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AI事業者ガイドラインパブコメ文例(2024年2月19日)

このnote記事にアップした意見Aから意見Iを、パブコメ文例として、提出最終日の9:30ごろ公開しました。同日の23時に936リポスト、1,191いいね、22.1万件表示となりました。
同一文面で複数の意見提出があるかもしれないが、同一人物による複数回投稿ではなく、上記ポストの文面にふれた複数の人から提出された意見の可能性が高い点、ご報告申し上げます。

文例を拡散してくれた方や、自分なりに参照してくれたみなさまに感謝します。ありがとうございます。

★★★意見A 創作者の尊厳
第2部 A基本理念 1 人間の尊厳が尊重される社会
人間の尊厳が尊重される社会(p.11)
意見 創作者は人間なので、本ガイドラインでも尊厳を尊重してください。例えば、創作者、データ提供者や著作権者を関係者(ステークホルダー)として入れてください。
そして、D-2)i. 適切なデータの学習」(p.27)の記載にて、学習データとなった著作物を創作した著作権者の尊厳への配慮がわかるガイドラインへ修正してください。
理由 創作者は人間です。生成Aiの能力の多くは人間の創作に依拠していますのでその尊厳を尊重すべきです。

★★★意見B 偽情報と著作権侵害
本編 第2部 B原則 C. 共通の指針 1) 人間中心 3 偽情報等への対策(p.14)
意見 生成AIが出力する偽情報の拡散を、差止請求権や刑事罰もある著作権侵害として抑止してください。偽情報のため、学習データとなったイラストや写真は、その全体ではなく一部が再生されているでしょう。しかし、その一部の表現が、偽画像の信憑性を高めてしまうのです。
学習データの一部が表現の本質的特徴であるため著作権侵害となる偽画像の事例を、警察や税関の人たちにとっても判りやすく整理することで、偽画像の拡散を抑止できます。
理由 ガイドラインは偽画像の拡散を禁止する実効性がないので、著作権を使うべきです。著作権侵害とならない偽画像については、どのように拡散の抑止を実効的にするのか、別途検討してください。

★意見C 著作権侵害の損害額の認知度向上によりシステミックリスクを低減する
本編 第2部 B原則 C. 共通の指針 1) 人間中心 3 偽情報等への対策(p.14)
意見 著作権侵害をすると、損害額がいくらぐらいになるのか、著作権法114条の規定に従って、計算例を周知し、著作権侵害にもなる偽画像の拡散を抑止すべきです。
理由 著作権者が紙のイラスト集を販売していて、侵害者がその表現の本質的特徴を含む偽画像をネットで拡散した場合など、侵害品と、侵害がなければ権利者が販売できた物が異なる場合の損害額の考え方や、令和5年に改正されたばかりのいわゆる侵害プレミアム(114条5項)の考え方が、あまり知られていないようです(弁理士鈴木健治さんによる情報)。

★★意見D 高度なAIシステムの優先利用対象
D. 高度な AI システムに関係する事業者に共通の指針 IX) 世界の最大の課題の優先(p.24)
意見 「世界の最大の課題、特に気候危機、世界保健、教育等(ただしこれらに限定されない)に対処するため、高度な AI システムの開発を優先する」という考え方に賛成します。
 生成AIはエネルギー使用量も大きく、環境の負荷があります(別添p.15)。
 イラストや写真のような出力に使うのではなく、世界の最大の課題解決で実績を出して欲しいです。
理由 偽画像には、ポルノや、クリエーター(権利者)の既存の作品そっくりのイラストや、存在しない生物の画像や、災害や戦争の報道写真であるかのように見せかける画像などがあります。このようなことに電力を使うのではなく、世界に役立つことをして欲しいです。

★★★意見E 知的財産の保護
D. 高度な AI システムに関係する事業者に共通の指針 XI) 適切なデータインプット対策を実施し、個人データ及び知的財産を保護する(p.24)
意見 知的財産の保護について、実効性のあるガイドラインを定めてください。
理由 日本では「機械学習パラダイス」といわれているからか、著作権侵害で普通は公開しないようなキャラクター画像や、クリエーター(権利者)の既存の作品そっくりのイラストが公開・販売されてしまっています。侵害品が市場にでまわり、保護と利用のバランスが崩れ、競争環境が公正ではなくなってきています。著作権法を誰がどのように守るべきかについて、広島AIプロセスの成果にも整合的なガイドラインをお願いします。

★★意見F AI提供者の損害賠償責任
第4部 AI 提供者に関する事項(p.32)
意見 キャラクター名など著作物を指定する用語をいれていないのに、生成AIモデルが著作権で保護された内容を出力する場合、AI提供者に著作権侵害の損害賠償責任があると考えられます。損害賠償額が巨額になる可能性があるため、AI提供者の登録制度及び資本金規制の導入が考えられます。
理由 著作権の侵害し得となるような黙認をせず、法律から予想できる未来を想定し、必要な対策を早めに行って欲しいです。
 
★★意見G AI利用者の損害賠償責任
第5部 AI 利用者に関する事項(p.35)
意見 特定の著作権者の作品と共通性のある出力をしたい、という意図のあるプロンプトで、著作権で保護された内容を出力する場合、AI利用者に著作権侵害の損害賠償責任があると考えられます。公開後、販売された数や、ダウンロードされた数、インプレッション数に応じた広告収入がある場合にはそれらの数に応じて損害賠償額が増えていきますので、(透明性要件として)記録しておくガイドラインとしてください。
理由 AI利用者の損害賠償責任がどのように生じ、著作権侵害の損害額がどのように計算されるかのガイドラインは、生成AI利用による偽画像や著作権侵害画像の安易な生成・拡散を実効性高く抑止することができます。

★★★意見H AI利用者の責任
第5部 AI 利用者に関する事項(p.35)
意見 生成AIを利用して生成AIの出力を公開する人の登録制度を作って欲しいです。いま、匿名であることをいいことに、特定のイラストレーターの作品の追加学習をしてその生成AIモデルを公開し、特定のイラストレーターに対して次々と嫌がらせをするアカウントがあります。また、未成年者と思われるアカウントからアダルト向けの生成AI画像が発せられていることもあります。一定以上の倫理観を求め、年齢制限もするために、例えばドローン等と同様な登録制度をつくるべきです。
権利者側としても、発信者情報開示をまずするのは、あまりに負担が大きいため、例えば違法駐車の被害者が違法駐車中のナンバープレートから所有者情報を得られるなどと同様のAI利用者の登録制度があると良いです。登録されていないと生成AI出力を公開したり販売したりできないことが、ディープフェイク拡散の抑止力になります。

★★★意見I 透明性報告書
「透明性報告書」本編p.30, 別添p.92, p.106等
意見 透明性報告書について、どのような章立てで何を記載するのか、法律、政省令で定めて欲しいです。特に、学習データの一覧やアクセス先および時期について、透明性報告書として、四半期や年度で開示する義務付けが必要です。
理由 別添 3.AI 開発者向け 6) 透明性に関する留意事項(p.101)は、透明性報告書との関係がわからず、一方、 広島プロセス国際行動規範の別添p.92, D-7) ii. 開発関連情報の文書化では透明性報告書への言及があります。「透明性報告書」は、AIシステムの今後の進化や、社会への浸透(ソーシャル・ライセンス・トゥ・オペレート)としても極めて重要です。


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