声は届いている

4年間お世話になり、今月末で退会する、ベビーシッターのマッチングプラットフォーム「キッズライン」のお話です。

6月4日の男性シッター利用一時停止発表を受け、違和感を感じた自分がお世話になった先輩シッターたちに声を掛け、語り合う会を開催したのち、「他の人たちの声も知りたい&会社に届けたい」ということで「有志シッター」と称し、一緒に声を集める活動をしてきました。

このつぶやきでも紹介しているフォームで、ペアレントさん、サポーターさんそれぞれから、合計で200名の声を集めました。

そして、6月25日と7月21日の2回に分けて、声を本社に届けてきました。

会社の問い合わせフォームとは異なり、匿名で自由記述で記入できるものになっていたので、とてもたくさんの正直な声をいただきました。1枚いちまい読んでいて、たくさんの方の会社や子どもへの想い、サポーターへの想いを受け止めて、私の中で会社に対しての不信感はきっとどんどん蓄積されていました。

2回目の訪問の内容は、結局皆さんにお知らせすることができませんでした。訪問の際に伺った内容は、改善の兆しが見えるものではありましたが、私の中では不信感や不誠実さを拭えることはできず、帰り道に同席した仲間と「もう、どうしよう…」と途方に暮れてしまいました。

200名以上の方の声は、確実に本社に届き、経営層(社長含む)も目を通してくれていました。一人一人、一枚一枚、目を通してくれていました。

私たちは「届ける」ことはできていました。「届けたい」という目標は達成していました。「その先」まで、会社にお願いする力はありませんでした。

自分の力のなさに対しての言葉に言い表せない「何か」で、2週間脱力状態になってしまいました。自分の仕事の方でも大きな動きがあり、そっちに集中することで、キッズラインについて考えることから逃げていました。

今日、自分自身の振り返りをまとめようと思います。


1)個人の発信力の可能性と気を付けるべきこと

「声を届けたい」でも集まるのだろうか?そう思いながらTwitterで発信をしはじめた6月6日から、「無犯罪証明書を求める現場ベビーシッターの会」の参納さんの言葉をお借りすると、「ジェットコースターみたい」でした。

最初はどうすればよいかわからず、「キッズライン」でTwitterで検索して、つぶやいている方たちでペアレントやサポーターと思われる方にリプをするという不審者極まりない動きをしていました。(その中で勘違いしてご連絡したのがジャーナリストの中野さんだったのでした…)

有志の仲間たちの拡散や周りの知人友人の拡散もあり、フォロワーが100人以上増え、さらにたくさんの方が拡散してくださり、回答してくださり、200名の声が集まりました。自分のつぶやきに議論を展開してくださる方、ご自身の意見をシェアしてくださる方、反応の通知が止まず、「この勢いを活用しなきゃ!」と普段そんなにTwitterを使わないのに毎日こまめにチェックする日々が続きました。「声を集めたい」に加えて、会社がまだ個別のユーザーに今回の事件やそれに対しての対応について周知させていないという違和感から「もっと多くのユーザー(ペアレント・サポーター共に)に認知してもらいたい」という気持ちが強くなりました。日々沢山の方たちのつぶやきを読んでは反応をしていて、自分の気持ちの揺れが常にあり、精神的な「ジェットコースター」に乗っている気分だったのでした。吐きそうになっても「私以上に男性シッターを依頼しているご家庭と男性シッターたちが辛い気持ちだ」と思いながら、自身を鼓舞していました。←

そんな中で自分がモヤモヤしながら書いたnote。

1万以上のアクセスと200以上のスキがついて、どうやらnoteで7月特にスキを集めた記事になってしまい、「キッズライン」と検索すると本社のHPの次に出てしまうレベルになってしまったようです…

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でもこうしてペアレントさん、サポーターさんの声を集めていったことで、会社は6,7月に2回、受け取ってくださるという対応を取ってくださいました。私たち一個人の声・意見は、会社に届くんだ、と素直に感動しました。

これはママ友の愚痴に、飲み会での愚痴になってはいけない

そう思っていた自分にとって、ただの愚痴で終わっていないことがまず、嬉しかったです。


しかし、「山瀬加奈」という私自身の発信力に関しては大きな課題がありました。「山瀬加奈」という個人の発信力の強さは、影響力が誤った方向で大きいということも会社から教えていただきわかりました。

2回目の訪問後、本社からご連絡いただいた内容を抜粋します。

■お願い
山瀬様と直接お会いして、山瀬様から弊社を応援いただいている旨のお言葉を直接いただきまして、素直に感激した次第です。
一方で、これまでキッズラインに長く関わって貢献いただいていたにもかかわらず、今回の対応で不信感を頂かせてしまい、大変不快な思いを与えてしまったことを改めてお詫び申し上げます。
山瀬様の今回の活動の目的は、「声を届けられない方々の声をキッズラインに届ける」ことであると、山瀬様のこれまでのツイートやnoteなどを拝見させていただき、理解しております。
その結果、「安全対策が進み、少しでも早く男性サポーターの再開が実現する」ことをご期待いただいているものかと思います。
山瀬様が何をツイートされるかは山瀬様の自由であるため、ご自身の責任にてツイートいただければと思います。
ただ、ツイートをきっかけに再度炎上すると、当社としてはその対応に追われることになり、人員を割かなければなりません。
男性サポーターの活動再開に向けて業務を行う人員をそのような対応に回すことになってしまいます。
すると、安全対策の活動はスピードが遅くなり、男性サポーターの活動再開も遅くなってしまうという心配がございます。
この結果は、山瀬様が望むものでしょうか。

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私の発信力が、今回の問題の炎上の源になっている。

私はたくさんの人から声を集めたかったり、問題認知や議論のきっかけになってほしいと思っていたりしていたのに、私の発言が、キッズラインが前に進むときの邪魔をしかねない影響力を持っていることを知りました。

私は会社の対応や発信の内容により、SNS上のあちこちで憶測が飛び交い、色々なところで議論が起きていると思っていました。自分が起爆剤になっていると思いませんでした。HPで検索して自分のnoteが出てきてしまうことも、男性サポーターの仲間から教えてもらって知りました。

「自分の発言には自分で責任を持て」と学校でも何度も言われてきていたと思います。私は、これ以上責任持つのは怖い、と思ってしまいました。自分が発言する内容に気を付けないといけないのも疲れる、嫌だ、と思いました。

正直、知人友人の起業家の方たちの失敗談を聞いていたりもして、自分1人の声の力が大きくなっても十分に今回の問題について勉強する時間が割けない自分の発言に責任が取れないという恐怖があって、みんなの声を集めて届けたい、というまとめ役を選んだというところもありました。Twitterもリツイートしまくってるだけのつもりでした。よく考えたらフォロワーが100人でnoteを拡散してくださっている方が多い時点で「影響力のようなもの」がつき始めているのに気付くべきでした。

なので、この本社からのメールで「行き過ぎてしまった」という自分自身の失敗に気づきました。


ほどよい立ち位置で個人の意見を自由につぶやくことができるSNSで、自分自身の発信する内容の「影響力」をどのようにつけていくか、本当に気を付けていかないといけないんだ、と思いました。

最近の自分のつぶやきは、少しずつ前の自分に戻ろうと、もっと自分の気持ちに正直になったつぶやきをしています。フォロワーが日々外れていくのもわかっていますが、ちょうどよいバランスを探しつづけます。


2)メディアの皆さん

今回の案件で、読売新聞社さん、日本経済新聞社さん、NHKさん、朝日新聞社さんと繋がり、情報収集をしている中、男性サポーターの紹介をしたり、我々サポーター側の情報提供をお手伝いさせていただきました。

各社メディアのみなさまにも、本社訪問時のアドバイスをご教示いただいたり、とても整理された記事を発信してくださって、たくさんの方に問題提示・問題認識ができたと思っています。(※まだいくつか動いています)

今回各社さんとご連絡をさせていただいて気づいたことは、言い方をあえて選ばずに言うと、「問題が風化しそう」という逐一のタイミングで各社さんが「ずらして」発信してくださることで、今回の問題を多くの人が引き続き考えてくれたのではないかということ。そして、その「点(記事やニュース)」をつなげてくれるのはこれまた読者である我々のSNSでの議論という「線」であったということ。

私個人のSNSは失敗したといえ、こうしたメディアの方たちと我々個人のSNSがうまく繋がりを作っていくことが、ある問題を世間に提起していくときにすごく大事な事なんだと思ったのです。

未だに4社さんとは連絡を取らせていただいており、担当者の記者さんから我々のことを気遣ってくださる方もおり、本当に、ジェットコースター中の私にとってはとても支えでした…ありがとうございます。


3)買い物は投票だ

私は8月末をもってキッズラインを退会しますが、
「人」に本当に丁寧じゃない会社と契約したくはない
と決めました。「丁寧」の基準は1人1人違うと思うので、私が思う「丁寧」な会社をちゃんと自分で選んで契約したいと思いました。

便利だから、有名だから、実績があるから
安いから、福利厚生が使えるから
ではなく、調べて自分が信じられるところを使っていこうと

もちろん急は無理だから、少しずつ。


急な話ですが、「買い物は投票だ」という言葉があります。

自分が購入する品=製造会社にお金を落とすことはそこを応援することになる。この本を紹介する人たちは、いきなりその商品を買わないということが難しければ、購入する頻度を減らしていけばいいとも言っています。

例えば、水原希子のInstagramでの発信をきっかけに私は資生堂を選ばなくなりました。我が家(実家)のヘアケア商品は資生堂なので、そこは仕方ないと思いつつ、私自身は資生堂の商品を手に取らないことにしました。

今回、私はキッズラインに10%の手数料を渡しているという「応援」、私がキッズラインを「投票」しているという事実を辞めたいと思い、退会を決意しました。今後「応援」「投票」したい会社は自分との相性も含めてしっかりと選んでいきたいと思いました。




長くなった…

最後に、一番の学び:

悲しいことやネガティブな言葉にあふれていると
日常の感情もネガティブになる

マスクで口元が隠れてなかなか動かす機会がない日々ですが、ちゃんと笑っていきたいなと思いました。


個人のキャリアにも新型コロナウイルスの影響で大きな変化があり、感情の起伏が激しく身体的にも精神的にも疲れる2020年の梅雨でした。


こんな私ですが、ぜひサポートお願いします。 いただいたサポートは、自分に沢山の学びと気付きの機会を与えてくれた人や団体、そして社会に還元していきたいです。