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成仏タイム

俺は今怒っていた。
そして詰め寄っていた。
それは人・・と言うより霊体に対してである

か細い感じで幸薄そうな女性の霊
その霊体に軽はずみな肝試しが祟り
憑り殺されてしまったわけだけども

生身な人間の時は怖いだけだった幽霊が
同じ霊体になることで恐怖が飛んだのだ
そして何故俺は殺されねばならないのか
そのことに対して怒っている。

「すみません」
『いや謝るのであれば殺さないで貰えます?』

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クレーマーではあるけども
根拠はあるよね。
命をとられたら誰だって
最たるクレーマーになるよね?
許せるわけがないからガンガン責める。

「ちょっといいですか?」
そこに明らかに人の霊体とは
違う何かが話しかけてきた。

『なんですか?今忙しいのですけど』
「いや、事は緊急を要するので」

緊急を要するってなんだろうか
時間的な概念は無い事が
死後の世界じゃないのか?
今後は人を脅かしつつ
のんびり地縛霊ライフを満喫したい。

まぁ生きてるときも
結構暇な人生だったけどね

忙しい忙しいと騒いでいる奴らが
羨ましかったが
本当に忙しい忙しいと言っている人は
単に余裕のない人に多かったような気がする
ビルゲイツだって軽井沢に別荘を作ったり
休息しているのに
何をそんなに忙しいのだと

だが、俺は今、本当に忙しい
許せないんだ。憑り殺されたわけだから
感情の抑えが利かないのは
既に禍々しいものに変貌しつつあるのかな?

「だけど、あなたのことなんですよ」
『俺の事?』
「はい。あと15分切っています」
『何が?』

「成仏タイム」

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