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聴いた曲を紹介する日記(2023年11月19日)第253回:道標/林明日香

道標/林明日香

林明日香さんには申し訳ないけど、今回この曲「道標」に触れるのは、この曲が本題ではなく。

時系列ははっきりとはわからないけど、2003年に発表された「道標」を作曲した「市川淳」さんが、まだ作曲家としてメジャーになる以前に組んでいた「PaleTone」というインディーズバンドがありまして。

「PaleTone」は、当時黎明期だったMP3(音声ファイル圧縮技術、まだネット回線も細く、それまでは聴ける音質のサウンドファイルだとサイズが大きく、ダウンロードするのにも時間がかかっていたけど、MP3の登場でダウンロードしようと思える現実的なサイズになり、アーティストや趣味で音楽をやる人が曲をネットで気軽に公開できるようになった……という明るい部分と、結果としてCDの音源をMP3に変換して、ファイル交換ソフトと組み合わせることで違法ダウンロードさせる/するという行為が加速、蔓延することになった……という暗部がある)でオリジナルの楽曲をいち早くネットで公開していて、常に「ネットの新しいもの」に注目していた自分のような人間に見つかって局地的にブームになっていたと思う(インディーズ系のレーベルからCDも出していたのを買ったし、インディーズ系とはいえ楽曲タイアップ企画もしていたと記憶しているけど、いつの間にか見なくなってしまった)。
で、このバンドが当時公開していた「はるかなる大地の彼方へ」という曲は、「道標」とメロディが全く同じなのです。
どちらも「市川淳」さんが作曲したものなので、その点では勿論全く問題がないわけだけど、それでも、インディーズとはいえ一度発表した曲のメロディだけをそのまま活かして、タイトルも中身も別物として出す、というのは、個人的にはやっぱり不思議ではあるのです。

想像でしかないですが、「はるかなる大地の彼方へ」と「道標」は、世界観というか物語というか、楽曲の方向性が違うので、仮に林明日香さんの曲として改めて作り直すとして、声質のキャラクターとして「かよわさと芯の強さの絶妙なバランス感」があった「はるかなる大地の彼方へ」の歌詞は林明日香さんの力強い声質、キャラクターとは合わなかったんだろうなあ……と。
とはいえ、結果としてこの「はるかなる大地の彼方へ」のメロディは、「道標」のメロディとして少なくともメジャーでは上書きされることになったわけで、「はるかなる大地の彼方へ」がとにかく好きだった自分としては複雑な気分。
「はるかなる大地の彼方へ」は、まだネットのどこかで聴けるのでぜひそちらの歌詞を聴いてほしいなあと思うわけです。
本当はあまり良くないのだけど、歌詞も全部書き起こすので、ぜひ「道標」のメロディで歌ってみてほしい(音色は違うけど、進行の編曲は全く同じなので、そのまま歌える) 

作り笑顔と世辞に長け
浮世を渡りゆく力
信じるものに裏切られ
それでも信じ抜く力
明日は見えない
はるかなる大地の彼方へ
行く人よ翼もない身体で
蔑んだ嗤い声だけ受けて
歩き続けてゆくの
荒れ果てた世界の彼方で
悲しみを背負うだけだとしても
知ってしまうその絶望の中で
再び立ち上がれるの?
誰かのためと思い込み
力果てるその時まで
空回りのペダル踏んで
己を許せる時まで
哀しい道化師
はるかなる大地の彼方へ
行く人よ疲れ切った身体で
抱きしめてくれる人もないまま
孤独の海を超える
荒れ果てた世界の彼方で
優しさを失くすだけだとしても
一欠片だけの希望の種を
握りしめ歩き出すの
倒れてもがいて
辿り着ける時を信じて
立ち止まることもすぐできる
引き返す道もあるはずなのに
ただ少し見ないふりをするだけ
みんなそうしてるのに
はるかなる大地の彼方へ
行く人よ誇り高き貴方は
唇噛み締め振り返らない
荒れた道選んで行く

PaleTone「はるかなる大地の彼方へ」


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