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『GUNDAM』というIPを足枷に踠いて生まれる、きっと評価されていい物語

単方向の分散型神経接続によって自律機動を行うGeneral Unilateral Neuro-Link Dispersive Autonomic Maneuver汎用統合性システムなんて言われてピンとくるほうが気持ち悪いのは言うまでもありません。
でも、この頭文字でそれと読ませる仕掛けにニヤリとしちゃった層ってのは少なからずいて、言っちゃえばヲタクが食いつきそうな雰囲気があります。

この、ヲタクが食いつきそうな雰囲気ってのは奇をてらうでなく入れ食いになることもあれば、箸にも棒にも掛からなかったりする水物には違いなく。
今季だと、たとえばリコリコとか?
あれ、雰囲気のほかに”これ”ってのないと思うんです。
得てしてそういうほうが跳ねるのは、どんなジャンルでも同じなのかも。
ただ雰囲気なんで、もう完成したのを扱うのって大いに難しいんじゃないかとも思えて。もう仕上がっちゃってるのに続けるとかムリあるもんね。
エヴァンゲリオンもそういうことだったんじゃないのかな。
だから別ものにして終わらせました、みたいな。

そう考えると、本当に『ガンダム』ってのは大変でしょうね。
宇宙世紀のほか、もう8つくらい世界観ありますから。
でも宇宙世紀を越えられたものはなくて、なのに新しく作り続けられるのが不思議でしかない単純再生産。

この2022年10月にも、また新たなガンダムが生まれます。

よく考えるなぁ、と感心しちゃいますが「義肢などの福祉工学に端を発する身体拡張機能技術G A N D」を応用した機構を採用する兵装、が今回の設定。
「GUND-ARM」が正しく、通称で「ガンダム」なのだそう。
本編は10月の初旬からサブスク含めて放送/配信開始。で、先行公開されている第0話PROLOGUEを観たんですが..もうガンダムを名乗る必要ってあります?
ちゃんと面白そうだし、ちゃんと観たくなりましたよ?
そもそも第0話PROLOGUEにはガンダム然としたトリコロールの機体が出るでもなく、それっぽく見えるのがチラチラと出てくるくらい。
いっそ「GUND方式の機体フォーマット」に掛るセリフのゴリ押しが鼻について、残念な気持ちになちゃいました。
「これ言わないと怒られちゃうんですよ、スポンサーに」みたいな。
脚本は大河内一楼さんで、もうガンダムの呪縛からは逃れたものかと思っていたのに..もう許してあげて欲しい。
ご本人はそんなこと思っちゃないでしょうけどね。

なんで「機動戦士ガンダム」じゃなきゃダメなんだろう。
オルフェンズでも思ったけど、ちゃんとストーリーとしても成立してたし、むしろガンダムである必要って感じなかったけどな。
バンナムは外部パートナーとも協力して、10代の若年層ファン獲得を目標に世界展開する、なんて鼻息も荒いらしいですが。

もう世界は「新しいガンダム」に飽きてると思う。
『ククルス・ドアンの島』みたいな、ときどき懐かしみをくれるのがあれば帳尻合うんすよ。『閃光のハサウェイ』だって、そういうことでしょう。
だから実は『Gのレコンギスタ』とか、もう何がしたいのかわからないものでも富野由悠季ってネームバリューだけで褒めるハメになるっていうね。
認認介護ですよ、あんなの。
やってること『∀ガンダム』と変わってないですから。

好きですよ、ガンダムは。

でも、それってズルズルと引きずるもんじゃない。
仮面ライダーとかウルトラマンはいいの、いくらでも好きにすれば。
だってヒーローだから。
でもガンダムは、もう終わりでよくないですか?
バンナムだってスピンオフがあれば食うに困らんでしょう。

どうか『水星の魔女』ってタイトルが記憶に残りますように。
1つの作品として、純粋に。