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自分の人生の終わりを見つめ直し 今できる事、しなくて良い事を問い直す

20代後半、草の布に惹かれて、あちこち動いていた時くらいだったか
札幌で見た平良敏子さんの芭蕉布に感動して、その前から動けなくなってしまったことがある。

その会場を後にし、衝撃のあまり次の行動に移ることができず、どこをどう歩いたか分からないまま街中をウロウロした
私もいつかこんなふうに、人の心を動かす布が織りたい、織れるか? 程遠くて途方に暮れた

ただ、「その布」が何なのか、その時の私は知らなかった。「このすごい布はなんだろう、草の繊維っぽいけど何の繊維だろう?」と思っていたくらいで
それが芭蕉布で、平良敏子さんの織られたもので、なんとご本人も会場にいらした事を、ずっと後になってから織り仲間の知人に聞いて知った。

何の知識も先入観もなしに、ただただ目の前の布に感動したことは、色々な意味ですごい
その布の力、自分の感性。
その時の衝撃は、いつも私の心にある。

訃報に接し、私も、いつかは分からない、ただ確実に折り返した自分の人生の終わりを見つめ直し、それまでにすべき事、しなくて良い事、改めて問い直さなければならないと思った。

心からご冥福をお祈りいたします。

【雪草乃記 vol.17】2022.9.17

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