【アニメ映画レビュー】体験を見(魅)せる映画。『劇場版ゆるキャン△』観てきた。【★★★★★】
(蛙・ω・)<キャンプ行きたい。早く8月になれ。
って、映画鑑賞後になった本作品のレビューです(ネタバレあり)。
昨今の「キャンプブーム」の火付け役と言っても過言ではないと思っている。
原作:あfろ『ゆるキャン△』
その劇場版である本作。
高校卒業後、社会人となった5人のお話。
作品を観終わったカエルの感想は冒頭の通りですが、
「エモい。泣いた」
正直こんな感じ。
もともと5人の「のんびりキャンプライフ」をメインにしたお話なので、爆発的な盛り上がりがあるような作品ではないのですが(盛り上がりが無いという意味ではない)、観客がいろーーーんな、エモーショナルになる要素が含まれていました。
□大人になるって、ちょっと哀しみを抱えるってこと。
社会人になった5人。
それぞれ違う環境で、「最後にキャンプしたのは3年前」になるくらいの時間が経っており、全員が揃って会うことがなくなっています。
リンは出版社の営業職を経て企画部で働いてるし、
なでしこはアウトドアショップで頑張ってるし、
千明はイベント会社から転職して地元の観光系の仕事で新しい企画に携わってるし、
あおいは教師になって閉校直前の小学校で働いてるし、
斉藤はペットのトリマーになってる。
見事にバラバラで、それぞれの向かう先も別々。
本作ではそんな5人がもう一度「キャンプ場を作る」ことをきっかけに揃う訳なんだけど、それぞれ抱えているものが異なるから、「一人のシーン」では「五人でいる時」とは違う表情を見せる。
特にクるのは、斉藤の愛犬であるちくわが「おじいちゃん犬」になってること。
この二人のシーンは、人によっては泣いたんじゃないかな。
カエルは昔飼ってた子を思い出した。
斉藤「あったかい」
の破壊力。
リンが陰ながら職場の先輩や上司にフォローされてることを知るシーンや、あおいが閉校になる小学校から私物を運ぶシーン。これから失われる学校の遊具を見つめるカットや、その遊具で遊ぶ子供たちを見るカットなど。
誰しも経験する「一期一会」を描くのは、クるものがある。
□何かを成し遂げるって、小さな自分を知ること。
思いがけない苦難を乗り越えて、遂にキャンプ場をオープンさせた五人が並んでキャンプ客とキャンプ場を見下ろすシーン。
冒頭のキャンプ場の企画詰めから、キャンプ客を迎え入れるまでの全てに、千明の言った「適材適所」が反映されてる。
五人が五人じゃなかったらラストの五人のシーンにはならなかったと思うと、120分という上映時間の全てにムダがないことに気付く。
「企画屋」である千明が本気になったことでラストスパートを駆ける後半の流れは、胸がじわっと熱くなる。
最初からセットの二人である千明とあおいが互いに支え合う様は、キマシタワーなんて言ってられないくらい良き。
なでしことリンが八ヶ岳の本沢温泉で話すシーン。
リン「温泉って、歳をとればとるほど、沁みる」
なでしこ「私たちすっかり大人になりましたな。仕事して使えるお金も増えて」
リン「車の免許も取ったし」
なでしこ「でも、何でも出来るって訳じゃないんだね」
この辺りの一連の会話は、もう胸が苦しくなる。
リン「先輩に迷惑かけちゃってた」
なでしこ「怒られた?」
リン「ずっと応援されてた」
とか。
なでしこ「大人だから、今だから出来ることってあるよね」
キャンプ場開設を一度頓挫して、リスタートする流れの中に、五人それぞれの役割がまた組み込まれるの、ストーリーとして完璧だと思う。
千明が行うプレゼンのプロモーションムービーの斉藤のナレーションとか。完璧。
実際に一度PV作ったんじゃないかと思うくらいのリアルさ。
「事業」という大きいものに挑んだからこそ見える個々の矮小さ。
でも五人(とその周囲の協力)がそれぞれに得意なものがあるからこそ成し遂げることが出来た「キャンプ場開設」
というストーリー。
こんなの泣けちゃうだろ。
□仲間がいるって、やっぱり素敵なこと。
千明のプレゼンシーン。
斉藤のナレーションの中にメッセージが集約されていたなぁ、と。
「キャンプ場作りをきっかけに、昔の友達、そして自分と再会」
当初のキャンプ場のコンセプトである「再生」は最後まで使われていましたし、キャンプ場開発が再開した時も、「生い茂る雑草」が見事に再生していました笑
急ピッチで進める開発の助力に集まってくれる地域住民の岡崎さんや、キャンプ場の看板を作ってくれたあおいの妹あかり。
そしてTV版で大活躍(&大注目)されていたYAMAHAのビーノ(リンちゃんモデル)
\ マカセロ /
千明「やって良かったよな」
キャンプ場を眺めながら、最後にそう投げかける千明。
頷く四人。
なでしこ「年越しにここでキャンプしない? リンちゃんも!」
リン「とりあえず、考えとく」
EDのスタッフロール横で流れる年越しキャンプのカット。
TV版から通してEDを担当した佐々木恵梨による『ミモザ』
ミモザの花言葉は「友情」「感謝」
ダメです。こんなのエモくて泣いちゃいます。
泣きました。
良い映画だった。良いアニメーションだった。
【アニメの語源は「生命を吹き込む」という意味のanimate】
『ゆるキャン△』は、本当に良い空気感、心地の良い空気感を魅せてくれる作品だと思いました。
色々削ったレビューですが、もう一度劇場に足を運ぶ切っ掛けになれば。と思います。
良い映画は何度観ても良いこととする。
ゆるキャン△は、いいぞ。
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