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オムニバス法案に反対のデモ活発

マカッサルからの情報で、昨日からデモが実施されていてデモ行進のため、朝から晩まで渋滞しており、マカッサルに住んで20年以上のスタッフも初めての規模だそうです。ものすごいデモ集団の真横を複数台のバイクがかっ飛ばして走り去っていくらしく、今回はデモというか暴動にならないか心配です。
最近インドネシアで騒がれておりますこのオムニバス法案の可決、ふと気になって調べてみました。
雇う側、外資の会社にとって優位になる法案が通ったとのことです。
我々の外資再設立も、少し様子を見て(まだ何かわかりませんが何かの優遇措置を見て)
設立した方がいいかもしれません。
デモは、雇用されている側を守れ、内資を守れ、等々言っているようです。
在マカッサル領事事務所からも下記の注意喚起が出ています。

● 10月6日から8日及びその前後にかけて、各地で、オムニバス法案に反対する労働組合、労働団体及び学生団体によるデモが実施される可能性があります。
●本日、南スラウェシ州マカッサル市では、最大100名規模の抗議活動が予定されています。
● デモが実施される周辺道路では交通規制が行われ、交通状況に大きな影響が生じる可能性があります。外出の際にはご注意ください。
1. 報道等によると、国会で10月5日に可決された雇用創出にかかるオムニバス法案に反対する労働組合、労働団体及び学生団体が、10月6日から8日にかけて、全国各地でのデモ及びストライキの実施を呼びかけています。この期間及びその前後において、全国の都市部でデモが行われる可能性があります。
2.当地治安当局によれば、本日、南スラウェシ州マカッサル市では、南スラウェシ州議会前、インドネシア・ムスリム大学(UMI)前(ともにJl. Urip Sumoharjo)で最大100名規模の抗議活動が予定されています。

「雇用創出オムニバス法」とは?

インドネシア政府は今年の2月12日に「雇用創出オムニバス法」なる法案を国会に提出しました。

この法案の最大の目的は雇用創出です。

現在のインドネシアは人口ボーナス期のピークを迎えています。生産年齢人口の教育レベルも高くなり、この人たちが、しっかりと就業できるようになることが、この国の経済発展につながります。

しかし労働市場は極めて競争的で、多くのインドネシアの若い人々は高等教育を受けても就職が困難となっている状況です。

原因として製造業が弱く、十分に雇用の受け皿になっていないことが挙げられており、インドネシア政府としてはこの法案で製造業を活性化し、雇用創出につなげることを目指しているのです。

雇用創出オムニバス法」は外資にはメリット

雇用を生むためのオムニバス法ですが、その内容はインドネシアに進出したい外資に有利なものとなっています。

まず、この法案では外資規制に関する法改正が予定されていて、その内容は中小企業に関する定義の変更、投資優遇リストの導入、外国のスタートアップに対する就労許可の優遇などとなっています。

雇用創出オムニバス法案に含まれる11分野の法改正のうち、企業の事業活動に大きく関係するのは、事業許認可、投資要件、労働、中小零細企業、事業便宜、土地収用、経済地区の7つの分野です。

特に、中小零細企業法の改定が外資規制に与える影響は大きく、現行法では外国企業を一律に大企業分類と位置付ける一方、中小企業の定義を、全ての業種で「純資産100億ルピア(約7,900万円、1ルピア=約0.0079円)以下、もしくは年商500億ルピア以下」と定められているためです。

この法律が、中小規模の外国企業がインドネシアに進出できない制度上の要因となっていました。

今回の法案では、中小零細企業の定義を定める条文を撤廃し、代わりに、純資産、年商、投資額、雇用者数によって、事業分野ごとの定義を下位法令(政令)で定めるとしています。

これにより、業種によっては、中小企業の要件金額が緩められる可能性があり、外国企業が進出しやすくなると期待されています。

また、投資活動の基本法である法律も一部改正される見通しです。現在インドネシアは、500超の事業分野について内資との合弁義務(ネガティブリスト)を定めていますが、オムニバス法案では、ネガティブリストに関する記載を条文から削除しています。

代わりに、詳細を大統領規程において定めるとしています。

経済調整府などの説明によると、従来のネガティブリストを衣替えし、政府が投資優先する分野を打ち出したプライオリティリストを導入するとのことです。

ネガティブリストを廃止するのかどうかは、今後の推移をみる必要がありますが、より多くの分野の投資を呼び込む方針に転換していくと期待されています。

さらに、外国のスタートアップについては、労働法の改正案の中に、外国人雇用計画書(RPTKA)なしでもインドネシアにおいて、外国人が働くことができるといった規制緩和につながる条文が盛り込まれています。

【雇用創出オムニバス法】の抱える問題点

オムニバス法は外資にとってメリットの多い法案となっています。

一方でインドネシアの人たちは同法案に反対しており、インドネシア労働団体によるオムニバス法案反対のデモが起きています。

労働団体は雇用創出の名の下で、製造業への外資誘致が優先され、労働法で保護されている労働者の権利がないがしろにされる事態を懸念しているのです。

労働組合は、このオムニバス法案は投資家、そして大企業重視だとして反対しています。

法案には、時間給雇用制度の導入や解雇手続きの簡素化、外国人労働者雇用の規制緩和なども盛り込まれていて、雇用の流動化を促すものの、労働者側に雇用の不安定化・喪失などの不安をもたらす可能性を組合は懸念しています。

労働問題と同時に環境問題も抱えています。
同法では、投資促進のため、事業実施の際に必要だった「環境影響評価」をなくす方針を示しています。この結果、環境より事業者を優先した開発プロジェクトが多く立ち上がる心配がされています。

今、各地で環境団体が森や海を守ろうと尽力していますが、そういう活動も、今後は企業活動への妨害として「犯罪化」される懸念が高まっているのです。

環境と開発のバランスは昔からの悩みではありましが、顕在化した形となってきたようです。

インドネシアに進出したい企業にとっては、歓迎すべき法案ですが、一部のインドネシア国民にちっては、労働者の権利や環境破壊への懸念など、反対も多くしばらく推移を見守る必要ありますが、せめてインドネシア発展につながるよう、うまく妥協点を見つけてもらいたいものです。

いつも最後まで読んで頂きありがとうございます。サポートしていただければ、いつも新鮮な魚を獲ってきてくれるインドネシア南スラウェシ州マカッサルの漁民達が少しでも生活が豊かになるような、国際協力に役立てさせていただきます。今はコロナでインドネシアに行けませんが来年から本格始動します。