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第17弾 求人レポート【新型コロナウイルス】求人広告影響調査

方正株式会社では、【客ココ便利くん】https://www.founder.co.jp/sfaという求人広告代理店様向けのサービスを展開している。その「客ココ便利くん」を用いて、フロムエー、マイナビ、タウンワーク・バイトルに掲載されている求人情報を元にいくつかのグラフを作成してみた。

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先週も同じことを書いたが、残念ながらこの2つのグラフについては、すっかり見慣れてしまった感がある。
参考に政府統計で「正規・非正規の職員・従業員」(https://dashboard.e-stat.go.jp/graph?screenCode=00050)を調べて見たところ以下のような数字を見つけた。
        2019年12月時点 正規雇用:3,518万人/非正規雇用:2,179万人
        2020年09月時点 正規雇用:3,529万人/非正規雇用:2,079万人
正社員の雇用者総数がコロナ騒動の中で約10万人増えているのに対し、非正規は10倍の100万人の雇用が失われていることが分かる。この9月度の非正規雇用者数の実績は2017年12月時点の数値をやや下回る数字となっており、2017年3月から始まった非正規の継続的増加を断ち切った形になってしまった。ただし、雇用者数のボトムであった本年4月度よりは60万人増となっており、概ね上記の「時給」グラフの通りの推移といえそうだ。

さて、今週も全体件数の中で各職種シェアはどうなっているのか調べて見ることにした。次の連続円グラフを見て欲しい。一番内側が3月の求人、最外縁が10月となっている。今回は募集形態を「月給」に絞ってみることにした。

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「オフィスワーカ」がほとんど比率を変えていないのに対し、「ドライバー・配送・軽作業」は大きくシェアを伸ばしている。毎週毎週シェアを拡大しているのが良く分かる。
また、先週のデータではわかりづらかったが、月給に絞ってみると「医療・看護・介護」のシェアは3月と10月では比較にならない程に激増していることに気づく。3月時点では「飲食・フード」と同等だったのが、今や全体の1/4程度を占めるまでになっている。これほどまでに募集数が増えているということは、定着率の低下や休みのないシフト勤務の導入など、医療関係の勤務状態がかなり切迫していることが感じ取れる。
逆にシェアを半減しているのが「販売・接客・サービス」だ。欧州の状況とは異なり、日本ではリアル店舗の再度の閉鎖は当面無さそうだが、長期雇用を絞っている同業界のトレンドには変化が無いということだろう。


最後に、賃金の推移ついてみてみよう。先に挙げたシェアに変動がある業種の月給について調べた。
「ドライバー・配送・軽作業」は一時期大きく募集金額を落としていたが、現状では5月と変わらない水準に戻ってきているようだ。逆に、6月くらいから大きな金額上昇があった「医療」関係はその後、募集金額を落とし直近のデータでは5月の水準を大きく下回ってきている。募集枠は拡大しているにも拘らず平均的な賃金が下がってきているということは、同業界の募集が専門的な職種から一般的な職種に広がってきているということなのだろうか? 或いは、マスコミで何度も報道されている医療機関の経営悪化の表れなのか? もう少し分析が必要そうだ。
「販売・接客」では、変動はあったものの結局5月よりも月給の水準が落ちてきている。募集総数も減り、募集賃金も抑制気味ということだ。益々リアル店舗の行く末に不安を感じざるを得ない。

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先日目にした本の中で、「リスクは管理できるが、不確実性は管理できない」という言葉があった。第1次世界大戦から2次大戦に至る20年がそうだったが、今まさに不確実性の時代に入ったというものだった。こういう時代には、しっかりした事実(データ)に基づいた現実的な期待を持つことが必要ということも書かれていた。大手航空会社の決算見通しなどを聞くと不安が募るばかりだが、今こそデータを分析した上での期待感を語っていきたいと考えている。

方正株式会社 津村
2020.10.19

資料作成にあたり参照したHPは以下の通りです。
タウンワークhttps://townwork.net
マイナビhttps://baito.mynavi.jp/
フロムエー https://www.froma.com/
バイトル https://www.baitoru.com/

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