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【火縄銃】福井では初の射撃練習会に参加してきた

土曜日は私が所属している越前火縄銃保存会の練習会で勝山の県営クレー射撃場に行ってきた。
鮎街道を勝山方面に向かって走り、九頭竜川の河岸段丘をグネグネ走って谷を登った先にクレー射撃場があるのだけれど、この辺は獣害がすごいのか田畠は全て電気柵で囲ってあって、カカシに至ってはダミーだが皆猟銃を持っていたので驚いた。
最近はクマの出没がやたらに報じられるが、猪や鹿の害の方が農業に深刻なダメージを与えていることがよくわかる。
昔は鉄砲を所持するなんていうのはアブない人だというイメージがあったようだが、最近はそうも言ってられないようで、害獣が跳梁するような山村だと狩猟許可証と散弾銃を持っていたらヒーローになれるに違いない。

もっとも散弾銃は本来は鳥や小動物を撃つためのもので、大型の動物を撃つならライフル銃が必要なはずなのだが日本の規制では散弾銃を所持してから10年経たないとライフル銃の所持許可が出ないのでどもならん。
それでもスラグ弾を使えば鹿くらいには役に立つのだが、そもそも散弾銃は精度が出ないので近距離まで近づかなければ当たらない。
クマなんかが出てきたらお手上げだ。
猟友会の会員の高齢化も進み、ハーフライフルの規制強化も問題になっているが、害獣による被害の増加とは裏腹に、駆除する側の条件はどんどん悪くなっているのが現状なのはまことに残念なことだ。

早合に火薬を詰める

さて我々が撃つのは火縄銃、大正くらいに陸軍払い下げの村田銃が一般に普及するまでは狩猟でも使われていたというが、基本的には江戸時代の作なので、作られてから少なくとも200年は経っている骨董品だ。
明治の初期を最後に新銃の生産はなく、火縄銃をメンテナンスできる鉄砲鍛冶も昭和の初期まではいたそうだが今では部品の供給も期待できない。
そんなわけで、全て自分でメンテナンスをやり、多少の不具合は自分でなんとか解決しなければならない。
それで、火縄銃を撃つためには金工や木工の技術が大いに役立つ。
また演武では甲冑を佩用して臨むのだが、これもまた壊れモノなので修繕したり部分的に新造したりする必要が出てくる。
我々がやっている火縄銃演武という活動は、意外なようだがモノづくりのセンスがかなり活かせる場だといえる。

甲冑も壊れものなので自分で直す
福井県立クレー射撃場


いつもは愛知県古銃研究会の射撃練習会ではるばる豊田の山奥まで出向くのだが、今回は地元初の練習会、なんといっても近いのがありがたい。
参加者も相談役の先生以外はオール福井県民、これはなかなか新鮮だ。
射場で準備を始めていると、射撃場の職員さんがとても興味深く眺めている。
普段はスキートやトラップ競技用の上下2連散弾銃が置かれている銃架に火縄銃がずらりと並ぶ光景もさぞや珍しかったに違いない。

演武に使用する銃は皆骨董品

何せ福井の隊では初めての練習会なので、いろんな試みができる。
今回は射手だけでなく順番で隊長役を持ち回りでやるということをやったが、これが大変よかった。
号令の練習や手順の再確認になるだけでなく、指揮官の目線で演武を俯瞰できるというのがとてもためになる。
また人数は少ないが三段撃ちの練習を自分たちだけでやってみることで、今までなんとなくモヤモヤしていた疑問点がどんどん洗い出されてきた。
隊列を入れ替える時の挙動はどうするか、右回りと左回りのどちらにするか、後列で待機中の姿勢は正対して控え銃に統一するか、と言ったことがどんどん出てくる。
これは統制動作が必要だ、統一した教練動作も決めたほうがいい、といった形で意見がまとまる。
演武を見るお客さんは、細かい考証的なことは見てもわからないが、動作がバラけているのは見ればわかる。
そういう点をしっかりやって、見ていてキビキビ気持ちいい部隊にしたいというのが越前隊のモットーになりそうだ。

練習風景

2時間にしてはなかなか濃厚な練習会で、見ていたギャラリーの方には大変楽しんでいただけたようで何より、8/25の一乗谷の演武は是非見にいきますとのことで、ありがたいことだ。
今までは愛知県古銃研究会の一員として演武に参加してきたが、これから福井独自の鉄砲隊の活動が本格的に始まるのがとても楽しみだ。

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