医療法務ノート(弁護士 渡邊健司)
●所属事務所 弁護士法人愛知総合法律事務所 名古屋丸の内本部事務所 https://www.aichisogo.or.jp/ e-mail:k-watanabe@aichisogo.or.jp ●経歴
医師は労働者?① の続きです。労働者性に関係する個別の問題について,判例なども紹介しながら説明していきたいと思います。一般的な勤務医,研修医,大学院生(無給医),雇われ院長,を取り上げます。 1 勤務医 前回の記事で述べたとおりですが,勤務医についてはよほど特殊な事情がない限り労働者に該当します。勤務医に関する労働事件は数多いのですが,ほとんどの事件で労働者性は争点となっていません(当然に労働者という前提で審理がされています。)。 東京地判平成25・2・15は,母親であ
「新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた医師の働き方改革が大学病院勤務医師の働き方に与える影響の検証とその対策に資する研究」の結果(速報版)が公表されています。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17636.html
医師の世界では,医師は労働者ではないといった考えが根強く残っているようです。医師の先生方からも「労働者と言われるのは違和感がある」といったお話しをいただくことがあります。他方,ご承知のとおり,医師の働き方改革においては勤務医に労働基準法が適用されることを前提に議論がされています。今回,医師は「労働者」かについて法律的な観点から考えてみたいと思います。 1 「労働者」とは? 医師が,「労働者」と言われることに違和感をもつのは,「労働者」について,どこか指示されたとおりに機械
患者説明・インフォームドコンセント(IC)についてよく相談されることをまとめました。主に医師の先生や医療安全管理者向けです。 Q:説明は誰にすればいいのか? 治療の対象となる患者さんに説明する必要があることは当然です。ひと昔前は,悪性腫瘍の場合に患者さん本人に告知をするか,という問題がありましたが,今では行える治療方法が増えたこともあり「本人に告知せず家族にのみ告知する」といった対応はほとんど行われていないようです。 最高裁平成14年9月24日判決では平成2年の診療につい
愛知県名古屋市で弁護士をしている渡邊健司です。 平成19年に弁護士登録して以来様々な事件を扱ってきましたが,平成24年から2年間大学病院に出向し,病院内弁護士として勤務していました。出向中は医療の現場で起こる様々な法律問題(医療事故はもちろん,労務管理や医師法・医療法に関する問題)を経験し,大変勉強になりました。出向から事務所に復帰した後も,医療機関の顧問先の業務を中心的に取り扱っています。顧問先は学校法人(大学病院),自治体病院,医療法人,無床診療所など様々です。