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外交戦の教科書とすべき事象がリアルタイムで起きている

日本が大東亜戦争(第二次世界大戦)の総括のないままに前に進んでいることは、常々ながら問題だと考えている。なぜ破滅的な戦争に向かっていったのかということを、善悪論・感情論ではなく、客観的な戦略論で論じた総括がなければ、もしも今後同じような状況に陥った場合に同じような過ちを繰り返してしまうかも知れない。

しかし、戦前の日本の状況にやや類似している(と私は考えている)状況が、リアルタイムで起こっている。この戦略的分析は、日本人にとって極めて重要なことではないだろうか。

「中国国有石油大手に禁輸」

この記事を見て連想したのが、戦前の日本に対する欧米の石油輸出禁止措置、いわゆる「ABCD包囲網」である。

バイデン大統領になっても止まらぬ米中覇権戦争

現在、世界では様々な局面で米中覇権戦争が進んでいる。

平和を愛する日本人に「覇権」と言っても何のこっちゃということになるだろうが、「覇権」とは「オレ流ルールでやれ!」ということである。

現在、世界の秩序の多くはアメリカルールで回っている。国際的な取引に使われるのはドル決済だし、いわゆる国際標準語は英語である。こういったルール作りの権利を、中国はアメリカから奪おうとしている(とアメリカはみている)。

その危機感はアメリカのエスタブリッシュメントにこそ強く、親中バイデンになっても大きな流れは変わらないだろうと思う。

そんな中のこの記事である。中国国有の石油会社に米国製品の輸出を禁止するということだ。戦前のABCD包囲網ほどの強い措置ではないが、こういった中国に対する圧力は少しずつ強まっている。

この米中のつばぜり合いをこそ、日本人は学ぶべきである。まさに、リアルタイム教科書だ。

日本の政治家・外務省・財界関係者はアメリカ・中国は互いにどう立ち回るのかを学べ!

最近の中国は、「米中の争いはお互いの為にならない」と友好を望む姿勢をアメリカに対して示しながら、一方でアメリカの中国に対する厳しい措置には「断固抵抗する」として、一説では戦争準備も始めているという。

これって戦前の日本の状況にちょっと類似していないだろうか。

戦前の日本も、戦争に向かって一直線であったわけではなく、戦争回避のための外交努力も行われていた。強気で戦争も辞さない軍部(とイケイケのマスコミ)と、戦争を回避しようという天皇や一部政治家たちの危ういバランスが、まさに東條内閣の誕生につながったともいえる。軍部を抑えることができるのは東條英樹しかないと思われていた。

しかし、(内心では)戦争を望んでいたルーズベルト大統領の対日強硬策・日本の申し出は一切受けないという姿勢により、次第に日本は戦争へと追い込まれていった。

翻って現在。中国は少なくともアメリカとの争いは望まないというメッセージをさかんに発しつつも、アメリカのアクションには強気に反発せざるをえないというジレンマに陥っている。

そして今回の石油会社に対する禁輸措置。石油そのものを止めるわけではないけれど、なんとなく当時の状況に類似しつつあるように思える。

たぶん、中国は当時の日本ほどナイーブではなく、したたかだ。中国の動き方も、平和ボケした日本人には大いに学ぶところが多いだろう

日本は米中の間を取り持とう!双方といい関係を続けよう!というような寝ぼけたことをいう財界人もけっこういるけれど、米中のガチンコ具合を見誤るべきではない。また、今後の日本を強くしていくためにも、「今世界で起きていること」を冷静に分析することは重要ではなかろうか。

まあ、素人の政治経済ウォッチャーなんで知らんけどw

(画像は写真ACから引用しています)


<後日追記>

たまたま後日出た人類学者エマニュエル・トッドさんのインタビュー記事の中で、同じような着眼点があったためリンクしておきます。ソ連崩壊やイギリスのEU離脱を予測したという人類学者です。

興味深い・・・



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