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5. 喪失要件(普通帰化の7つの要件)

この要件は、日本に帰化したら、母国の国籍を失うことができる、もしくは離脱することができるという要件です。日本は二重国籍を認めていません。

国によって異なる手続き

国籍離脱の手続きは国によって異なるため注意が必要です。

韓国籍の方

韓国の国籍法では、期間内に国籍を選択しない者に対して、法務部長官が国籍選択命令を発します。これに従わない場合には、韓国国籍が喪失します。また1986年以降に帰化した方の場合は、韓国政府が日本政府から連絡を受けて一括で国籍喪失処理をしています。
そのため、韓国籍の方は、他国の国籍を取得したら自動的に韓国籍を喪失するので国籍喪失届は出さなくてもよい、と思っている方もいるようです。
現時点では国籍喪失届を出さなくても罰則などはありませんが、国籍法が今後どのように改正されるかわかりません。
また、必ずしも自動的に処理されると保障されているわけではありませんので、もし韓国籍が残ったまま将来、相続が発生したときは、韓国の相続法が適用されることがあり、やっかいなことになります。
いろいろなトラブルを回避するためにも、帰化が承認されたら韓国領事館に国籍喪失届を速やかに提出しましょう。

中国籍の方

中国籍の方はタイミングに気をつけて

中国籍の方は、帰化申請前に中国籍離脱の宣言を中国政府に行い、証明書(退出中華人民共和国国籍証書(領事証明))を取らなければなりません。これは、「他国の国籍を取得した時に中国籍を離脱する」という証明書です。この証明書の申請をすると、かつては中国のパスポートが無効になってしまいました。今は領事証明をとっても中国のパスポートは有効に使うことができますが、運用変更は今後もありうるため、タイミングには気をつかいましょう。領事証明申請には書類がたくさん必要で費用もかかるため、帰化がほぼ確実となり法務局から指示があってから申請するのがよいです。
なお、この領事証明は3回までという回数制限があるといううわさもありますが、真偽のほどはわかりません。おそらく回数制限はないものと思いますが、念のため取得時に領事館で確認をしておいた方がよいです。

韓国籍の方と兵役について

まず日本への帰化要件として、母国の兵役を終えているかどうかは審査ポイントにはなりません。
韓国では、成人男性(18歳~35歳)は兵役の義務が課せられます。
しかし、そもそも18歳以上の男性の特別永住者は以下の免除条件に該当するので兵役が課せられることはありません。

  1. 韓国以外の外国で出生、もしくは韓国国内で生まれたが、6歳以前に韓国から外国へ出国

  2. 17歳まで本人と父母が引き続き韓国以外の国に住んでいる

  3. 韓国以外の国から国籍・永住権を取得している

韓国での兵役義務がある方は兵役を終えていれば、なんの問題もなく、韓国籍の離脱ができます。まだ兵役義務を終えていない方の日本への帰化申請の是非については、ご本人の考え方によるのだと思います。兵役制度が良いか悪いかは別として、国として定めている国民の義務に対して、ご本人がどう考えるのかによってきます。

将来のことやアイデンティティなどについて一度じっくりと考えてみましょう

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