違う、人生だから
父から電話があった。
私が実家に忘れたエコバックを送ったよ、普通郵便で、という連絡だった。
父は鼻声だった。
大丈夫? 夏風邪引いた?
と聞くと、
ハッハッハッハッハ
まぁ、歳とってくると色んなことがあるからな。
何より、お前がしっかりやってくれないと、お父さんも安心できないからな。
心配をかけているのは、重々承知しているし、
情緒の波が激しい母の相手をしてくれている父には感謝もしている。
けど、同時に、アンタが選んだ嫁だしね。
とも思っている。
アハハハハ、と私は父の冗談めいたおしゃべりを笑う。
でもさ、お父さんと私は、違う人生だからね。
私は、はっきりと宣言する。
すると父は
ハッハッハッハッハ
と、また最初の調子で笑う。
親と子の人生は、別物だ。
そう宣言して、笑い飛ばしてくれる親でいてくれて、本当に助かったな。
そう思っている。
もちろん、私は私なりに親と戦ってきたつもりでは、ある。
心配はありがたい、切っても切れない関係ではある。
けれど、親と子の人生は別物だ。
違う人生だ。
そうあるべきだし、そうあって欲しい。