かつては多くの日本企業が製造拠点を構えた地域でした。当社の生産設備においても、顧客企業の工場建設に伴って納品が進みました。その後は台湾の人件費は上がり、顧客企業の生産拠点は中国大陸や東南アジアに遷移していきました。現在では付加価値の高いローカル企業が多く存在するものの、生産拠点として運営することは難しい地域となっています。当社の大手顧客でも、2017年くらいまでは有名スマホの部品供給が盛んに行われていましたが、中国大陸での生産が軌道に乗った時点で稼働は非常に少なくなりました。今は、当時使っていた生産設備を中国大陸拠点に移設するようになっています。これも新規設備販売が停滞して、アフターサービスの取引のみ残っている一例となりました。

長年の生産継続

2008年頃、ある日本企業が台湾で特注の加工設備を購入していましたが、生産そのものをローカル企業に売却することになりました。その後10年以上、生産が継続されていて、新規設備購入はなくアフターサービス取引のみが残っています。生産においてコストや利益にセンシティブになりますので、サービス提供に厳しい要望が寄せられ、無料でのサポート範囲を探るようになります。台湾のサービス代理店もコストが苦しいため、サービス人員を豊富に雇うことはできず、モノもヒトも回らない状況です。

サポート終了

古い設備は、モーターなどの部品調達が不可能になるため、最終製造から10年を目安にサポート終了を案内しなくてはなりません。また長年を経ると、納品に携わった人員が異動や退職でいなくなっていますので、メンテや微調整のノウハウが残っていません。新型のモーターを採用して新規設備を製作することをオファーします。新規納品を行うことができれば、サービスも復興することができるようになります。しかし、すでに顧客はコストにセンシティブなので、生産を続けるために豊富なサポートを得たいが、新規設備を購入する予算はないというジレンマに陥ってしまいました。

サービスビジネス

難しい局面とはなりましたが、需要や依頼のある状況です。効果的なサポートを訴求できれば、予算をとっていただける可能性が期待できます。当社としては、サービスビジネスにおいて優秀な人材を充てて、費用対効果の伴う活動を構築したいと考えています。

  1. 優秀人材の登用、或いは時間捻出

  2. 過去の設備設計情報の掘り起こし

  3. サポートノウハウの習得

課題を列挙した時点で、顧客階層下部に適用するようなロータッチやテックタッチでは捌けないことがわかります。カスタマーサクセスを実現するには、サービスビジネスそのものを卓越する必要があります。

※台湾顧客が標準オプション機能を購入した際にクレームが挙がりました。その機能は工場ITで活用する目的の、ツール使用回数カウントに関するログ出力です。ワークチャックで失敗した時のエラー発生時、オペレーター行動に起因してログが正常に出力されないという問題でした。失敗したワークを所定の位置からやり直せば問題ないのですが、時間短縮のためにオペレーターがプログラムをスキップしたことが要因です。この顧客特有のトラブルなので、開発コストを請求して改良オファーすることにしました。当社は有償改良、顧客はバグとしてクレーム。資金難が現場改善を停滞させた事例となります。当社としては、安価な提案や、資金の別ルートでの回収に努める必要があります。

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