オタマジャクシが好きな女の子、カエルが好きな男の子

2022年5月27日

小学1年生になった女の子が、オタマジャクシに興味を持ってやって来ました。幾度も外で一緒に遊んだお子さんです。薪割り爺さんの愛棒(相棒)が近くの谷戸田へ案内しました。帰ってきた小さなバケツの中には、小さくて可愛らしい黒いオタマジャクシ数匹が泥水の中に入っていました。何度も何度もオタマジャクシという生き物を確認するかのように、手のひらにすくいあげては動くオタマジャクシを見ていました。さようならの時間が近くなったころには、オタマジャクシに元気がなくなってきました。「どうするの この オタマジャクシ」と言う声が聞こえてきました。

薪割り爺さんは、元の田んぼに返してくるか、川魚の水槽に入れるかのどちらかと、答えました。水槽に入れることになりました。ここで事件が起こったのです。本人が水槽に放したオタマジャクシが泳ぎ出した瞬間に、川魚が食べてしまったのです。本人に衝撃がはしりました。かなりのショックの様子でした。私の言い訳になりますが、これまで何度も子どもたちのオタマジャクシを小魚と一緒に飼育をしていたことがあったので、良く考えないで言ってしまったのです。バケツに残っていた最後の一匹を田んぼに返してくると、私はごめんを含めて走り出しました。

それから一月後に「オタマジャクシを見たい」と、再びやってきました。この日は夏キャンプ打ち合わせです。大人の会話が終わると同時に、前回と同じ色の小さな赤いバケツを手に、目的地の谷戸田に向かって先頭を歩きだしました。
私がキロキロとオタマジャクシを探し始めると、「もっとむこう」「こっちこっち」と私を誘導してくれました。「ほんと ほんと」「いたね」。前回に小さなオタマジャクシを見つけた場所をしっかりと覚えていたのです。ドロの深い田んぼなので私が網で数匹のオタマジャクシをすくい取って渡しました。オタマジャクシは大きくなっていました。
この日の午後に、今度はカエルを見たいと愛棒と出かけました。二ホンアマガエルとシュレーゲルアオガエルの鳴き声は聞こえていますが、カエルは見つけることができませんでした。愛棒は、田んぼでドロドロになって帰ってきた自分の長靴をキレイに洗いました。私もと言って、一年生の女の子が借りた長靴をキレイにドロを洗い流して「ありがとう」と玄関に並べて帰りました。
 
カエルが大好きという3歳の男の子の話しです。この子の母親の「田んぼの会」や愛棒の「子育てサロン」での野外遊びでカエルに興味を持ったのか、とにかくカエルを見つけ捕まえたいのです。私も自然公園の中でカエル探しに付き合いました。保護色のモリアオガエルやシュレーゲルアオガエルは「声はするけど姿は見えず」なのです。やっとの思いで見つけて手にしたときの表情は、少し怖くとも嬉しそうな顔でした。「家に持って飼いたい」と、子供ならでの発言が飛び出しました。「困ったね ここの生き物は もって帰れない」と、自然公園内の動植物の保護について、3歳の子どもへ説明は、簡単な言葉で難しいことを説明しなくてはなりません。母親の協力もあって納得してくれました。
母親は我が子の好奇心や探究心をみたしてあげようと、子どもと二人で「田んぼの会」の田んぼなどに、カエルを探しに出かけたようです。飼育を始めると、そのカエルが食べるエサが必要になってきました。エサは動く生きた虫です。草むらで小さなバッタなどを探す親子の姿をたびたび見かけました。

5月の「子育てサロン」の会場は、昨年と同じカエルが鳴く自然公園です。あの3歳の子が4歳になってやってきました。135㎜のズームレンズがついた大きな一眼レフカメラを首にかけて、私の前に嬉しそうな誇らしげな顔で現れました。お母さんが、家族に忘れられていたカメラを彼の首にかけてあげたようです。「カエルの写真を撮りに行こう」と彼を誘いました。カエルの声が聞こえてくる池の方に行きました。なかなかカエルが見つかりません。池を2週したときでした。モリアオガエルを見つけることができました。私の上からの目線で見つけたカエルを子ども視線見えるかどうかを確かめるために、膝を折り目線を男の子と同じくしました。そこからもカエルは見えました。すぐに気づいた4歳児は一眼レフを構えました。だが、なかなかカエルを画面にとらえることができませんでした。そこでズームレンズの広角で写した画像を見てカエルを確認してから、135㎜レンズで大きめにカエルを写すことができました。
その後、シュレーゲルアオガエルの個体や泳ぐ姿なども写せました。その姿と写った写真にスタッフも母親も私も拍手をおくりました。彼はカエルを捕る喜びから撮る喜びに変わったのかどうかは分かりませんが、生き物と触れ合う喜びを二つの経験で味わうことができたことは、とても良かったと思いました。心にとまったことを表現できたり、他の人に伝えたりできる方法が身につければ、人生が楽しいと思うからです。{好奇心と探究心とやさしさ・そして表現へと。薪割り爺さんの思うところです。}
 


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