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呼ばれるのかも知れない

いつもの怖い話しまーす、なんですが、今回はかーるさんの企画に参加します。

私は新潟出身です。新潟県には信濃川と阿賀野川という2大河川が流れてます。利根川には負けますけど。

実家近くの小さい支流の川が今週氾濫してましたが、実家の父は阿賀野川の辺りに生まれました。末っ子だったので、結婚して家を離れましたが、阿賀野川から堤防を挟んですぐの家は長男が継ぎ、その息子夫婦が同居していました。

目の前が川で、その息子も鮭や鮎や鯉を釣るのが好きでした。市内の会社に勤めながらも趣味の釣りの為に漁業権を取り、出社前の早朝や休みの日には釣りに出掛けていました。

秋は上ってきた鮭。初夏は鮎。殊に、鮎は熟鮓にして我が家の父も戴くのを毎年楽しみにしていました。

ある年のこと、梅雨の雨が続き、しばらく川が荒れて釣りに出られない日が続きました。その長雨の前に隣りの漁場を持つ幼馴染とばったり川で会って話した時に、幼馴染が「俺がもしも死んだら俺の場所で魚取っていいよ。」と言って別れた。直後、川で亡くなったばかりだった。次の日に舟の中で発見されたが、死因は心臓発作だった。ただ、その幼馴染の持っていた漁場はとても良かったらしく、父の実家の息子は譲り受けたその場所で釣りがしたくて仕方なかった。

梅雨の晴れ間。だが、まだ水量が多い。まさか行かないだろう、行かないでくれと父も母も止めたのだが、息子はそっと隠れるように早朝、舟を出した。

帰ってこなかった。

警察も消防も近所の人も親戚も探しに出たが、見つかったのは舟だけ。何年かして、川の中、幼馴染の漁場のすぐ川下の堰で見つかったが、なぜか、ほとんど生きている時のままだった。

父の実家の親戚筋、阿賀野川の川上の集落から私が子供の頃越してきた家族が近所に住んでいた。お互い大きくなって会わなくなったけど、小さい時は結構遊んでいた。兄妹。兄の方が地元の鉄道会社に勤め、家を継いでいた。川の事故の時も私は関東に住み、下の子を妊娠中で全く手伝わなかったが、この兄はよく探しに出ていたらしい。川の事故から10年余り、夜釣りが好きで新潟の港に夜釣りに出て……、次の朝、車と釣竿と椅子が堤防の上に残されていた。

2日後に見つかったのだが、心臓発作を起こして海に落ちたらしい。

川が海が呼ぶのだろうか……。
跡取り息子だけを。

それからまた十数年。

もう誰も呼ばれなければいい。

#note百物語2017
#百物語 #ほんとにあった怖い話

……なんかあんまり怖く書けないや。

あと、長すぎたかな?

うん、あのね、大した事書いてないんだ。そしてこれからも書かないと思うよ。それでも良ければ止めはしない(笑)ありがとうございますです。