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【投資家対談シリーズ③】UTECが躊躇なく追加出資。クウゼン(KUZEN)の今後の可能性について

クウゼンは2023年6月にシリーズA2ラウンドの資金調達を完了し、累計調達金額は12.5億円となりました。
前回のラウンドに引き続き、リードインベスターとしてご出資いただいた株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(以降、UTEC)のCOOパートナー兼弊社社外取締役の坂本様と、当社CEO太田が対談を実施。スタートアップ投資における考え方やクウゼンへの投資に至った背景、今後の会社に対する期待などについて伺いました。

【投資家プロフィール】
株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ 取締役COO 坂本 教晃
東京大学経済学部卒業後、経済産業省入省。2008年経済産業省退官、流通事業会社の副社長を経て、コロンビア大学経営学修士(MBA)。McKinsey & Company を経て、2014年8月にUTEC参画。

これまで㈱ACSL(2018年12月東証マザーズ上場:6232)等の社外監査役、ニューラルポケット㈱(2020年8月東証マザーズ上場:4056)、㈱JDSC(2021年12月東証マザーズ上場:4418)、㈱Finatext ホールディングス(2021年12月東証マザーズ上場:4419)、Institution for a Global Society㈱(2021年12月東証マザーズ上場:4265)、㈱ELEMENTS(2022年12月東証グロース上場:5246)等の社外取締役を務めた

-まずは今回、追加でご出資いただいた背景について教えてください


坂本)2年前の初回投資からかなり近い距離感で一緒にやってきて、良い面も改善すべき面もクリアに見えてきました。まず定量的な観点では、高い売上成長を維持できている点。非常に力強さを感じています。定性面では、前回投資後に良い人材が入社している点です。強い人材が活躍することで数字は更に力強く成長していくと見ています。他にも色々と素晴らしい点があるのですが、特にこの2点を高く評価させていただきました。

太田)毎月の取締役会、定例ミーティングやSlackのやり取りなどを通して、良いところも悪いところも包み隠さずお伝えしています。2022年スタートアップ冬の時代を迎える中で、我々のことを深く理解いただき、その上で高く評価をしていただいていることは大変嬉しく思います。UTEC様の意思決定が他の投資家候補にも影響を与えたと感じており、その点においても気を引き締めて引き続き頑張っていきたいと考えています。

-2年前にご出資いただいた時点では、クウゼンの主力事業はAIチャットボットでしたが、その後LINEマーケティング領域にも取り組むようになりました。この辺りの背景を教えてください


太田)
元々創業当時から、弊社製品のクウゼン(KUZEN)を活用し、DX領域とマーケティング領域のどちらにもサービスを提供できるように開発を進めていました。前回UTEC様にご出資いただいた後、今後の成長可能性を模索する中で、対話マーケティング分野での需要の高まりを肌で感じました。DX分野は従来通り収益の基盤にはなるものの、さらなる事業成長を目指すためにマーケティング分野にも積極的に展開していこうと意思決定をしました。企業のマーケティング支援に関しては、過去もLINE以外にも様々なインターフェースを通じて実績を積み重ねてきていました。しかし、LINEマーケティングに関して本格的に展開していこうと動き出したのはUTEC様にご出資いただいた後のタイミングで、当初は月額数千円で提供するようなテストマーケティングもしていましたね。

坂本)その当時はCOOの中里さんが、LINEマーケティング事業の積極展開を推進していた印象があります。中里さんはUTECからご紹介して、クウゼン様に入社していただいたのですが、元々戦略コンサル経験もありロジカルな判断ができる人という印象で、経営陣として信頼をしています。創業者の意見も当然重要なのですが、中里さんの様に外部から入った方はある意味冷静に、客観的な判断ができるため、その意思決定についてはチームを基本的に信じて、必要に応じて後押ししていました。

-改めて2年前は、どの様な経緯でご出資をしていただいたのでしょうか?

坂本)もう一人の投資担当者のUTECの小林が、クウゼン様の紹介を受けたことがきっかけです。偶然にも、私は太田さんのご出身でもあるJPモルガンの投資銀行部門でインターンをしていたことがあったので、その時の知人に、太田さんのことをヒアリングさせていただきました。
そのヒアリング結果が非常に良くて、要は「とにかく誠実で、自分は新卒採用を担当していたが、自分が採用した中で一番いい採用だったと思っている」とコメントが印象的でした。
私はそこで働いたことは無いのですが、投資銀行という場所は、極度のプレッシャーのかかる環境下で長時間労働を求められるので、良くも悪くも人間の本性が出る職場だと想像しています。ですので、そこでの評価は信頼できると思いました。

太田)そうですね、、朝から深夜まで土日も関係なくずっと同じチームメンバーで一緒に働いていましたから(笑)

-この流れで、経営陣の魅力・強みについても教えてください

坂本)太田さんの魅力は、誰に対しても誠実なところだと思っています。太田さんは等身大のコミュニケーションで、自分の苦手なところもあけすけに伝えてくれます。ある意味根底には、自分に自信があると感じております。勉強家だし、すごい賢い人ですし。熱いハートもあるので、人間的に尊敬しています。

太田)見た目から賢そうと言われたことは今までもないですし、小学校の頃から意外と言われ続けています(笑)。個人的にも成長の余地があるということだと認識しています。

坂本)親しみやすいキャラクターなので、そのままでいいんじゃないでしょうか(笑)。

-CTOの白倉については、どんな印象ですか?

坂本)過去に事業が想定通りうまくいかない状況であっても、創業時から太田さんと一緒に苦労を共にしてやってきた方です。アクセンチュア出身のCTOというだけでも、人材としての市場価値はものすごく高い一方で、スタートアップというチャレンジングな環境にリスクをとって飛び込んでいるところ、非常に高いコミット力があり、常に全力で取り組んでいるところ、太田さんとの相性が非常にいいように思います。

太田)白倉はあまり多くを語るタイプではないですが、大事な時にポイントを押さえて、信念をもって意見をいうところがあります。例えば、だいぶ前の話ですが、オフィス移転を検討していた際に「会社のキャッシュポジションを考えると今はそのタイミングではないんではないか」と彼が懸念を示したことがありました。ちょうどコロナのタイミングでもあり、結果的に移転計画は白紙になったのですが、彼が懸念を示してくれて議論が動いたところがありました。開発部門のみならず会社全体を俯瞰して意見を言える点は、単なるCTOという存在以上に信頼感があると思っています。

-初回投資から今までに、何か印象に残るエピソードがあれば教えてください

太田)初回投資いただいてから、UTEC様の手厚い支援には正直驚きました。例えば営業面では、まだ我々の営業チームが立ち上がっていないタイミングでご担当者の方に頻繁に営業ミーティングに同席していただき、営業担当に対して、ロールプレイングの壁打ちや架電のスクリプトの指導をしていただいたりしました。また採用面では幹部層の人材紹介やインターン採用の支援をいただいたり、管理部門のリソースを割いていただいたりと幅広くサポートしてもらっています。今後IPOに向け、コーポレート全体の強化が必要になってくるため、その豊富なご知見を生かしたご支援も期待しています。

坂本)例えば営業支援など、外部のプロフェッショナルサービスを活用するのも有効だと思いますが、我々は株主という立場であり、会社と同じ方向を向いて支援できることは強みだと思っていますし、必要に応じて多面的にサポートすることには非常に意味があると考えています。

-UTECのスタイルとして、そのように近い距離感で伴走支援しているのでしょうか?

坂本)基本的にはUTECのポリシーです。ここは当然好き嫌い分かれますが、UTECは”暑苦しい”距離感でやっていると思います。投資先には投資担当だけでなく、HR担当など複数の弊社プロフェッショナルが色々な課題解決のためにサポートしています。

太田)スタートアップ企業は無から有を生み出すために、常に暗中模索しながら進んでいくケースが多いのですが、UTEC様からは、他のスタートアップへのハンズオン支援のご知見から、非常に近い距離で意思決定に関しての様々な有用なアドバイスをいただけています。もちろん強制されるわけではなく、知見をシェアするというスタンスの助言をいただくので、色々な局面で非常に助けられたという印象を持っています。

-クウゼンの事業の魅力についてはどうお感じですか?


坂本)結局のところ、「対話」が、最高のUIUXの一つだと思っています。昔から哲学者とかも弟子との議論や対話を通じて、多くの人に影響を与えたと思っていて、対話は人類のDNAレベルで最高のUI/UXなのではと思っています。対話を自動化し、その精度を高めていくサービスというのは、今後も非常に可能性があると思っているんです。そういう意味で、「テクノロジーで、対話の可能性を広げる仕組みを創る」というクウゼンのミッションは奥深いと感じています。

太田)このLLMの流れで、対話型のUIが広がっているのは我々にとっては確実に追い風で素晴らしいことだと思います。広い意味で言えば音声のコミュニケーション自動化も、まだまだ発展途上ではあるものの無限の可能性があるんではないかと感じています。対話デザインプラットフォーム「クウゼン(KUZEN)」として、幅広く言語AIの技術も活用しながら成長していきたいですね。

-今後、クウゼンに期待するものは?

坂本)今、堅実に伸びている事業については継続して成長させてもらいたいです。一方で、今後「対話の可能性を広げる」ための新規事業についても積極的に挑戦していただくことを期待します。クウゼン様を見ていると、間違いなくそれができるチームだと思っています。

太田)継続的な成長は、会社自体の幸せにも、ひいては社員の幸せにもつながります。UTEC様のようにリスクを取って我々と同じ船に乗ってくれた投資家の皆様の期待に応えられるように頑張っていきたいと常に考えています。新規事業については、もちろんやってみて分かることがたくさんあるんですが、表には出てこない沢山の失敗の上に成功があるはずなので、トライアンドエラーを繰り返すことが結局は近道だと思っています。今後とも積極的な挑戦を続けていこうと思っています。

-ChatGPTなど生成AIに関しての今後の展望・可能性について


太田)ビルゲイツも言っていますが、AIの進化自体がスマートフォンやインターネットと同等レベルの非常に大きなインパクトだと感じています。歴史を振り返ってもこのようなテクノロジーの誕生により、その周辺領域で様々な強みをもったスタートアップ企業が生まれ、成長し、上場していきました。これは当社にとって大きなビジネスチャンスだと思っており、それを早く形にして世の中にサービスとして出していきたいですね。

坂本)現時点で世の中で言われているものとは全く違う、今時点では想定していないアプリケーション・進化が生まれると思っています。インターネットも当初出てきたときから当時全く想定していない進化をして今に至っています。新しい技術を貪欲に取り込んで、試行錯誤しながら最前線にいて欲しいと思います。もちろん大変なことが多いし苦しい時もありますが、ぜひ一緒に乗り越えていければと思っております!


最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回は「【投資家対談シリーズ④】堅実な業績が語る、投資家から見たクウゼンの魅力とは?」をお届けいたします。
是非、お楽しみに!

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