寒い雪の日の美しいもの

2022年2月9日

雪が降る。東京も大雪注意報が出る事もありえると、天気予報がさかんに言ってくる。

それではと、雪の日の写真撮影のイメージを膨らませ始めた。近所の庭に咲いているフクジュソウを見に行った。雪の中に咲いているフクジュソウを、白黒写真で何が表現できる、何が表現したいのか自分に問いかけ続けた。自分の頭の中で考えた写真はつまらないことを、自分が一番知っている。自分の写真は、被写体が発信してくる何かと響きあっての写真だ。だからと言ってそれが、多くの方へ響きをもたらすかと言えば、そこまでの表現は出来ていないし、見る側の受け止め方にも違いが有る。撮った写真は他人に評価されたい気持ちもあるが、それより被写体と響きあえたことの満足度が大きい。それで、撮りっぱなしの写真も多いのです。

話しはフクジュソウの話しにもどります。その庭は広くフクジュソウは一坪位の面積に広がって密集していました。家主の方に「雪が降ったら雪の中のフクジュソウを撮らせてください」と許可をもらって、なおもフクジュソウの観察を続けました。一輪のフクジュソウの花の前に、膨らみを感じさせないスイセンの花芽が二本並んでいました。ここに雪が降れば、白黒写真で何かを表現できるかもしれないと、雪降りを楽しみしていました。

雪は10日の夕方からちらちらと降り出しました。翌朝にその庭に出かけてみたが、フクジュソウの花とスイセンの花芽を包むような積雪はありませんでした。そこを離れて2時間ほど歩きました。陽だまりにホトケノザの花が雪の中に咲いていました。空には雲が多く、白黒写真に必要な光が届いてきません。こんな時にはカラーで写せば簡単に「雪に咲く春の花」となるのだが、白黒で雲の隙間からの光を待ってみました。こうしたカメラ散歩が楽しい薪割り爺さんです。

この日はもう一つ楽しいことに出会いました。春の合唱が深い谷底から聞こえてきたのです。「クークー」「クークークー」と歌っているのです。そうです「ヤマアカガエル」の雄の声です。春一番が吹くと同時に雨が降れば、冬眠から目を覚まし産卵場所の水溜りに集まり、大合唱で雌を呼びます。夜の産卵行動は面白いですよ。そして春眠と言う言葉を知りました。冬眠から目を覚まし、産卵をします。まだ春早い時期なので、カエルの食べ物になる虫たちはまだ活動していません。その時期が来るまでもう一眠りをしているようです。このことをカエルは春眠をしていると言ったりもします。自然は良くしたもので、オタマジャクシが子ガエルとなって地上を歩く時期には、虫も草むらに沢山見られる時期となります。冬眠できる場所・産卵に適した浅い水溜まりや池・オタマジャクシの食べ物が豊富な池・子ガエルたちが虫を捕えられる場所と言った様な、さまざまな自然環境が必要になってきます。他にも夜はフクロウの春の歌・キツツキの春のドラミングなど寒空の中で春を楽しんでいます。

翌朝、妻が早朝のウオーキングから帰ってきて「今日は木が白くなっているよ」綺麗だよと言ってくれました。確かに湿度の高く冷え込んだ日の朝は、その湿気が霜になり低温部に付着するのです。

(このことを子ども自然体験に取り入れたこともありました。気温は低いが湿度が無い乾燥した寒気の中で、空のペットボトルに水を入れ、なるべく0度に近い水温にし、霧を出せる噴霧器を取り付けて、枝先や枯草などに吹きかけると、瞬間に氷の花が咲き出します。朝日を受けるとそれはキレイなものでした。)

その霜は陽に照らされると解けてしまうはかないモノでもあります。朝食をとらずに、前日に準備して置いたレンズを取り付けたカメラを手に出かけました。近場の草地に目を向け、こちらを向いているモノとの出会いを楽しんでいると、一本の草が私の目をとらえました。この日も空には雲が有りなかなか光が注いでくれません。体が冷えてきました。何度か写して家に帰り、薪ストーブに燃えやすい細割の薪を放り込み、その遠赤外線の熱で体の芯まで温めながらコーヒーを飲みました。


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