朝とネコ
我が家には、2匹の猫がいる。
べっ甲のレヴィ(♀)と、茶シロのコタ(♂)である。
今朝は目覚ましより少し早く、視線を感じて目が覚めた。
コタが、じっと私を見ていた。
最近お気に入りの寝床らしい寝室の出窓から、ちょうど枕元が見下ろせる。
身じろぎもせずに見ている。
コタは私が好きじゃない。
特に、朝は。
私が目ヤニを取ろうとするのが気に入らないらしい。
だから起き抜けで寄りつかない。
朝ごはんを用意し始めると、ようやくトコトコと歩いて来たり、キッチンの窓から外が見たいときくらいしか足元に寄ってくることはない。
それが、どうだ。
今朝は私をじっと見ている。
顔を近づけても逃げなかった。
「にあ」と鳴く。
目ヤニを取るのも嫌がらない。
いつもならすぐ降りてしまうのに、肩にのせてもそのままだ。
なんだか気分がいい。
レヴィが、いつもより離れたところにいた。
ぷい、とキャットタワーのほうに行ってしまう。
いつもは寝起き5分くらい撫でないとひざから降りてくれないのに。
まあ、そんな日もあるのだろう。
コタがお気に入りのボールをくわえてきて、足元に転がしてくる。
「とっておいで」をして欲しいときの合図だ。
たまごかけごはんをかき込みながら、ヒゲを剃りながら、歯を磨きながら。
投げれば取ってきて足元に転がしてくる。
そろそろスーツに着替えなければ。
コタを抱えてキャットタワーにのせる。
ぷい、とレヴィがキャットタワーから走って行ってしまう。
我が家は寝室とリビング、ネコ部屋、ダイニングキッチンに分かれている。
DKに玄関があるので出かける前に猫たちを手前の部屋にいれて扉を閉める。
出掛ける前に、レヴィだけを撫でまわす日課がある。
我が家ではプリンセスタイムと呼ばれている。
抱えてリビングへ連れて行こうとするとレヴィに唸られた。
めずらしいので、かなり驚く。
さっきまで寝ていた妻が言う。
「ヤキモチだよ。すごい目で見てたよ」
レヴィはそのまま、ひと撫でもさせてくれなかった。
今日は朝から、すっかりコタにしてやられた。
帰ったらレヴィと遊ばなければ。
外に出ると少し涼しいくらいだった。
帰りにレヴィの好きなロングじゃらしを新調してお詫びにしよう。
猫がいる暮らしは、朝から忙しいのだ。