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世界の工業4(医薬品業界)

医薬品業界を調べてみようと思い立ちました。理由は、医薬品業界は製造業なので第二次産業に該当しますが、医薬品製造には多くの情報が必要であるため第三次産業的な要素もあると思ったからです。

製薬会社別の売上推移

データはこちらのWikipediaからもらいました。各社のHPからデータを持ってきているようなので、信頼性はあると踏みました。

ここ数年低迷していたファイザーが、2021年以降急上昇し、2022年についに1位に返り咲きました。2020年まではほぼランク外だったBioNTechという会社も急上昇です。これはもちろん2社が開発したコロナワクチンであるコミナティの売上によるものです。コミナティだけで2022年は約560億ドルの売上がありました。日本円(130円換算)にすると約7兆3000億円です。年間売り上げが1000億円を超えるとブロックバスターと言われる世界で、7兆円というのは桁違いです。東京都の年間予算とほぼ同じ、日本の防衛費よりも多い額です。まさにコロナ特需ですね。

国民一人当たりの医療費

国民一人当たりの医療費を見れば製薬業界のマーケットの大きさがわかります。データはこちらを使いました。
アメリカが一番大きな市場であることは疑いがないですね。人口規模を考えると日本の市場規模も世界2,3位です。

このビックマーケットのお膝下にある日本の製薬会社は儲かっているのでしょうか?

製薬会社ごとの売り上げ

製薬会社が所属する国ごとの売上です。
アメリカ、ドイツ、スイス、中国、イギリス、フランス、スウェーデンと続いています。
あれっ、日本はずいぶんと下ですね。医薬品産業では日本は完全なる貿易赤字のようです。

日本は科学技術は進んでいますが、それを実用化することができておらず、さらに世界に打って出るようなGlobal企業がないということです。

2022年に最も売れた医薬品

では、世界で最も売れている薬はなんでしょうか。データはこちらからいただきました。

コロナワクチンのコミナティは圧倒的です。2位以降は、リウマチ治療薬のヒューミラ、抗がん剤のキイトルーダです。このキイトルーダは免疫チェックポイント阻害剤で、この理論は京都大の本庶佑さんが発見し、ノーベル医学生理学賞を受賞しています。小野薬品のオプジーボは日本では一番売れていますが、世界的にはキイトルーダに負けています。

売上Top50の薬剤はどのような会社で開発されているのでしょうか
会社ごとの薬剤数を集計してみました。

共同開発している医薬品もあるため、会社ごとに集計できていない部分もありますが、世界で売れているTop50の薬剤は完全に欧米の製薬会社が開発したものです。日本には製薬会社の数が内資系で290社ありますが1社も入っていません。IT産業と同じで知識産業である医薬品での日本の出遅れが深刻です。

まとめ

医薬品は農産物と同じで国民の命に直結します。これはCOVID-19ワクチンでみなさんも実感したと思います。自国民を守るための薬が自国で賄えないというのは恐ろしいことです。コロナワクチン開発では、アメリカが公的資金を注入、規制を取っ払い一気に開発をして世界市場を席巻しました。日本はワクチン製造技術は高いのに、その間、企業も政府も指を加えて待っていました。あらゆる分野で日本の優位性がなくなってきています。生き残るものは強いものではなく、変化に対応できるものなのです。

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