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葛布の帯の経糸の絹糸の経緯とものづくり

※この記事は、「葛布の帯onlineグループ」で、葛苧づくり・葛布づくりを学ぶ方達に向けて過去に配信したものを加筆修正して掲載しています。


経糸はどのようなものを使えば良いか?
葛布を織ろうと思ったらまず初めに誰もが当たる壁だと思います。
私も初めは全く分かりませんでした。
静岡の3つの織元を訪ね、葛以外の織物も参考にしました。北海道の織物はホームスパンかファイバーアートが主流なので、身近に細い糸を探すのは大変でした。

15〜20年前ですから、今ほどホームページもECサイトもありませんでしたが、織り用の糸などは早くからネット販売をしてくれている所が多かったので、とても有り難かったです。

絹以外の糸も含め、いろいろな糸をいろいろな密度や通し方で試しました。そのようにして、諸条件の中で、自分が使いたい糸の方向性が分かってきましたが、求める糸にはなかなか出会えず数年が経過しました。

蚕絲館さんのことを知ったのはそんな時でした。こちらの希望を伝えて糸を作っていただけること、そして少量でも対応してくださることに感動しました。今、私の織る葛布の帯は、蚕絲館さんの糸があってこそのものとなっています。

自然環境に左右されながら素材を取る、そしてどんな状態になれば良いか、比較的「正解」のある葛苧づくりとは違って、糸と織りの段階になると、ひとりひとりの思考の具現、デザインであり、創作であり、「自分が考える『葛布』とは?」が問われる領域です。

長い歴史の上にある葛布の文脈を理解し、現代の暮らしにおいてどう活かすのか、それを使ってどのような暮らしを提案したいのか?葛布に対する見識と深い思考が必要、私もまだまだ途上。ものづくりは哲学だとつくづく思います。



カバー写真は今朝(2022.9.10)手稲山中腹より 
日の出前の太陽による地球の影
色合い、グラデーション


2024.4.5 一部修正

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