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2度目の緊急事態宣言について感じるたくさんの違和感

2021年1月、菅総理は2度目の緊急事態宣言の発出を決めた。これまで、菅総理の政策には比較的好意的に見てきたが、これには数々の違和感を感じた。このモヤモヤをまとめてみたいと思う。

「総括」なきまま進む日本の悪しき風習

最も強く感じるのは、1回目の緊急事態宣言の総括が全くなされていないということに対する不安というか、不満である。

1度目の緊急事態宣言のときには、いわゆる「8割おじさん」の西浦教授による接触8割減という具体的な設定目標があった。あれは国民にも分かりやすかったし、明らかに効果があったと思う。ウイルスというのは人を介して広がっていくものだから、人と人との接触がなければウイルスは行き場を失って消滅していくというのは自明の理だ。

実際に、1度目の緊急事態宣言のときは、日本人は真面目にステイホームを守り、見事にウイルスをほぼ完封した。

しかし、この「8割おじさん」には数々の異論が出たこともまた事実だ。「何も対策を打たなくても自然収束に向かった」という専門家もいたし、「西浦教授は40万人の死者が出ると国民を脅して日本経済を破滅させた」というコメンテーターもいた。

「40万人死亡」というのは、欧米のデータに基づいて何も対策をしなかった場合の最悪の試算であるため、それのみを切り取ってて批評するのはナンセンスだ。

一方で、日本経済が深刻なダメージを追ったのも事実であり、経済と感染防御の両立を目指すうえで、接触8割減が本当に必要だったのかの総括を、今までの期間に行っておくべきだったと思う。

マスク・手洗い・うがいを徹底して、密ではない環境で短時間の接触にとどめるならば、患者と接触したとしても感染は広がらないことは明らかである。そうでなければ、コロナ患者を受け入れている全ての病院でクラスターが発生してしまうだろう。医療者レベルの感染防御を全ての国民が行えば、恐らく接触8割減に匹敵する効果がある。そういった総括をしておくべきだった。

第二次世界大戦において、日本はどうして破滅的な戦争に向かったのか?その総括なきまま前へ進んでいる日本に一抹の不安を感じている。同じ過ちを繰り返さないために、客観的な総活・戦略的な考察が必要だと思う。1度目の緊急事態宣言は一体何だったのか?その総括なきまま前へ進む日本は、またガダルカナル島の戦いやインパール作戦のような悲惨な戦いを繰り返すことになるかも知れない。

「現状評価」もない

多くの日本人は真面目にマスクをつけ、以前よりも大人数での会食を制限している。欧米でのようにマスク反対のデモも起こらなければ、コロナ・パーティというような大騒ぎもあまり起こらない。

日本での感染が欧米諸国に比べて断然低いのは、ファクターXと呼ばれる要因もあるかも知れないけれど、確実に国民一人一人の努力の賜物でもある。春先に麻生さんがどこかの国の大臣に冗談交じりに「うちの国民は民度が違う」と言ってまたマスコミに叩かれていたが、「民度」という言い方がいいかどうかはともかく、まあ麻生さんの言いたいこともよく分かる。

つまり、日本人は良くやっている。

それでもなお、感染が拡大を続けているのは、冬場を迎えウイルスの猛威が日本人の努力を上回るからだ。日本人がマスクなど絶対にしたくないというような国民性だと、コロナは今よりも遥かに蔓延しているだろう。

日本政府はまずこの事実を認め、国民をねぎらうべきである。

これが現状評価だ。

日本国民の努力をもって、実効再生産数は1.1程度に抑えられているのだ。

しかし、誠に残念ながら、現状の努力の継続ではウイルス感染は拡大を続けてしまう。だからこそ、もっと強力な感染防御策が必要になる。このロジックを、日本政府は理解しているのだろうか。緊急事態宣言を再発出するということは変わらないにせよ、この認識があるか否かで大きく異なると感じるのは私だけだろうか。

正しい現状分析に基づかない作戦は戦略的とは言えない。これも日本の弱いところのように思える。


外国からの入国を止めずに国民に辛抱を強いる

 菅総理には、期待しているところもある。官房長官時代に官僚に睨みをきかせたガバナンス能力は稀有のものだと思うし、デジタル化社会・脱炭素社会・携帯電話料金の値下げの提案は菅さんならではの視点で是非とも推進していってもらいたいと思っている。

 菅総理ははっきり言って「経済重視」の人だ。コロナよりも経済活動を重視する。その傾向が分かっていたから、2020年11月以降のコロナ第3波での対策がしょぼく、支持率の低下に歯止めがかからなくても、個人的には理解を示していた。経済を動かすために多少のコロナの犠牲者はやむを得ないと腹を括っているのではないかとすら思っていた。

 それが結局、知事や専門者会議・医師会の圧力に押されて緊急事態宣言を発出することになるのだが、その変節自体は別にかまわない。戦況に応じて作戦を変えるのは指揮官として当然のことだから。

 けれども、これはいただけない。

 中韓を含む諸外国からの入国はこれまで通り続ける・・・だと!?

 国民に我慢を強いながら、水際対策を行わない・・・!!?これって、病床が圧迫しているというのに、外国人も日本の医療で診ないといけないということなのか???怒

 菅総理が経済優先なのは理解しているが、そうであるとしてもこの判断はあまりにもおかしい。これを菅総理自身が判断しているというなら、一国の宰相としての判断能力に疑問符がつくし、中韓や支援団体に配慮する二階幹事長の影響力なのだとしたら、官僚を黙らせてきた菅総理が二階さんの圧力に屈するのかということも色々な意味で残念だ。

 そもそも、中国では英国発のものとは全く別の変異種が確認され、緊迫感が漂っている。

 これでは、春節時の中国からの入国制限をためらって日本国内にウイルスが蔓延してしまった2月の再現ではないか。ここでも過去から教訓を学ばない日本の危うさが現れている。

 目先の利益のためにビジネストラックを維持するよりも、水際対策をしっかりして早期に感染症蔓延を収束させた方が、トータルでの経済的損失は少ないと思うのだが。

 安倍総理も外交面では稀有の政治家だったと思うが、国家の危機管理そのものである感染症対策はショボショボだった。その安倍総理の元で官房長官として剛腕をふるった菅総理も同じ轍を踏むのか・・・。というより、安倍政権と菅政権はおぼ同じメンバーがコロナ対策を行っていることから、当然といえば当然か・・・

 もはや外国製のワクチンの効果に期待するしかないのが情けない。

テレワークやオンライン教育はどうなった?

 初回の緊急事態宣言のとき、これからはテレワークだ!とか、日本のオンライン教育は遅れているから環境を整えよう!とか言われていたのだけれども、のど元過ぎれば熱さ忘れるのが日本人の長所なのか短所なのか、2回目の緊急事態宣言でも大してテレワークやオンライン教育が進んでいないことが明らかになった。

 一度目の経験は一体なんだったの?

 デジタル庁や脱ハンコなどを進める菅政権なのだから、まさにこのピンチを奇貨として、一気にIT化を進めてほしい。

 給付金を配るのも時間がかかり過ぎ。今回の緊急事態宣言中には、給付金配布のデジタル化を完遂するとかの気迫を見せれば、国民の不満も多少は和らぐだろう。(9月入学などは全く本質ではない)


「おひとり様」ビジネスの好機では!?

 今回の緊急事態宣言では飲食店がやり玉に挙げられているが、はっきり言って一蘭に一人でラーメンを食べに行ってコロナに感染して帰ってくるとはとても考え難い

 完全に透明のパーティションで区切られた座席ならば、4人程度で会食しても感染のリスクはかなり低いだろう。

 つまり、感染リスクは飲食店によってさまざまであり、一律に規制するのは如何なものかと思う。

 これは、営業側にも言えることだが、コロナ禍は一蘭式の「おひとり様」ビジネスの絶好の好機でもある。一蘭式の飲食店の開業・改装のための補助金をバンバン配るなどして、完全にパーティション化したお店を増やしておくべきだった。ラーメンだけでなく、一人焼き肉、一人鍋など、コロナ禍以前から「おひとり様ニーズ」は一定数あったわけだから、これを新たなビジネス分野として拡大しておくべきだった。

 Zoomが使える1人居酒屋なども試みとしては面白いのではないかと思う(Zoomは個人持ち込みで、お店は一蘭式の完全パーティション化された空間で食事を提供する)。

 宅配が一つのビジネスになったのは良い変化だったと思うが、「おひとり様ビジネス」もコロナ禍では有望なビジネスではなかろうか。

 これも喉元過ぎれば熱さ忘れる、で第一波の教訓があまり生かされておらずとても残念に思うことである。

  政府主導の経済対策もバンバンやって欲しい(それに関しては恐らく菅総理の特異分野ではと思っているが・・・)。





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