収益認識 商品券等の前受方式②
なかなか本題に入って行かないですが、ちょっと前回の続きで、いくつか触れておきます。
商品券は販売時には、売上ではなく、負債計上する、と述べましたが、実際にどのように処理しているか、事例をみてみましょう。
例えば、百貨店の高島屋のBSをみてみると、下図のように「商品券」がBS上の流動負債の項目に計上されております。
金額にして、500億円以上あるので、けっこう多額となっております。
このようにして、一旦負債勘定に計上しておき、実際に使用された時に、売り上げとして計上することになります。会計上の実現主義に沿った処理、ということですね。
ところで先日、ある会社が決算発表を行ったのですが、その会社の開示の中で面白いものがありました。
収益の計上方法に関して、一部修正があったということで、業績予想と実績数値に乖離が発生している、という内容でした。買収してまもない子会社において、収益計上方法の修正があったということです。その会社ホームページは、韓国語だったのでよくわからないですが、こちらの開示資料にはこのような事業説明がされております。
Smartcon社は、オンライン上で利用できるプリペイドカード及びプリペイド型電子マネーの発行・管理事業を展開している企業です。韓国ではキャッシュレス化によりスマートフォン端末で利用できるプリペイドカードや電子マネーを使った決済手段が急速に普及してきており、Smartcon社はこの領域におけるリーディングカンパニーとして急成長を続けています。
オンライン上でプリペイドカードを発行して、それを使用してギフトなどを購入する、みたいなイメージでしょうか。
前回説明してきたような、プリペイドカードの会計処理の話、と考えられます。そして、先ほどあげた業績差異の開示文の内容について、このような説明があります。
調査・分析の結果、Smartcon社が展開する電子クーポン事業の売上の計上方法について、一部IFRSの基準にそぐわない処理があったことが判明いたしました。電子クーポン事業においては、販売時、使用時、使用期限及び消滅時効(5年)というタイミングがあり、その中で、一部取引の売上高について、本来収益認識すべきクーポン使用時ではなく販売時に行われていたため、当該取引について、収益認識をクーポン使用時に変更し、売上から前受金に振り替えました。
ここから推測するに、クーポン販売時に売上計上していたことが監査の中で発覚し、使用時に売上計上することに修正させられた、という感じではないかと思います。
気になるのが、文中の『IFRSの基準にそぐわない』とありますが、前回触れたように、別にIFRSだからではなく、日本基準でも、この処理方法は妥当と認められないような処理ではないかな、と思います。
なんかIFRSを言い訳に使われたような感じで、若干釈然としない感じがしますが・・・
さて、いろいろと前段階の話で寄り道してきましたが、次回はスマートフォンゲームの話に入っていきたいと思います。
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