想像が的中

2021年7月30日

秋川の支流に川を区切ったマス釣り場があります。その上流は、有料のフライフィッシングの区域となっています。川面を見ると、ヤマメやニジマスの魚影を沢山見ることが出来ます。

何人もの釣り人が、思い思いのフライを投げ込みますが、釣ったところは見たことが有りません。熱海市の土砂崩れの数日前に、秋川や支流も増水しました。支流の釣り場などに放流されているマスなどが、増水した水圧で下流に流されます。そのマスを餌釣りで多くの釣り人が釣り上げます。釣れるのは確かですが、そこへ割り込むことはしませんでした。

想像の中で作戦を立て準備をしました。増水直後は沢山のマスが釣れますが、釣り人も多いので、増水が収まって安定した水位になったころに出かけようと思っていました。このころになると釣り人もいないかわりに、マスもいなくなります。

ここからが想像です。増水で押し流されたマスが、釣り人たちに全部釣られたとしても、一匹は残っているだろう。しかも、今まで釣り人をかわし続けて、大きくなったマスがいるかもしれない。この支流にはたくさんの砂防ダム(堰堤・増水のたびに河床の石・砂利・砂が流されるのを防ぎ、安定した河床を守る)これらの堰堤の下まで押し流されたマスは、上流への遡上が出来なくなるので、堤の下の深みに留まっているかもしれない。ひねりを利かせた6号の針に、大物がかかっても切れない2号の釣り糸を巻きつけました。

エサも考えました。幾年も釣り人をかわしてきたマスに、同じ様なエサ(ブドウ虫)で誘ってもこないのではないかと想像しました。増水した水に多少とも濁りが残っていたら、臭いのするエサがよいのではと考えました。選んだのは「イカの塩辛」でした。このような想像から、準備を整えて支流に出かけました。

川底の砂利が見える透明度の高い水が流れていました。釣り始めました。出会った知人と長話(釣りには関係のない話)続け別れたころの川面は、すこし薄暗くなり始めていました。「釣れるかも」と思い釣り竿の準備をしました。

堰堤の下流の浅瀬から川に入り、数か所を攻めてみましたが釣れません。堤の深みに行き、右岸側の渦が巻いている深みに、釣り糸を垂れましたが釣れません。左岸側には流れが感じられない深みが有りました。浅瀬を渡り、玉ウキからエサまでの長さ(ウキ下)を、大物が潜んでいればと想像した深さに調整しました。第一投目は手前に、反応なし。第二投目はその奥の深みへ、塩辛をつけた釣り糸を落としました。数秒後に赤い玉ウキが、一方方向に静かに引き込まれていきました。「きたか」と思い、ウキが沈み行く反対の方向に、釣り竿を手首で強めに「ピッユン」と張りました。

「掛かりました大物が」。釣り糸が岩にこすれなければ切れることはないので、浅瀬にグイグイと引き寄せました。大きなマスも「これはまずい」と思うはずはないと思うが、浅瀬で大きな尾ビレを体全体で振り、深みに戻ろうとすごい力を出してきました。数回これを繰り返し少し弱り始めたのをみて、岸辺の浅瀬まで引き寄せました。(捕獲網は準備なし)。その時釣り糸が切れました。

大物のマスは、浅瀬で水しぶきを上げながら、深みに向かって泳ぎ出しました。「まずい」と思い、私も浅瀬を走って「ウキ玉」をつかんで、大物を浅瀬に寄せて手でつかみました。

糸ではなく竿が折れていました。59cmの腹部が赤い「ニジマス」でした。

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