2022年まとめ&2023年抱負

ご無沙汰しております。笠原悠暉と申します。囲碁をやっております。
これを書いているのは2022年12月31日の午後9時45分なのですが、現在囲碁モチベーションが高い状態でございまして、「今年の反省会でもしよう!!」ということでこのnoteを執筆しております。

書く内容はタイトルの通りです!それではいってみよう!!

2022年 成績

対面対局

学生本因坊戦
関西予選 枠抜け(3-1のリーグ2位)
全国大会 ベスト32(1回戦で川口飛翔くん(東大)に負け)

学生十傑戦
関西予選 枠抜け(3-0のリーグ1位)
全国大会 ベスト32(1回戦で曹睿梟さん(東大院)に負け)

学生王座戦
関西予選 枠抜け(3-1のリーグ2位)
全国大会 準優勝(決勝で川口くんに負け)

朝日アマ名人戦 兵庫県大会 ベスト8(水精次元さんに負け)

兵庫県アマ名人戦(神戸新聞) 優勝!!!

赤旗名人戦 兵庫県大会 準優勝(決勝で西方彩華さんに負け)

日中大学親善試合(日本チーム2番手) 0-2


ネット対局

初台ネット団体戦(チーム主将)  4-2(並木響先生、大竹優先生に負け)

初台ネット個人戦 3-1(保田翔太先生に負け)

第1回トップアマリーグ 優勝!!!!!(4-2)


感想

・対面対局は負けすぎ、と言いたいところなのですが、負けた相手はみなさん実力者の方で、ある程度仕方のないことなのかとは思いました。とはいえトーナメントの早い段階で当たっているため、見かけの成績としては非常に悔しいものとなりました。
学生王座戦の準優勝は、決して満点の結果とは言えませんが、他の学生大会は1回戦敗退に終わったことを考えると大変ホッとしたのは間違いありません。碁の内容も決勝以外はそれほど酷いとは思わず、冷静に、しかしながら自分らしく打てたのかなと思います。
やはり、大会に出るからにはすべて優勝したい。そういった思いで臨んでいるので、来年こそは全国大会で優勝という結果を出せればいいなと思います。

・ネット対局は実力以上の結果を出すことができました。プロの先生にも健闘することができましたし、何よりも嬉しかったのはトップアマリーグの優勝です。一般大会で何度も全国優勝を果たしている人たちの中で、互角以上の戦績を残し、優勝することができたのは本当に自信がつきました。
これまで「自分はネット碁は苦手だから」と言い訳を続けていましたが、そんなことを言っている場合ではないのかもしれません。ただし、内容は対面対局以上に酷いものが多いため、改善が期待されます(他人事)。やはりPCの前で集中するのはかなり難しいなと実感しました。


振り返り

今年は悔しい敗戦が目立ったので、その中でも特に思い出に残ったものを振り返っていきたいと思います。

1つ目は学生本因坊戦の川口くん戦。
川口くんとは同い年であり、同じ元院生であることもあって非常に意識している相手です。練習碁で対局することはありましたが、(この対局の前に)大会で当たったことはなく、当たったら楽しみだなと思っていました。しかしながら、学生本因坊戦はベスト8の対局まではネットで行われ、ベスト4まで勝ち抜かないと東京の日本棋院で行われる対面大会に進出することができません。
自分が大学1回生の時の学生大会の最高戦績が学生王座戦のベスト4であったため、2回生は最低でもその記録は塗り替えたいと思っており、そのためには対面大会には行くのは必須ということになります。なので、優勝候補の大本命である川口くんとはベスト8までで当たる枠には入りたくない、そう祈っていました。祈りが通じたのか、しっかり1回戦で当たりました日頃の行いでしょうか。

黒番。白四子の取り方が気持ちよく、黒優勢。このコウを争うかどうか。


僕の先番。三々から派生する難解定石で、現時点では、正しく打てば黒がはっきり良い形勢。ここで僕は損をしながらこのコウを争う道を選んだのですが、ここでは9の二にカケツギで軽く捨てるぐらいで大差で黒がよかったようです。実戦はほぼコウダテで大損してしまったせいで決め損なってしまいました。それでも形勢はまったくの互角だったのですが、この後は実力を見せられて負けてしまいました。序盤でははっきり押していることは分かっていたので、その点では大魚を逃したな、と思っていたのですが、相手の後半以降の打ち回しが非常に上手く、これは勝った相手を褒め称えるしかないかもしれません。川口くんが優勝してくれてよかったです。


2つ目は学生十傑戦の曹さん戦。曹さんとは初対戦だったのですが、来日初年度の今年のネット棋聖戦でベスト4の実績をお持ちなど、非常に強敵であり、優勝候補であることは大会前から存じ上げていて、対戦経験がないこともあり、トーナメント1回戦で最も当たりたくない人に名前を挙げていました。神様もそう非情ではありません。祈りが通じたのか、しっかり1回戦で当たりました日頃の行いでしょうか。

黒番。7の六で安全につながるか、危険ではあるが6の四で厳しく追及しつつ働いた繋がり方を求めるか。

僕の先番。自分は序盤にこだわりを持つタイプで、他の人とは違う感覚を持っているという自覚はあります。それが長所か短所かは分かりませんが、確かに序盤で形勢を損ねる頻度は、大会で同程度の成績を残していて、自分と近い実力の人と比べて極めて高いと感じています。近しい囲碁の友達にも、「笠原くん序盤で本気出さんの?」「笠原先生の碁は(理解が)難しい」「囲碁が100手で終わりならめっちゃ負けてる」と散々な言われようです。この碁もご多分に漏れず、序盤戦から非常にまずい展開ではあったのですが、意欲的な打ちまわしでポイントを挙げて差を詰めているところ。AIの評価値的には五分の局面ではありますが、人間目線だと黒の流れがいい場面。
この進行になることは少し前から予想していて、ここでどう対応するかかなり時間を使って苦慮していました。この手を打たれた後自分の手番でお手洗いに行き、決断して相手を追及する道へ突入。険しい進行も予想されましたが、やれると見ての判断でした。
しかしながら、誤算があったのか、この後数手でツブレ形へ。自分はこういった局面の読みの深さが長所の1つだと考えているので、この読み違いには本当にショックを受けました。凡庸につながっていれば、まだまだ難しい局面で、楽しく対局できそうであったため、そういった点でも非常に残念でした。曹さんが準優勝してくれてよかったです。

3つ目は学生王座戦ベスト8での古川恭正くん(京大)戦。古川くんとは学生大会の関西予選で本当によく当たっていて、学生大会4つで5回目の対戦です。毎度毎度大激戦になるため、対戦していて非常に楽しい相手です。幸運にもこれまでの4局はすべて勝利していて、仲良くしていただいていることもあり、「今度こそ倒す」「4度あることは5度ある」と軽口を叩き合いながら対局に臨みました。結果的にはこの対局は勝つことができたのですが、負けを覚悟する時間も長かったためこの項で取り上げさせていただきます。


白番。このままヨセ合うのでは形勢不利とみて、超大石を取りかけに向かう。

僕の白番。序盤から見慣れない変化が続きましたが、右辺の黒のサバキが非常に上手く、その後も軽く利かしに行った軽率な手を咎められ、大差ではないものの形勢は苦しいと考えていました。ただ、盤上に空白が多く、ヨセの想定図を作ることも難しかったので、実際どの程度の差なのかはよくわかっていませんでした。
ただ、苦しいという思いは強く、半ば諦め気味になっていました。
しかし、そこに光明が射し込みます。
僕はよくYouTubeで柳時熏先生の10秒碁実況を好んで見ており、そこで柳先生が「これねー、この石を取ってしまえば勝ちになるわけですから」というような発言をよくされていて、非常に印象に残っていました。他にも面白い発言を多々されているため、以下自分の当時の脳内実況をお届けいたします。発言はほとんど柳先生の動画からの引用ですが、あいまいな記憶であるため、正確ではないかもしれませんが、ご容赦ください。

「あーこれ悪いのかな僕」「悪いかどうかもわからない」「ん?これよく見りゃ真ん中のひじょーに大きな石に眼がないんですね」「でも取れる石じゃないですよね、どう見ても」「ただねー取ってしまえば勝ちになるわけですから」

このような感じで、白1を打つ前に残りの持ち時間をすべて投入して、形勢判断と大石の死活判断を全力で行いました。最初は死ぬわけがないと思っていましたが、よく考えると意外と黒の応手も難しく、生死不明であることに気が付きました。1,2の交換が真ん中の死活にいい影響を及ぼしていると思い、単に取りかけに行く前に様子を見ることにしました。
結果的にはこの大石が死に、白の勝ちとなりました。
局後にAIで調べたところ、「生死不明ではあるが死ぬことの方が多そう」という感じであるようです。棋力が近い相手との対局で、ここまでの大捕り物となることは珍しく、非常に印象に残る対局となりました。

4つ目は学生王座戦の決勝の川口くん戦。
自分は学生王座戦のベスト16が決まった(組み合わせは決まっていない)時に順位予想をしていて、その時に希望的観測込みで「1位川口くん、2位自分、3位硯川俊正さん」と冗談交じりに言っていました。準決勝が終わった時、この可能性が残る勝ち上がり方になったため、自分で「予想当てに行くか?」などと言っていました。そんなわけもなく、本当に「絶対に勝ちたい」と強く思っていました。


既に負けを覚悟していた局面。明らかに無理をしている勝負手を放つが、これが真の敗着となった。

僕の先番。序盤で軽い気持ちで打った手に激しく反発されて、戦いはお手のものと言わんばかりに真正面から戦いを挑んだのですが、石が取られそうになり、この時点では敗勢を覚悟していました。
黒1はこの手を利かし、左上の生きに回ろうという狙いなのですが、厳しく2と曲がり、左辺の黒のダメヅマリを咎められ、負けが確定しました。囲碁の正しい手としては、黒1で2に押すしかないことは百も承知ではあったのですが、1に受けてもらえればかなり中央の黒に余裕が出るため、相手が日和ってくれることを期待してしまいました。
実際は形勢はこの時点でいい勝負であり、左上の黒を捨てて冷静に2に押していればまだまだ難しい局面が続いていたようです。相手も白が良いと判断していたようで、局後の検討で2人してかなり驚いていました。自分の形勢判断に難があることは自覚しているのですが、全国大会決勝の場面でこのような無理を生むほどひどい形勢判断であるのかと自らに失望しました。全体的にあまりうまくいかなかった2022年を象徴する対局だなと苦笑いすることとなりました。
ちなみに大会前の自分の順位予想は当たりました。自分で対局するより結果を予想する方が向いているのかもしれないですね。

この記事を読んでくださっている皆様はご存じとは思いますが、川口くんは非常に強く、年齢制限のない一般大会でも全国クラスで活躍するほどであり、自分よりはかなり格上だと認識しております。直接対局すると自分から見て2割~3割ぐらいの勝率なのかなと分析していて、練習碁を含めた対戦成績もそれに近い感じの数字が出ています。
学生の中では、大学院生を除くと圧倒的に実力は抜けていると思っています。自分が全国大会で優勝するためにはこの高い壁を乗り越えなければいけないということになります。

2023年の抱負

最初は「2022年まとめ」という感じで書き進めていたのですが、気が付くと年が明けていたため、急遽この項目が追加されることとなりました。目標をいくつか挙げて、それについて語っていきたいと思います

毎日1局は必ず対局をする
・大事な対局の前はしっかり寝る

学生最強位戦優勝
・学生大会の白番無敗継続
一般大会全国大会進出
プロ試験合格

それぞれ語っていきたいと思います。

まず1つ目。2020年~2022年は多忙な学生生活に追われ、なかなか囲碁に接する時間を増やすことができませんした。今年は心を入れ替えて囲碁と向き合っていきたいと思います。
2つ目。大会前に興奮してあまりよく寝れず、大会本番は体調が悪い(あふれ出るアドレナリンでなんとかする)ということが続きました。プロ試験を受験するかもしれないというのにこんなことではいけません。しっかりと生活リズムを整え、万全の状態で大事な対局に挑めるようにしたいです。
3つ目。2年半維持してきた学生最強位、このタイトルだけは譲れません。あいにく自分が優勝した回はコロナウイルスの影響により最後までネットでの対局となってしまいました、今年は対面対局もできそうと聞いているので非常に楽しみです。そこまで勝ち上がるのが非常に難しいのですが、頑張りたいと思います。
4つ目。実は学生大会では中1の夏を最後に、白番で負けていません。中2~高2まで学生大会に出ていない強い人に黒番を引くことが多いなど様々な原因が考えられるのですが、縁起のいい記録なので、継続できればいいなと思います。ちなみに自分は黒番の方が好きですし、黒番の方が得意だと思っています。
5つ目。メジャーな一般大会といえば、アマ本因坊戦と朝日アマ名人戦が挙げられると思います。自分が在住する兵庫県は全国大会優勝経験者も何人もいらっしゃいますし、強豪が多いため、県大会でなかなか良い結果を残すことができていません。とはいえ、さすがにその2棋戦で全国大会に行ったことがないというのはまずい気がするので、今年は勝ち上がりたいと思います。
6つ目。これが一番大きな目標になります。
自分は今年プロ試験を4年ぶりに受けようかなと考えています。棋士の道を志すことはもうやめたつもりではあったのですが、入段を争ってきた仲間のプロ入り後の活躍、また先輩方からの助言もあり、もう1度最後に頑張ってみようかなと思いました。大学生活や体調との兼ね合いもあるため確定ではないのですが、長年の夢であった棋士になれるよう、最善を尽くしたいと思います!!

というわけで、軽く記事を書くつもりが気が付けば6000文字も長々と書いてしまいました。
ここ2年ほど、人生のいろんなことで思うような結果を残せていません。原因は主に不運と努力不足だと思っています。ずっと自分に言い訳をして適当に遊び暮らしていいものだろうか。
小2で院生になった時から、周りのみんなが遊んでいる土日は院生手合いで遊べず、プロ入りが現実的に見え始めた中2以降は人生ずっと囲碁に苦しめられ、「生きてて何が楽しいの?」「もう死にたい」と何度も思わされました。ただ、その囲碁から距離を置いて、あれだけ苦しんだのに自分の到達点はこの程度なのか、そういった思いに苛まれることも何度もありました。
一度しかない人生、後悔しないようにやれるだけやってみたいと思います!!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?