだ
理想としては、カレー粉を一切使わない
マヨネーズとライスで十分だと思う

「おまえは今日でクビだな」
『何故ですか?』
俺には理解できなかった。
チェーン店になるくらいだそこそこ美味しい
だけど、それはカレー粉のおかげだ
良いことをしたのにクビになるのか?

『道理が合いません』

店長は目をまるくしていた。
何故まるくしているのか俺には意味がわからない
驚くのは突如クビにされる俺の方だというのに

しかし何を言っても無駄だった。
クビになるどころか客としても
出入り禁止にされてしまった
哀しかった。

その日、彼女が遊びにきていたので
ついつい彼女にその悔しさを話した
『マヨネーズを大量にルーの中にいれただけ』
「そ・・そうよね」
彼女は理解してくれたのは嬉しかったけど
翌日から彼女とは連絡がつかなくなった

俺はバイト先を失ったばかりか
彼女さえも失ったのか

俺は部活をしていた、演劇部だ
普段はつるまないがどうしても
確認したいことがある
同じ部員に俺がカレーをご馳走すると
家に呼んでカレーを振舞った

「こっ・・おまえうけるな」
うける?うけるってなんだ?
「いやまじうけるんだけどー」

2人の友達は同じことを言う
何がそんなに面白いのだろう?
『何が面白いの?』
ご馳走して貰っておいて
俺を馬鹿にするとか許せなかった

「お前本気か?これただのマヨネーズじゃん」
おかしなことを言う。
マヨネーズしか乗せていないから
カレーというのじゃないか

2人は興が冷めたといって帰ろうとしたので
実は、結構な覗きポイントがあるのだが
よかったらこれから一緒に覗きにいかないか?
車で男女がいちゃいちゃしている場所がある
と嘘をついて二人を誘った

人気のない場所だ
そこで俺は二人をバールでめっためたにして
殴り殺した

翌日大学は大混乱だったが
俺は知りませんを押し通した。
疑われはしたが証拠不十分だった
疑わしきものは罰せずの原則だな。

大学も4年生になるころ
就職活動が盛んになる。
皆が活動をはじめるのだが
俺は全く活動をしなかった
カレー屋をやると決めていたんだ

カレーの才能はないが
少しずつためた仕送りを株にかえると
俺にはその才能はあるのか
最初数十万円だった資金は
3000万円になっていた。

取敢えず当面の資金には困らない
場所は都心ではない駅前に決めた
回りの飲食店にも聞き込みをしたり
値段やボリュームさえも調べた

人々の流通はまるで問題がない
価格帯も300gで850円にする
それは他のお店より安い価格設定だ

負ける気がしない。
マスコットキャラクターもつくった
500万円程かかったが有名なデザイナーに
作ってもらい、店の前に設置した

カーネルサンダースや梅宮辰夫の人形と
同じようなモニュメントだ
長期的な戦略を考えれば必要だ

さらに直接的な宣伝広告費には300万円程使った
「東京のウォーカー」にも大目にお金を払い
五つ星をつけてもらった
最初こそ人が来たが皆口々にこういう

「これはマヨネーズライスじゃないか」
大学の時の部活のメンバーと同じことを言う
どうしてしまったんだ?
どうしてしまったんだよ日本!!

むかついたけど大学の仲間のように
撲殺するわけにはいかない。数が多すぎる。
俺は何を間違えているのだろうか?

しかし迷ってはいけない
そして撤退することは敗北を意味する
丁度そのとき、お店の経営が解らず
息抜きのために趣味でもない競馬に行き
100万円ほど適当な番号で馬券を買ったら
万馬券が当たり、
1億5000万ほど資金ができたので
恵比寿に2号店を出すことにしたんだ

上品なセレブ達が時々現れる
セレブだからあまり露骨な表現はしないが
「これ・・マヨネーズだけですよね」
『左様でございますな』

その通りだから問題ない。
「これはカレーですか?」
『それはカレーです』

セレブってもしかしたらアホなのだろうか?
それに経営とは難しいもので
新しく入ったスタッフは次々に辞めていく
給料や待遇もいいはずだ
この間、宝くじをかったら2つもあたって
一等6億だったから12億程お金ができて
箱根に温泉を引いた別荘を建てた

社員は使い放題だし
年収は700万~店長クラスで1000万だ
さらに、歌舞伎町にも店をだした。

しかし客は増えない
不意にネットをみることがある
匿名性の高い掲示板ではぼろくそ書かれていた
まぁだけど匿名な人は適当だからいいや
スルースキルは最初からある。

FXをやっているからみただけだ。
8億くらいあった資金は
あっという間に100倍の800億になった

しかしカレーは売れない
もしかしたら俺に足りなかったのは
マヨネーズカレーという認知度かもしれない

だから、急がば回れということで
400億円ほど使い、映画を作成した
『えんとつの無い街ボトル』
これが世界中で大ヒットした

スピルバーグと対談もしたし
ビルゲイツが感動したと握手をもとめてきた
しかし断った。

料理人の手は握手などしてはいけない
もし彼が菌を保有していたら?
俺はカレー屋だ。そのことを通訳を通じて
ビルゲイツに伝えた
彼は????な顔をしていた。
だから日本語を話せない奴は嫌いだ

映画は大ヒットをつづけた
気づけば2000億の資産をもち
またそれを投資する。
まるまる買った会社がまさかの
新型の疫病に対して特効薬を開発をした
俺のお金は億を超え兆になった

この頃になると
パリ、ロンドン、北京、ニューヨーク
様々な場所でカレーやきゃらちゃんの支店がある
だがカレーは売れなかった

映画の中で出したマヨネーズカレーは
全然話題にならなかった
なんのために映画をつくったのか

成功者として俺はコンサルタントを
頼まれることも多い。
アメリカの大統領候補からも
戦略を尋ねられた。

もちろん資金援助もする
アメリカの大統領にしろ
世界各国の首脳が俺に敬意をもつ
だが、その際にカレーを振舞うと
皆、美味しくなさそうに食べる
その顔があまりにも不快なので

何か国の大統領はマフィアを使い
暗殺したりもした。

納得がいかない。
一体マヨネーズカレーの何がまずいんだ?
そういえば、俺はマヨネーズカレーを
食べたことはなかった。
美味しいと思ってただけだった

初めて1口くちにしてみた

これただのマヨネーズライスじゃねーか!
酸味がきついなぁ

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