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私論現代アイドル論4

※今回から論文調で書いていきます。雰囲気ものなのでご了承ください

予備考察

各アイドル像

 ハロプロと坂道グループ(AKBグループ)は指向するアイドル像が違うように思います。違いは歴史の遍歴の違いによって形成されています。ハロプロは、初期の黄金期〔2000年~2002年頃)は多くの人がイメージする一般的アイドルです。
 一般的アイドル像とは、大衆の人気、メディア露出、かわいい、未完成(下手)、接触が重要などでしょう。その後のアイドル像も基本的にはこの通りです。
 AKBグループはこれらに、身近さを足して(かわいさを抜いて〔クラスの5~6番目にかわいい子というコンセプト〕)大衆人気、メディア露出、未完成、接触が重要、みんな仲良し?、な感じのコンセプトでしょう。各支店ごとの違いは詳しくないのでわかりません(すいません)。
 そして坂道グループはかわいい・綺麗が加わって、大衆人気、メディア露出、未完成、みんな仲良し、接触というイメージになります。
 ここから現在のアイドル像はメジャーアイドル=乃木坂46のイメージでしょう。大衆人気、メディア露出、未完成、みんな仲良し、かわいい、綺麗、接触です。

モーニング娘のアイドル像の変遷

 
モーニング娘。は黄金期以降、指向するアイドルを変更せざるを得なかったと言えます。黄金期以降、メディア露出が減り大衆人気が落ち込みました。それまでのヲタクの生き残りと狭い村の中で活動するという感じになっていました。この期間をプラチナ期と言います。
 プラチナ期とは9枚目のアルバム『プラチナ 9 DISC』の名前からとったネーミングで2007年~2010年くらいを指します。この時期はメンバー変更がなく、パフォーマンスの完成度がどんどん上がっていき、かわいいよりもカッコいいが前面に出ていました。たまに大きな出来事として海外公演があるくらいでした。この時期のシングル『みかん』(2007年)が当時歴代最低売上の38,000枚です。

 当時はモーニング娘は解散するんじゃないかと思わていたくらいの低迷だったらしいです。
 しかし、この時期のプラチナ期モーニング娘のアイドル像が現代ハロプロに大きな影響を与えています。
 メンバーが固定され、メンバーができることはパフォーマンスするしかない中で、パフォーマンス能力が上がっていました。危機感の中でパフォーマンス力を伸ばしていきました。
 同時期にBerryz工房、℃-uteもキャリアを重ねていく中で、完成度が高まっていきました。(Berryz工房も℃-uteもメンバーの入れ替わりはなかったです。)
 このような中でモーニング娘のイメージがパフォーマンス力が高い、かわ いいよりカッコいい、となっていきました。

アイドル像の源泉

とくに、リーダー兼エースの高橋愛(敬称略)のイメージがそのままハロプロのイメージになっています。ハロメンのあこがれの的、理想のアイドル像になったといえます。2010年頃にハロプロに加入したメンバーは多くは高橋愛リスペクトでハロプロに入るので、ぜんざいのハロプロのベテラン勢(譜久村聖、竹内朱莉、宮本佳林、鈴木愛理の世代)近年卒業したメンバーの理想像になっています。
 次にアイドル像としての源泉は鈴木愛理です。2014~2017年は℃-ute・bouno!のメンバーで、このころのハロプロを代表するアイドルです。現在でも歌手として活動しています。ほかのアイドルにも憧れられるアイドルと知られていました。

2012年頃からハロプロのパフォーマンス力に言及されることが多くなってきてました。モーニング娘のカラフル期、℃-ute晩年、bouno!がパフォーマンス力が高いといわれるようになりました。
 ℃-uteの対外フェス(アイドル横丁・2012年)の参加、bouno!の指祭り(指原莉乃主催のアイドルフェス・2012年)で対外的に名を上げました。この2つが対外的にイメージを上げました(ほかにもモーニング娘のRock'n JAPANグラスステージ・2019年)。
 これら2人と2つの出来事が主に現在のハロプロのアイドル像を作り上げているでしょう。2人がハロプロ内の意識を決定づけていて、2つのイベントが対外的なイメージを作っています。

現在のハロプロのアイドル像

  以上の源泉から得られたイメージは、パフォーマンス重視、カッコいい、ライブ重視といったものです。
 これらのイメージの影響でオーディションを受ける娘も、パフォーマンス、ライブアイドルになりたい娘中心になっていきました。
 そんな娘が集まってきて、尚且つ上記のアイドル像を持っていると、ハロプロのアイドル像が、そんなアイドルに憧れる娘の加入を促し、加入したメンバーがさらにパフォーマンスを磨きアイドル像を力強いものにしています。

ハロプロのアイドル像の問題点

 しかし、好循環を生んでいるように見えるアイドル像にも問題点はあるように思えます。
 それは、対外的拡大があまり視野に入れられていないように見えるところです。分かりやすく言えば、大衆人気の獲得に力を入れられていないと感じるところです。
 事務所の方針なのかなと思うところもありますが、パフォーマンス中心ですと通常年二回のツアーがあって、リハーサルがあって、対外的な活動が制限されるに思えます。現在では揶揄として、テレビ番組『ハロドリ』のおかげでハロプロ研修生が一番世間への露出があるといわれるくらいです。
 外への露出が少ないです。以前、石田亜佑美が、「自己プロデュースより、マネージャーが私たちをどう売りたいのか知りたい」といった旨の発言をしていました。対外的にはそんなことを言っていられる余裕ない気がします。自己プロデュースで発信していくのは現代では表に出る人なら必須だと思います。ハロプロの価値観でトップに立っている事実、パフォーマンスでアイドルでトップである自覚ゆえの余裕なんでしょうか。その自覚は間違っていないですが、一般人気となるとまた別です。
 ハロプロの世間的立ち位置はあまり高いとは言えません。大きなステージに立ちたいと思うなら、一般人気が必要です。なので、一般人気を獲得すべく全員で向かっていかなければならないでしょう。パフォーマンスを磨けばすべて解決するというような考えに見えてしまいます。アイドル像がこの考えを助長しているように思えます。これが、問題点だと思います。

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