大切な刀の思い出

2021年5月5日

数日前から割れない丸太に向かって、斧を振り上げ薪割りに挑戦しています。前回も同じ様な事をしてみて割れなかったが、今回又、割ってみたくなったのです。一度に沢山の薪割りを続ける体力が無くなってきていることを実感しているので、少しずつ割って行こうとの思いからです。

割れない薪の樹種はケヤキです。ケヤキは生の時には割れやすいのですが、大量のケヤキを一度に割ることはできませんでした。残りを数年間薪棚に積んで置いたケヤキです。斧だけでは割ることのできなかったケヤキは、直径30㎝位で表面の樹皮の一部が膨らんでいて、古い枝後の痕跡の様に見える玉切り丸太です。

杉の様に癖のない筋が縦に通った木は、どんな木でも割りやすい方に入ります。何度も斧を振り下ろしていると、割れにくい証拠になる筋が現れたので、写真を撮っておきましたので、見てください。№6971・20210503です。(数枚)

こうした薪割りの周辺を、大好きな昆虫「ウスバシロチョウ」が ふわり ふわり と飛び回ってくれます。さらに春型の「キアゲハ」や「カラスアゲハ?」が飛来してきます。ヒンヤリと空気感が変わってきた夕方には、日の当たる薪に「シオヤトンボ」が飛んできて、翅を広げていました。

手作り刀

ある時期ある幼児園で、カメラを持ちながら野外保育の手伝いらしきことをしていました。山道に雪が残っていた場所では、子どもたちに見つからないように、爪を立てるようにした手を雪に押し付け、さながら熊が歩いたように手の足跡を作りました。

子どもたちへ「熊の足跡が有るよ」と声をかけました。集まってきた幼児たちと先生の間で騒ぎが大きくなりました。「この足跡はね」と同じように、手のスタンプで足型を作って見せました。ちょっと怖かったのか偽物の足跡と知って安心した様子でした。それからは、雪の上の何かの痕跡に興味をもち「キツネ」や「テン」などの足跡と思える痕跡を見つけて楽しんできました。

野外活動の無い日は、幼児たちが体力を出し切る場面がなく、私にぶつかってきます。そんなある日、園庭で棒を持った一人の幼児が、いろいろなものをたたいていました。私も棒を探とてチャンバラごっこを始めました。ルールは相手のお尻を狙うことにしました。(過去にいろんな場所でこのルールで成功体験有)ところが、彼にはお尻をペンのチャンバラごっこは通用しませでした。「わかった わかった 顔なし 顔なし 足 足」と言い続けました。

家に帰り風呂に入ると足が数か所青くなっていました。彼に大切な事を伝えたいと考えました。自宅の物置から板と鋸とカンナと白色の太目の紙紐を出しました。長さ80㎝の日本刀を板で作りました。丁寧に丁寧の美しく作りました。丸い鍔はできませんでしたが、持ち手にボンドを塗り、太目の白い紙紐を巻きました。

棒を持って遊んでいた彼に、板の日本刀を渡しながら「刀で人を斬ったり、叩いたり」しないことを約束として求めました。「わかった~」そして木を相手に刀の練習を促しました。

数分後です。彼は、涙を流しながら私に駆け寄ってきました。「刀か折れた」と。「わかった。 ちょっと待って」と言って、ポケットからフィールドナイフを取り出し「大丈夫だよ 折れた大刀を小刀に作り替えるよ」と削り始めました。彼は私の姿をじっと見ていました。出上がった小刀を彼に渡すと、今度は園舎に向かって走り出しました。自分のリュックに大切そうにしまいこんだのです。

それから数か月の後の卒園のころです。彼の母親が謎が解けました、と、私に話しかけてきました。家の押入れの上の棚に、彼が大切に「刀」をしまいこんでいた謎が解けたと伝えてくれました。さらに数年後に、彼の母親と街で出会ったときの話しがこうでした。彼本人が母親に言った言葉が「ボクは、刀のおじさんと空手の先生に出会わなかったら、どうなっていたか分からない」と言っていたそうです。

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