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【ネタバレあり】最終回における4号くん問題

終わってみれば、けっこうなハッピーエンドでしたね。
まあ、18話くらいのころは「どうすんの、これ」と思ったりもしましたが。
バンダイの「新製品B(仮)」もキャリバーンで、ひと安心。
あの演出があったから出せなかったわけですね。

終わってみれば名前から圧倒的主人公だった、たったひとりの水星生まれスレッタ・マーキュリー
まさに彼女こそが”カヴンの子”を引き連れる水星の魔女でした。
個人的には、四の五の語らず「おもしろかったー」でいいと思います。

が、チラホラと目についたのは”最終回における4号くん問題”です。
考えるな感じろ、じゃダメなんだろうか。
なーんて気にすれば気になるで、考えちゃうのも分かります。

ここから物語のネタバレを含みます。

焦点としては、そもそも4号くんて殺されたんだよね? ってとこなのかな。

これは、ほか最終話におけるデータストームのその先にいた御一行さまにも殺されたひとのほうが多かったりで、スコアをあげたことで鬼籍に入るのがその先へ行く手段ではなさそうっていうのがひとつ。
エリクトが亡くなったのも厳しい宇宙環境に耐えられず衰弱してのことで、
このときルブリスを介してデータストームと完全に同調できていたからこそ生体コードをエアリアルへと転移させることができたわけです。

つまりはパーメットスコアを上げることは、データストームと同調しようと試みるようなもの、知ると知らずと生体コードが転移をし始めるのでは?
たとえば適性の有無は、このとき複写できるか転写しちゃうかみたいなギリギリの行為なんじゃないかと。人格のデータ量ってのは想像つきませんが、まあ膨大ではありそうなのでデータ流量も跳ねあがるって仕掛け。
パーメットスコア8ってのは、人格が意思を以て振舞えるデータ流量が確保される状態で、だからエアリアルが単独で動ける境界でもあった..とか。
当たらずとも遠からずだと思うんだけれど、どうでしょう。

つまり高スコアラーは、そのときの人格が切り取られてデータストーム内に留まっているんじゃないか、という推論です。
ただ、そうなると記録されるのは”その瞬間の人格”に過ぎないわけですが、AI化する、みたいなイメージが近いかな。
たとえば顕現した瞬間にリアルタイムで活性できるって、まま人間の感覚で出来るとは思えません。発狂とかして崩壊しちゃいそうだもの。

この、切り取られてAI化した人格ってのが仮説としてあり得るなら、リアルタイムで正しい反応ができるのは、パーメットで解消できちゃいそうな。

顕現した4号くんが「また、困ってる?」って言ってたのがヒントですね。

たとえばパーメットは、情報を共有する性質を持っているとされているのを考えると、スレッタの”いま考えていること”も汲み取れるわけで。

だから待ち合わせに来なかった自分だとかを知っていたように振舞えるのも不思議じゃないし、スレッタの中にあるエラン・ケレスが投影されたなら、もちろんAIとして補助しようと働くのも自然な気がします。

メルヘンじゃなくなっちゃうので、この仮説を正しいものとしてしまうと、けっきょく最後には「都合よく聞きたい話を聞いて落ち着いた」エルノラが出来上がってしまうので、もうちょっと何かあってほしいけどね。
それもエリクトが暴走を止めることにして連れてきた説得材料だと思えば、強ちなくもないか、とも思えてきます。

そんなエリクトですが、そもそも彼女にはエアリアルという義体もあったしAIとしては1つ抜きんでてるポジションになるわけです。
だから、マスコットに乗り移って小姑化もできたってのは都合良すぎるか。

人格の複写、転写の概念論についてはスレッタがリプリチャイルドと呼ばれていたのもあったりなかったり。
エリクト/エアリアルをデータ上の本人とすれば、スレッタのほうは遺伝子上の本人でシンプルに相性優先だったのかな、とも。

身も蓋もなくなってきそうなので、このへんで。

ともあれ『水星の魔女』は大満足でした!
最後の最後で、サイコフレームっぽい概念を踏襲してたりでガンダムっぽいところも感じましたし、ちゃんと『祝福』で終わったのも良かったね。